Strange Days

2000年10月22日(日曜日)

Linuxの台頭

23時21分 テレビ 天気:くもり

 前日、ドラクエ2をやっているうちに夜が明けてしまい、それから眠ろうにも目が妙に冴えて眠れない。6時間弱うとうとしただけで起きださざるを得なかった。
 ドラクエ2は上の世界に一気に上ってしまったので、後は聖なる祠を拠点にじっくりレベル上げをやっている。アークデーモンの強いこと強いこと、1戦交えると必ず誰かが戦死している(笑)。泣きながらプレーするハードさよ。この世代のドラクエまでは妥協が無いなあ。SFC版なのでふっかつのじゅもん制では無い。それが優しくなった点だ(笑)。
 さて、夕方になって眠くなってきたので一眠りしたら、NHKスペシャル「世紀を越えて」が始まった。今回は公開技術の衝撃と題し、Linuxの普及を追う。
 中国ではインターネットの普及が急激に進み始めている。まだ人口の一部だけしかカバーしてないが、全人口を先進諸国並みのカバレージで普及すれば、世界最大のインターネット市場が出来上がる。中国はその膨大な人口をどうやってまとめて行くかという難題を抱えている。従来型のトップダウン式情報網では"中央"の負荷が高くなりすぎるのは明らかだ。中央で処理するまでも無い情報は当事者のうちで処理するのが、為政者から見ても得策だといえる。
 これまで、中国でクライアントOSとして普及してきたのはWindowsだった。しかしもしもこのままWindowsクライアントが増大してゆけば、莫大な富が国外(アメリカ)へと流出することになる。これを嫌う中国政府が、無償で使用しうるLinuxの普及を後押しするのも、やはり当然の施策と思う。
 中国では大手から中小の企業までがしのぎを削りあい、Linuxの中国語ローカライズを進めている。元々、Li18nuxなんて言葉があるくらい(真中の18はinternationalizationから最初のiとnをのぞいた18文字を意味する)で、Linuxはマルチリンガル、マルチロケールを強く指向している。この点は、Linuxカーネルがフィンランド人のLinus Torvalsによって開発され、日本を含む非英語圏にもメインテナが豊富に存在したことが大きい。まだ完璧とはいえないが、ロケールに従って言語環境を切り替えるという事が、OS、アプリケーションを含む包括的なレベルで可能になっているのだ。
 自国のOSを持ちたいという心理は、日本人がTRONを推したがることを思えば不思議でもなんでもない。いかに従来のLinux開発者たちがi18nに傾注してきたとはいえ、中国語特有の事情に精通しているのは、やはり中国人自身だろう。中国人にとって最適のOSを作るという事業は、オープンソースのLinuxが登場しなければ出来なかったことだと彼ら自身も言う。
 たぶん、MINIXを改造するなどしてマイナーな中国語OSの開発は幾度か試されたのだろうが、OSに関わる全ての機能を持つ大規模OSを自家薬籠中の物にするという経験は初めてのはずで、中国の人々の舞い上がりぶりも分かる気がする。またマイクロソフトのおこぼれに細々と与ってきただけの業界人たちが、Linuxという格好のビジネスチャンスに飛びついたという側面もありそうだ。
 もともとLinuxはGNUが主張するGPLというライセンス条項に従っている。開発した結果をオープンにすることを強く促すこのライセンスに従ったLinuxの開発モデルが、オープンソースというGNUの主張するフリーソフトウェアとは微妙に異なるモデルに同定されているのは不思議な話だ。たぶん、GPLはあまりに「強すぎ」て、より緩やかなライセンスが必要とされたという事情があるのだろう。
 さて、巨大市場中国でのクライアントOSの座を占めるのはWindowsか、Linuxか、あるいは思いもよらず他の何かが普及するのか。忘れられた巨大市場インドの動向も含めて興味は尽きない。