Strange Days

2000年03月12日(日曜日)

今夜の観望

23時59分 星見

 20:00頃に空を見ると、やっと晴れ間が広がっていた。望遠鏡を出して既に高度が低い木星に向けると、高度が低いせいで揺らぎが大きく、縞がかすかに見える程度だった。
 オリオン大星雲も生彩を欠き、M41も見づらい事おびただしかった。一見して空の透明度は高そうだったが、雲が生じ易く朧が広がっていたようだ。
 日付が変わる頃に空を見ると、既に雲が空を覆い尽くしていた。
 天文ガイドやスカイ・ウォッチャーの広告を眺めていて、最近頓にベランダの狭さを克服するアイテムの必要性を、強く感じるようになってきた。一つはベランダの手すりに取り付ける頑丈な経緯台(別に赤道儀でもいいが)。これがあれば奥まった位置に望遠鏡を置いて視界が制限される事無く、空を観望できる。もう一つは全長のなるべく短い大口径望遠鏡。大口径といっても8インチとかになるとハンドリングもままならないだろうから、10cmくらいで十分だ。これで全長が短いとなると、どうしてもマクストフ・カセグレン式などが候補に上がるだろう。実際に10cm級で安価なものもあるようなので、良く見えるかどうかは別として一つ入手したいものだ。

誰もいない部屋

23時55分 テレビ

 今夜の誰もいない部屋。最初の部屋は川にこだわるかっぱ好きの住人の部屋。たくさんの写真を参照しながら謎の長い板で仕事をする。石や水にこだわりがあり、地名はかなで正確におぼえておく必要がある。また不動産会社の案内広告を集めている。
 さっぱり分からないので井戸掘り職人としておいたが、答えは絵地図(観光地などで良く売っている)の作者。広い見識と取材を必要とする仕事のようだ。
 最後の部屋は謎の骨ルーム。なにやら面白い形にこだわる人のようで、様々な標本を集めては計測している様子。謎の断面図らしき図面もある。別室にはおびただしい骨の標本があり、住人はその計測を楽しんでいるとか。
 これもさっぱり分からないので骨相学者(そんな学者がいるのならどんな専門分野でも成り立ちそうだが)としておいたが、答えはマネキン原形の造型者。難しい。
 あまりに難しすぎたのか、今夜は全員不正解の連続だった。巨匠山田五郎も形無しである。

世紀を越えて

22時40分 テレビ

 世紀を越えて。今夜は続発する巨大事故を取り上げる。
 アメリカではWW2後、特に'80年代に入っての規制緩和以降、航空業界が活性化され、その旅客人口も大きく増大している。それに伴って航空機の墜落事故も増大し、その抑制に大きな努力が傾けられている。
 航空機を作り、運用する技術は長足の進歩を遂げたが、にもかかわらず事故は減少しない。その要因の一つに、航空機の複雑化がある。航空機があまりにも巨大化したため、チェックの手順がとてつもなく複雑になり、どうしても整備不良の見落としが減少しないのだ。戦前のDC-3と最新のDC-11を比べると、その見た目の大きさはもとより、その構成部品の多さに驚くほどの差がある。特に電気/電子部品の増大は、一面で運用コストを引き下げているものの、故障要因の増大をも引き起こすのだ。乗員乗客200名余が死亡したTWA航空機事故でも、原因は主翼部フュエルタンク近くを通った電線の劣化だった。たかが1ヵ所、しかし致命的な場所で起きたスパークが、この大惨事を引き起こしたのだ。
 航空機が進歩できても人間は簡単には変われない。その為にヒューマンエラーによる事故も続発している。アンデス山中で起きた墜落事故では、パイロットの入力ミスが原因と判明した。パイロットは航法支援装置を参照しながら飛行経路を選択する。ところが事故機の場合、飛行中に飛行経路を変更するという作業が発生した。この時にパイロットは中間地点として入力する空港名の省略形として頭文字のみを入力した。ところが頭文字に合致する空港は比較的近隣にもう一つあり、しかも航法支援装置のアルゴリズムとして複数の空港名にプライオリティを付けて処理していた。その結果パイロットが入力した地名と航法支援装置が認識した地名とが異なってしまい、事故機はまるで違う方向のアンデス方面に向かってしまい、ついに山肌に激突してしまったのだ。
 この事故では確かにパイロットが不注意だった点は否めないが、同時に航法支援装置にヒューマンエラーを防ぐ仕組みが足らなかったようにも思える。それ以上にパイロットが航法支援装置に頼り過ぎ、自らの位置と進行方向を十分確認しなかった事が原因だといえるだろう。いずれにせよ機械と人間の双方を改善しない限り、ヒューマンエラーは根絶し得ない。
 本来ならば航空機を安全に運営するべき航空会社、そしてそれを監督すべき役所の腐敗もヒューマンエラーの一種と考えられる。今も記憶に生々しいスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故は、打ち上げを予定通り実施したいNASAが、事故を予見していたメーカー側に圧力をかけ、打ち上げを飲ませた事に起因している。
 同じ構図は航空機業界にも見られる。フロリダ近郊で発生したValujet墜落事故では、直接原因は整備会社が使用期限切れ酸素発生装置を、適切な安全装置を付けないまま誤って事故機の貨物室に積み込んだ事にあった。しかしこの整備会社に対して、航空会社は必要な安全指導を全く行っていなかった事が判明している。事態を救いがたいものにしているのは、航空会社の安全性をチェックすべき省庁が、政策的に監査を手控えていた点にある。クリントン政権が行った航空業界への規制緩和で目に見える成果を出すために、Valujet社の成長は仕組まれたのだった。
 こうして航空機事故の要因を振り替えると、人間による検証という方法論にも、機械的なチェックによるそれにも、限界がかなり以前から見えていた事に驚かされる。根本的な解決は、人間のように思慮深く柔軟で、機械のように疲れを知らずミスもしない新しい機械知性が登場するまでは不可能なのではないだろうか。

爆睡の日

20時38分 暮らし 天気:雨後曇り

 前夜、明け方近くまでチャットして、それから爆睡したので、目覚めたのは2時近くだった。これでも8時間近くは眠った事になる。
 起き出して、さてどこかに出かけようかとぼんやり考えていたが、細々としたどうでもいい事柄どもを片づけているうちに面倒くさくなり、とうとう今日は外にもでなかった。経済的でいいな。
 原稿用紙に向かったり、PCに向かったりしているうちにまたもや眠くなり、もう少し一眠りしてしまった。ますます金のかからない奴だ。しかし平日の深刻な睡眠不足からすると、これでようやく釣り合いが取れるくらいだろうか。