Strange Days

2001年04月01日(日曜日)

CANON 18*50IS到来

23時55分 星見 天気:晴れました

 いやはや、とうとう四月になっちゃったよ。無事に期の変わり目を迎えることが出来たか。
 実は昨日、オルヴィスに発注したCANON 18倍50mm防振双眼鏡を一日中待っていた。前に小熊の運送屋さんから電話をもらった時は、土曜日の午後にという事だったはずなのだが......。昼からずっと待っていたのだが、一向にこない。午後というと一応12時間はあるからな(いや深夜到着は勘弁)。とはいうものの、次第に不安が募る。15:00頃、ふと郵便ポストをのぞくと、その名鉄から「荷物到着のお知らせ」というものが入っていた。あれれ、今日はずっといたよ? しかしそれ、「不在通知票」兼用で、しかもチェックが入っているのは「荷物到着~」の方。これは何を意味するのだ?
 名鉄の集配所に電話を入れると、それは「代引きの場合、配達予定日の前に予告のために入れておくもの」だと分かった。紛らわしいなあ。丁寧な仕事ではあるが。では到着はというと、「明日です」。おかしい、土曜日のはずだったのに......。僕の勘違いか。
 ともあれ、昨日一日を無駄に過ごし、今日も今日とて荷物を待つ。
 15:00前頃、ようやく小熊のおじさん(いや小熊のコスプレをした奇矯なおじさんでは......前にもこれやったなあ)がやってきて、代金と引き換えに大箱、小箱を置いていった。大きさからこっちが双眼鏡だと見て、先に小箱を開封する。手にした重さは、思ったより軽く感じる。
 一緒に届いた大箱は、オルヴィスの100mmニュートニアンのドブソニアンキットだ。これは員数確認だけ済ませておいた。
 段ボール箱の中には、化粧箱がそのまま入っている。開封すると、やっと双眼鏡と対面できた。
 見た目は、50mmにしてはかなりグラス面が広い。MIZARの10*42に較べると、その大きさが際立つ。最前面は防護ガラスらしいので、実際のレンズ面より広く開口しているのかもしれない。その大きなガラス面が二つ、ほとんど間を空けずに並んでいるデザインは、何とはなしに愛嬌がある。
 この双眼鏡、防水設計になっているので、少々汚れても平気なはずだ。早速、パッキンを挟んで防水構造になっている電池室の蓋を空け、単三乾電池2本をはめ込んだ。
 まだ日が高い。50m向こうに立ち並ぶ、中学校前の桜並木を見た。
 まず、ピントは非常にフラットに合う。桜の花弁一枚一枚が見えそうな、精密な見え方だ。
 ISをオンする。右人差し指が掛かる辺りにボタンがあり、それを押すと「カチリ」という音と共に像の揺れがぴたりと止まる。手持ちの時の揺れには、心臓の鼓動などに由来する周期の短い揺れと、大きな揺れがある。このISは周期の短いものに有効らしい。少し待つと、細波の収まった湖面のように、像がまったりと安定してくる。この状態では、さらに細かく見えるようになる。IS無しでも像はクリアで気持ちよいが、ISを使うとさらにはっきり見える。まるで魔法のようだ。
 夜、ベランダにMIZAR 20*80を出し、沈み行くオリオン座をネタに比較してみた。
 まず視界。どちらも見かけ視野60度超、20倍弱程度の倍率と似たような条件なので、視野も似たようなものだ。大三ツ星がすっぽり収まる。明るさは、さすがに口径差が出て20*80がやや勝っている。M42を見ると、20*80では散光がはっきり感じられるが、18*50ISではそれほどでもない。しかし20*80ではバックグラウンドの明るさが前面に出て、コントラストがかえって悪化する傾向がある。さらに、18*50ISは中心部から周辺部までピントが合っているのに対し、20*80はかなり球面収差が出るのだ。まあ29800円の双眼鏡を150000円のそれと比較してはいけないのかもしれないが。
 M41に向けた。明るさそのものは20*80の方が感じられた。しかし、見えている微光星の数は、それほど差がないようだ。これはISのおかげで、18*50ISの方が微光星を見やすくなっているためだろう。20*80は三脚に載せているのだが、それでも見ている人間や、その他の微小な振動を拾っているようだ。
 M47を見ようとしたが、すぐ上に明るい月がある状況で、非常に見難い。諦めて、天頂近くにあるかに座に向けた。ベランダからはひさしが邪魔になって、どうしてもかに座は見えない。しかし18*50ISだと手持ちなので問題はなく、しかもISのおかげで画像もクリアだ。プレセペの明るい集落がくっきりと見えた。月はクレーター群の中央丘まで見える。
 西に向け、明るい木星を視界に納めた。ISを使わなくても、木星の衛星たちは、その存在がなんとか分かる。ISを使うと木星を挟んで一直線に並んでいるのが明瞭に見える。
 土星は楕円形に見え、惑星であることが一目瞭然だ。
 少し北、すばるは星の一つ一つが明確な輝点をなし、ぼやけたところはほとんどない。恐るべし超低分散ガラス。ヒアデス星団も視界一杯に入ってきて美しい。18倍という倍率は、巨大なヒアデスを収めるには高すぎるようだ。
 真夜中、眠れなかったので18*50ISを路上に持ち出した。
 この時刻、おとめ座が南中している。そのずっと南、ほぼ真下にケンタウルス座ω星団があるはずだ。ω星団は全天最大の球状星団だ。日本からは南中高度が低くて観測の機会が少ないのだが、なんとか見えるかもしれない。スピカからまっすぐに南下していったが。視直径が満月を超える大天体なのだが、あいにく発見できなかった。星図を眺めて検討してみたが、我が部屋の近辺からは南方の家が邪魔で見えないという結論に達した。残念。暖かくなったら、海岸線まで遠征して見ようと思う。
 この頃、ヘラクレス座のM13が天頂にかかっている。天頂のやや東に向けると、ぼんやりした光の塊があった。間違いなくM13だ。かなり大きな球状星団で、50mmではさすがに星雲状にしか見えないが、大口径の望遠鏡ではざらざらした微光星が見えるそうだ。
 南南東にはさそり座が立ち上がっている。アンタレス近辺に向け、M4を見ようとしたが、見えたような気がしたが気のせいかも?という程度の見え方。
 さそりの尻尾を辿ってM6、M7。M7は大輪の花という感じで、華やかな眺めになる。M6もばっちり見える。微光星もたくさん見えて、良い感じだ。
 その北方には火星がかかっている。こちらは赤い、しかし面積を持った天体が見えた。衝が楽しみである。
 さらに少し東に進むと、M8干潟星雲が見える。散光はさほど強く感じられないが、微光星が群れているのが良く見える。
 値段が値段だが、これは凄い双眼鏡だ。病み付きになりそうだ。