Strange Days

2001年08月11日(土曜日)

故郷の街を走る

22時21分 暮らし 天気:晴れ(雲量大)

 前の晩は日付が変わる前に眠り、今朝は10:00に起きた。最近に無く健康的なパターンだ。
 11:00頃、母に「昼はなに食べる」と聞かれたので、モリスに食いに行くことを思い出した。ここで食い逃したら、帰郷した意味が無い(いやそこまでは)。
 BD-1を飛ばして(注:本当に飛んだわけではない)、中通のアーケードにちょいと止め、モリスで大盛りといなり寿司を食った。いなり寿司には具が入っている! なんで驚くかというと、ずっと前は具の無い酢飯とゴマだけの超シンプルなものだったのだ。それが超あっさり味の中華そばと絶妙にマッチしていたのだが。これも時代の流れというものか(そうか?)
 モリスの中華そばは相変わらずのうまさ。しかしそのうまさは、例えば100km彼方から客を引っ張ってくるような訴求力に富んだものではない。逆にあらゆる虚飾が殺ぎ落とされているから、例えばどぎつい家系ラーメンと並べると「なんだこれ」と思うくらいそっけない。そこがたまらなくいいのだが、例えば観光客がやってきて、試しに口にしたところで「うまいね」で終わるような気がする。いろんな「うまい」の中に埋もれてしまって、また来たいなどとは思わないのではないか。家系ラーメンのあざといまでに演出された"うまさ"のように、強烈な印象を残さないのではないか。でも地元民からすれば、毎日口にしてもまったく飽きがこないのが嬉しい。実際、この店は、高校の頃に毎日通っていたとか、昼食に毎日という近所の人がとても多い。そのままその味を忘れられず、機会があれば寄るようになる。僕みたいにだ。盆正月、帰省のときに寄る人がとても多いのだそうだ。こういう意味では、あまり例の無い、強力な地元の味だと思う。もしも"ひろしまラーメン"なんて企画があったら、僕はここを推すね。いや、他に例の無い味だし、即効性が無いから受けないだろうけど。
 モリスを出て、フライケーキを10個買って帰った。これも地元民には有名なお菓子だ。揚げパンの一種なのだが、下品になる手前の上品な甘さが絶品。
 実家に帰り、だらだら昼寝していたら、横浜で出しておいた荷物が届いた。早速フロントバッグを取り出し、取り付ける。うむ、カコイイ。しかし雨具だの工具だのを格納したフロントバッグは重く、かなりフロントヘビーな印象になった。回転モーメントが大きくなったので、ハンドリングの感覚がやや変わった。
 フロントバッグにデジタルカメラ、18*50ISを放りこみ、BD-1を走らせた。呉の西に走る二河川を遡り、二河峡というマイナーな景勝地に向かった。ここは小学校の頃の遠足や遊び仲間などで何度も来たことがある。
 記憶に残る二河峡には、たしか高いところにあるつり橋と、入り口辺りに茶屋があったはずだ。しかし両者とも見当たらない。つり橋はもっと奥のほうにあるから見えないのだろう。茶屋が無いのは寂しい。ここでコーヒー牛乳かガラナ(売ってるのかよ)を飲もうと思ってたのに。ミルクセーキとかな。
 仕方なく途中の自販機で買ったアクエリアスをぐい飲みしながら、どう見ての岩の原に過ぎない二河峡を眺めた。昔はもう少し水が多くて、岩も綺麗に並んでいたような気がするのだが......。大雨やら地震やらでやられたのかもしれない。そういえば、地震でやられたという家屋を、あちこちで見かけた。
 二級峡を後にし、二河川沿いを下っていった。ここでサイクリングコンピュータがおかしいことに気づいた。そんなに飛ばしてないのに30km/h出してることになってる! 後で調整しよう。
 二河川を下り、東岸の先端に防波堤が延びている。ここには良く釣りに来たものだ。しかし、その手前に立っている合同庁舎から防波堤に出られそうに無い。壁で囲ってしまったようだ。前は入りたい放題だったからなあ。しかし、海岸沿いは公園になったはずだ。不審に思いつつ近所をうろうろしていたら、「お兄さん、それチタン?」と、いかにも左官屋の仕事帰りという雰囲気のトラックに乗った茶髪二人組みに声をかけられた。「いや」と答えると、「普通のBD-1? ええね」。へへへへと思わず笑みがこぼれる俺様だった。
 かもめ橋という一番下流にある橋にBD-1を止め、海のほうを眺めた。おや、おおすみが停泊してるぞ。かなり沖の方だが、特徴的な全通甲板と、艦橋構造物の前後に設置されたCIWSが良く見えた。18*50ISを取り出して、さらにじっくり眺めた。こいつは、確かに「空母を作るつもりありません」なんていっても信じてもらえないよな。形からくる印象は強力で、いくら甲板に航空機を発着させられるだけの強度が無いといっても、このいかにもな形状を前に説得力を減じられるのは仕方ないだろう。
 目をさっきの合同庁舎に転じると、件の防波堤近辺で盛んに工事が進められているのが見えた。どうやら公園は造成の真っ最中のようだ。その庁舎の向こうに、護衛艦の上部構造物が見えた。どうもきり型の1隻と、FRAM改装したつき型護衛艦のような気がした。あとで思ったのだけど、最新世代のあめ型(むらさめ)だったかもしれない。
 さっきのサイクリングコンピュータの件を思い出し、周長を確認してみた。1650mm、いいな。ん、待て待て、1350mmが正しいんだぞ? 道理でおかしな表示になるはずだ。
 もう少し街をうろついた。港まで走り、呉と松山間の便を見た。ふむ、2時間おきくらいにフェリーとスーパーフェリーが出ているようだ。スーパーフェリー? なんじゃそれは。まあともかく、車を載せるくらいだから自転車も問題はあるまい。しまなみ海道走破の帰路は、松山に寄って道後温泉でウハウハしてからフェリーで帰ることに決定。
 それから図書館にも一瞬だけ立ち寄る。ほほお、この図書館は20:00まで営業しているのか。こいつは便利そうだ。