Strange Days

2002年11月30日(土曜日)

鎌倉をポタろう

00時00分 自転車 天気:いい天気

 一昨日の夜、ふと思い立って、鎌倉をポタリングすることにした。ついでに、神奈川支部で暇人を招集すると、にち氏が乗ってきた。今日は二人で、鎌倉をさまようことにした。
 朝11:00に西鎌倉駅というゆっくりしたスケジュールだったので、それにあわせて9:45分くらいに出動。するつもりが、いろいろ忘れ物をしていて、結局は10:00間近に出る。
 今日は輪行は無しだろうと見て、EPICで出動だ。境川を南下し、俣野で東岸に渡り、環状4号に入る。ここからは大船を目指して突っ走っていった。意外にアップダウンが多い。一箇所、漕がなくてもすぐに40km/hに達し、しかも1分くらいは続くという恐怖のダウンヒルがあった。いや、下ること自体は気持ちいいのだが、登ることを考えると......。
 大船近辺から横須賀線沿線を走り、集合場所の西鎌倉駅に到着。ちょっと遅刻気味。人出が凄い。紅葉を見に来る模様。むう、寒い日が続いていたので少ないと見ていたのだが、好天が災いした模様。
 にち氏と落ち合い、まずは腹ごしらえだ。この近くにある「鎌倉五山」という店で、けんちん汁を食すのが今日のメインイヴェントだったりする。有名店なので、もしかしたら行列が、などと考えていたのだが、そんな形跡は無かった。ところが、店内は満席。しばらく店外で待ちぼうけだ。しかしギリギリのタイミングでもあった。というのも、我々が並んだ後から、次々に待ち行列が延び始めたからだ。我々が店内に招き入れられた頃には、6、7人になっていた。
 注文したのは、薄味の炊き込み御飯とけんちん汁のセット、紫陽花セットという奴だ。これで1000円。割高感が強い。相席で、騒然とした雰囲気で寛ぐことも出来ず、味わうという感じではなかった。観光地の店だから、仕方ないか。とにかく、けんちん汁を建長寺の門前で食すという目的は果たした。
 この後、高いところから鎌倉を一望したい、という俺様の願いにより、北鎌倉駅前から闇雲に道を走り始めた。無計画もいいところである。登るうちに、今まで見たことも無いような激坂(なにせ滑り止めの加工が施されている)に突入。ダンシングで駆け上ろうとすると、角を曲がった途端にさらに凄い坂が待ち構えていた。漕ぐ気力が失せて玉砕する俺様! しかしにち氏は登り切った。登り切った先は学校の正門っぽい。この先どこにいけるかなあなどと考えていたら、学校の警備員らしき男性に、
「この先はどこにも抜けられませんよ。どちらに?」
と聞かれた。俺様はきっぱり、
「いえ、あても無く走ってます」
と答えた。
 すると警備員氏は、この近くから源氏山公園に登るルートがあると教えてくれた。待望のトレイルか! しかし、にち氏のBD-1Wでは山道はチト辛かろうと、その場を辞した。
 それから地図を見ながら、これまた適当に走って行く我々であった。知らない町内を抜けると、いつの間にか大船近くに出てしまったらしい。モノレールの軌道を追いかけながら、江ノ島まで抜けようということになった。この道は案外なヒルクライムになり、ヒィヒィいいながら上り詰める我々であった。どこいっても坂ばかりなのか?
 腰越に出て、海沿いのルートを鎌倉に向かって走る。風は追い風。道はいい。30km/h以上で突っ走る場面もあった。途中、鎌倉の大仏を見たいという僕の希望により、高徳院に立ち寄った。駐輪場(というか単なる空き地)に駐輪したところ、謎の小動物を発見。台湾リスか? 拝観料200円を払って、敷地内に足を踏み入れた。鎌倉の大仏は実物を拝むのは初めてだが、でかい。こんなでかいのを鋳造するには、さぞかし筆舌に尽くしがたい苦労があったろう。さらに、胎内にも入った。鋳物が意外に薄いのが印象的だ。そうでもないと、凄い重量になり、自重で潰れてしまうのだろう。
 高徳院を後にし、江ノ電の線路の周囲をうろうろしながら、次第に鎌倉に近づいていった。なんでそんなことをしていたかというと、この辺に線路沿いにしか侵入できない甘味屋さんがあるはずなのだ。しかし、今回は発見できずだった。
 鎌倉の大通りに入り、適当な糖分補給ポイントを探し回る我々は、適当に選んだ喫茶店に転がり込んだ。給仕のおばちゃんは「お茶だけの注文はダメ。ケーキセットが最低ランクよん」などと申す。これだけ地価が高そうな(鶴岡八幡宮の間近)場所で営業を続けるには、それなりにあこぎに稼がなけりゃならないのいだろう。だがケーキセット(小さいケーキとふつうのコーヒー)で800円はボりすぎだ。恐らく、一見さんのお上り観光客(我々のごとき)をネタに食っているのだろう。二度と行くまい。
 真正面にある和菓子屋さんは、対象的に回転で稼ぐタイプらしい。単品の値段がリーズナブルだ。ここで適当に6品ほど買っておいた。ここはリピーターになるかも。
 山の上の方に鎌倉中央公園というところがあるので、そこでお茶しようということになった。それには、まず北鎌倉まで登らねばならない。ようするに、北鎌倉~江ノ島~鎌倉~また北鎌倉と一周した形になる。
 北鎌倉までは、それなりにきつい登りが待っている。しかし、EPIC号のインナー22Tを発動させれば問題無いわいと、早速インナーに落とした。が、その途端、チェーンがフレームを擦る異音が。チラリとチェーンホイールに目をやると、しかしチェーンはインナーに落ちている。また漕ぐ。異音は続いている。自転車を止め、よくよく見て驚いた。チェーンステーを挟む形になるはずのチェーンが、どちらも上側に来ている。どうも、なんらかの理由でチェーンをチェーンホイールが巻き上げ、EPICの場合はとても狭いアウター、後ろフレーム間(5mm以下)を通り、上に来てしまったようなのだ。フレームのその周辺が傷だらけだ。恐らく、ふつうのフレームの場合、たとえチェーンが巻き上げられても、十分広いフレームとの隙間からすぐ落ちるだけなので、問題にはならないのだろう。
 ともかく、インナーは使わないことにして、ミドルギアでゴリゴリと上がって行った。これでも、この程度の坂なら問題はない。
 多量の車と歩行者の間を縫うようにして走り、やがて最初に訪れた鎌倉五山の前で待っているにち氏の姿が目に入った。合流して理由を説明する。ああ、EPICのフレームにまた傷を付けてしまった。
 ここから鎌倉中央公園に上るには、南側の山岳地帯に突入しなければならない。緩やかな坂を上ってゆくと、かなり急な坂が待っていた。これは歯ごたえあるなと思いつつ上ってゆくと、カーブの先にさらに凶悪な坂が待っていた(滅)。しかしミドル・ローをがしがし踏んで、なんとか踏破。
 坂を登りきった辺りは高そうな家(といってもミドル・ハイレベルだろうか)が立ち並ぶ住宅地。そこから鎌倉中央公園への入り口を探してうろうろする。結局、坂とは公園を挟んで反対側で、やっと公園への入り口を発見した。守衛さんに駐輪場を尋ねると、そのすぐ側のスペースを指差した。ここなら、盗難される可能性は低そうだ。
 公園内に入った。園内はきれいに整備され、少し下ると駐車場も整っている。いくつかの池を挟んで、遊歩道がずっと南の方に続いている。しばらくにち氏と高台に登ったり、遊歩道を歩いたりしていたが、やがて奥まった高台にある東屋に腰を落ち着けた。ここからは、山に囲まれた公園の、まるで箱庭のような風景が見えて、素晴らしい。紅葉の季節に間に合ってよかったと思う。
 さて、火器タイムだ。それぞれに火器を取り出して、お団子に供する飲み物を作る。にち氏は伊豆大島で味を占めたコンソメスープ、僕はいつもの小パックドリップコーヒー。全然和菓子に合いそうに無いやんけ。しかし、我々は茶(あるいはスープ)を飲みながら、まったりとした時間を過ごしたのだった。お団子は美味だった。次も寄ろう。
 夕暮れ時が迫っていた。公園の入り口に戻り、守衛氏と少し話す。この公園は6年前に出来たばかりなのだそうだ。どうりでまだきれいなはずだ。また体験水田の類もあるとか。舞岡公園に似た性格も持たされているらしい。さらに、蛍も見られるという耳寄りな話を聞いた。なんでも、蛍の季節、西にある山崎口から細い川沿いにかけて、蛍が出没するのだそうだ。にち氏と、蛍の季節に蛍見物も良いねと話した。
 帰り道は、北に下り、道路沿いに大船方面に走った。途中で北上するにち氏と別れる。しかし、ここから迷い始めた。というか、にち氏のGPS頼りで、自分の現在位置をちっとも把握してなかったのだ。地図を見ながらどうやらここらしいという位置を推定し、やがて柏尾川にぶつかった。ここで少し南下すると境川までの直通ルートに当たるはずだが、気づかないまま南下してしまい、結局は藤沢駅周辺にまで出てしまった。ここからはなれたルートで境川まで復帰し、自宅へと帰還した。今日はポタるはずだったのだが、案外にハードに走ってしまったような。
 帰宅すると、クロネコのおじさんが荷物を持ってきてくれた。
「自転車何台買った?」
「8台だよ。......買いすぎかな」
 なぜか、しばし大笑い。我ながら多すぎるよな、これは。