Strange Days

2003年08月03日(日曜日)

横浜水道みち緑道探訪記

00時00分 自転車 天気:まだまだ晴れ

 横浜水道みちという古道がある。明治期、横浜の町は急激に発展した。海沿いにある横浜では、その水源を地下水に求めることが出来ず、遠く相模川から引いて来る事になった。相模川中流域にある取水地から、処理場がある西谷浄水場まで、その高低差を利用して、水を引き込んでいる。地下に埋設された水道の上には、概ね道が続いている。水道へのダメージを考慮して、大半の区域で車両の通行が禁止されているこの道は、『横浜水道みち』と名づけられている。自転車と歩行者のための散歩道として、かなりの区画が整備されている。今日は、その一部、南林間から、米軍相模原住宅まで走ってみた。
 昼過ぎに、EPIC号で出動。今まで散々乗ってきてアレだが、このサドル、合わないな。TOPEAKのインタークーラー付は、サドルバッグを着けやすいのと、インタークーラーを試したかったからだ。しかし、このインタークーラーって奴が、どうも効いてない気がする。また長時間乗ると、かなり厳しく会陰部がしびれてくるのだ。これなら、前に使っていたボディージオメトリの方がマシか。
 ダウンチューブ下のボトルケージに、替えチューブなどを収めたボトル型ツールボックスを入れ、もう一本ボトルを持って、家を出た。カメラだのなんだのは、ウェストバッグに入れて腰につけた。が、あまりに詰めすぎてベルトが食い込むほどだったので、バックパックの方が良かったかと、後で思った。
 湘南台でラーメンを食って、さて境川を遡上しようと走り出したときだった。桜並木のところで、一台のリカンベントが停車している。乗っている人の服には見覚えが......。それは、この間受け取った、RecumbentMLの夏用ジャージだったのだ。もしかしたら、と思って声を掛けてみると、やはり前に長後街道ですれ違ったかがみ氏だった。TSUNAMIで走ってきたんだとか。少し話をして、先を急いでいたので別れた。ご一緒できる機会があればいいのですが。
 境川沿いに走っていった。南風が追い風となり、軽い走行感を楽しめる。ロードバイクのそれとは違うが、細身のスリックタイヤで武装したMTBのそれも、なかなか楽しめるものだ。
 R246を越え、やがてグランベリーモールの対岸付近に達した。川をアーチ状に横切る水道管の側に、果たして水道みちへの入り口があった。GPSによると、このままずっと、まっすぐ進んでいけそうだ。
 境川からしばらくは、さくらの散歩道という公園になっているようだ。名前と裏腹に、さくらがインラインスケートで疾走している、などということはない(というかあってたまるか)。曲がりくねっている上に、道路との交差は丁寧に車止めでふさがれ、自転車に乗車したまま通過するのは不可能になっている。ここまで徹底した車止めがあるということは、自転車通行禁止かと思ったのだが、そういう気配は無いし、散在する注意書きにも、自転車の通行を前提とした文言が見られる。
 この遊歩道は、いきなりかなりのアップがあって、驚かされた。水道が通っているんじゃないのか? でもまっすぐ引くためには、その間にある高低差も乗り越えなければならないはず。十分な水圧さえあれば、水は10mまでは持ち上げることが出来るので、そういった工夫を施して、高低差を徐々に使い切りながら西谷まで導いているのだろう。が、まっ平でまっすぐな道を思い描いていた僕には、いささかの不意打ちとなった。
 さくらの散歩道の終端は、堂々たる階段になっていた。......本当に自転車通行可能なのか? しかし階段の中央には板が渡され、いかにも自転車はここをどうぞ、という風情を漂わせている。上がったところにあった注意書きにも、『自転車に乗ったままここを下らないで』と、いかにも降りてから自転車を押して下ってください、といった文言になっている。いずれにせよ、ここはあまり楽しくはない。
 その先は、一般道と交差しながら、あるいはアスファルトの、あるいは土の道が続いていた。一部が駐輪場になっていたり、公園になっていたり、様々な形で活用されているようだ。
 途中、通過した公園で、泥濘に突入して泥だらけになったりしながらも、西へ西へと走っていった。
 やがて、前方に水道みちの終わりが見えてきた。米軍相模原住宅のフェンスが、まるで世界の終わりのように立ちはだかっている。実は、基地の向こう側にも続いているのだが、今日はそこまで走る気になれなかった。自転車で楽しい道ではないな。
 再び境川に引き返し、下流に戻り始めた。
 東名との交差で、例の猫小屋をのぞいてみた。すると、東名を支えるスロープの方から、子猫が2匹よちよちと這い出してきた。その一匹は、先週『これはダメだ』と思っていた、病気の子猫だった。なんと、生き延びていたのか。目やにが凄いし(やっぱりなにかの病気か)、動きも鈍いのだが、なんとか日々を過ごしてきたようだ。その猫の兄弟なのか、あるいはただの同居人なのか、もう1匹のやや大きな猫が、見守るようにして寄り添っている。人間を恐れてないから、やはり世話をしている人がいるのだろう。ペットフードが開けられ、水飲み皿には水が溜まっていた。人間の身勝手だとは思いながらも、小さな命が懸命に生き延びている様を見ると、やはり良かったなといってやりたくなる。
 南風に逆らいながらゆっくりと走り、帰宅した。