Strange Days

2008年06月06日(金曜日)

訃報

23時15分 SF , 思考 天気:雲がかかっている

 気のせいだろうか、このところ文学関係の訃報に接することが多い。
 今日は極めつけ。なんと野田大元帥閣下が逝去されたとは。確かにトシではあられたが、数年前にSFセミナー会場でお見かけしたときには、『まだまだ老け込んじゃいられんぜ』という気迫すら感じられる矍鑠振りだったのだが。
 これで銀河乞食軍団シリーズの完全完結はなくなった。誰か書き継ごうにも、あのケレン味のある文体と勧善懲悪、小が大を食うというスペオペの王道を行く展開は、大元帥閣下以外には醸し出せないものだ。まだまだ日本に紹介したいもの、紹介しなければならないものをたくさん抱えてらっしゃったろうにね。
 大元帥だけなら『まあ、いつかは』と覚悟していなくは無かったのだが、今日はもう1報、思いがけない訃報に接した。氷室冴子女史までが、とは。ここ10年ほど、いや'90年代以降はとんと消息を聞かなくなっていたのだが。
 氷室作品としては、やはり俺はコバルトの『雑居時代』が第1接触だった。あの数子さんは、ちょっとツンデレキャラのハシリっぽいところがあった。擬似近親相姦、ゲイ、学園モノと、それこそ様々な読み筋が雑居している小説で、ライトノベル*1ってこういう話を作れるんだと、その当時思ったものだ。まだ51歳。
 大元帥にせよ氷室女史にせよ、俺には昭和の時代のハヤカワ、コバルトを代表する作家だった。その二人が揃ってこの世を去ったという符合ぶりに、昭和の終わりが遂に来たと思わざるを得ない。後に残るのは、歴史となった昭和という年号だけでしかない。
 ハヤカワもコバルトも、ソノラマと違って存続しているので、なんらかの復刊フェアをやってくれないものかな。