Strange Days

パックス社によるソースコード盗用疑惑

2000年08月17日(木曜日) 20時06分 コンピュータ 天気:くもり

 前に書いたことのあるパックス社によるJM5ソースコード盗用疑惑に関してだが、JM5作者グループによる抗議活動は終結したようだ。パックス社の代表者との直接会談の席上、パックス社より(ソースコード盗用疑惑を持たれた)JMailの販売や開発を継続しないという旨が明らかにされ、JM5開発者グループの主張していた処理が受け容れられたため、抗議活動を継続する必要がなくなったとのことだ。しかし席上、パックス社側からは「Psion関係からは一切手を引く」という意向も伝えられたという。これはJM5開発者側が望んだことではなかったが、同時に利害が絡むことでもないため、あえて異議を差し挟むこともしなかったとか。別に異議はないが意義も見出せない条項で、パックス社の腹いせという観も無きにしも非ずだ。
 これでJM5開発者グループに対する権利侵害は解消され、めでたしめでたしといいたいところだ。しかしパックス社の態度に焦点を当てた場合、初動の対応が大変まずかったこと(前にも書いたが、疑惑の存在自体を否定しようとしたことなど)、そして最終的な権利侵害の経緯に関して、パックス社内部での調査が不徹底であることなどが気にかかる。パックス社の代表者によると、ソースコード盗用の経緯を知る「関係者」が退社したため調査不能という事らしいが、トカゲの尻尾きりよろしく闇に葬ったのではと疑われても仕方ない対応だと思う。疑惑が持ち上がってから解決するまである程度時間があったのだから、その間にある程度調査が出来たはずだ。その経緯は明らかにするべきではなかったのだろうか。これはパックス社の信頼性という問題にとどまらず、オープンソースに対する権利侵害という問題に対する貴重なケーススタディになりえたと思うのだ。恐らく、同様の問題は今後多発するはずだ。オープンソースの開示形態は様々だし、それに対しての世間一般の理解はあまりにも貧弱だ。そこでなにを強調すれば開発者の権利を守りやすくなるのか、あるいはなにを理解すれば/させれば権利侵害を避けることができるのか、また企業の側からどこに注意を払えばよかったのか、貴重な教訓を残してくれたはずだ。そういう意味で、パックス社は最後までオープンソースという概念に対する責を果たしてくれなかったという点が残念だ。


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