Strange Days

国宝探訪

2000年11月11日(土曜日) 23時55分 テレビ

 今日は鍋にしようと思い、材料を捌いていたら10時を過ぎてしまっていた。さっさと作り、鍋を平らげながら国宝探訪を見た。
 今夜は室生寺の五重塔。以前、NHKスペシャルで取り上げられたのをみたことがある。(7/29の日記)
 この寺の五重塔は、屋外にあるものとしては日本最小なのだそうだ。'98年夏、この塔を台風が襲った。1200年間耐えてきた塔を、強風にへし折られた大木が直撃したのだ。早速、五重塔の再建が進められた。この五重塔に関しては以前書いたから繰り返さない。
 室生寺には他にもいくつもの国宝がある。優美な姿を見せる金堂と、そしてそこに守られた仏像群だ。釈迦如来像を中心とした5体(この場合はやっぱり"柱"ではないだろうな)の仏像と、それを護持する十二神将像が安置されている。この仏像に魅せられた写真家は、これらの仏像群には不自然な点があると指摘する。まず仏像の大きさがまちまちである点。そして様式に不一致がある点だ。大きさの違いは措くとして、様式の不一致とはなんだろう。実は室生寺の仏像群は、ここにしかない特有の様式を持っている。たゆとう細波のように優美な曲線で構成された着衣。連波式衣紋というらしい。また光背を彫刻ではなく、杉の一枚板に彩色を施すという形で表現しているのも特徴らしい。これらを室生様式と呼ぶ。このうち、光背の彩色を比較してみると、結局5体のうち3体だけが当初からあったものと推測されるそうだ。
 しかしなおも不自然な点が残る。この3体のうち、地蔵菩薩の光背と本体の大きさが一致しない。通常、仏像の頭部は光背の中心に位置するのだが、それより小さいのである。写真家は、室生川の下流域にある別の寺に安置されている別の地蔵菩薩が怪しいという。それは室生寺の他に例が無い室生様式で作られ、さらに大きさも室生寺の光背と一致する。つまり、本来はこの地蔵菩薩像が、室生寺の3体のうちの一つだったのだ。
 この地蔵菩薩像がなんだって別の寺にあるのか謎だが、そんな大切なものがひょいひょい移動したりするのが不思議といえば不思議だ。


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