Strange Days

八丈島ツーリング初日

2006年06月10日(土曜日) 23時39分 天気:くもりのち雨

 雨の予報だった八丈島。しかし意外に天候は回復し、初日は晴れ間も見える天気となった。


 朝は4:30に起床。パンなど摘みながら*1出発準備を済ませ、立場駅までBD-1を走らせた。地下鉄で上大岡、京急に乗り継いで羽田に。
 羽田で発券してから手荷物を預けると、三井氏の姿に目が止まった。今回は僕と三井氏の他、Asako女史、こば氏、長岡氏とご一緒することになっている。Asako女史、こば氏は昨日から在島しているはずで、長岡氏は今日の船便で向かっているはずだ。
 八丈島までの便はANAのA320だった。バスで発着するというインタフェースは初体験だった。
 飛行時間は40分。あっという間に到着してしまった。直線距離からすれば、広島よりも断然近いんだな。
 空港のロビーを出ると、目の前に八丈富士がどーんと屹立している。富士、などと名づけたくなる気持ちもわかる、紡錘形の綺麗な山だ。
 さて宿は。ターミナル前に屯していたタクシーの運転手に聞くと、空港の真横の道を走って空港の下を潜り、十字路はそのまま通過、やがて変形五叉路に出たら右の道ということだった。その通りに進むと、写真で見た憶えのある建物に出くわした。写真を見てなかったら通り過ぎていたろう。
 とりあえず自転車を止め、ふと横を見ると、先発二人の自転車が止められていた。これがシャルムハウス。土建屋の倉庫といっても通じそうな佇まいだ。
 宿の受付らしきところは無かったので、しばらく玄関*2を出入りしていたら、上からこば氏らが降りてきた。こば氏たちも宿の人間を見かけてないという。これでいいのか。
 電話をかけてやり取りする。要するに玄関を入ってすぐの連絡版に部屋割りをしてあるので、その通りに入るのが正解らしい。しかし部屋割りなんてされてないよ? やっと宿のおじさんがやってきてくれた。部屋を三つ割り当ててあるので自由に割り振って良い。車は適当に使って良い。宿泊名簿に書いて夕食時に持ってきて欲しい。必要事項はそれだけなんだそうだ。いいのか、そんな緩くて。これが島のやり方なんだろうか。せせこましいクロノポリスの住民だった我々に、生温い冷や水を浴びせ掛けるような出来事だった。
 ともあれ、部屋を適当に振って入った。かなり広い8畳部屋を三つということだったので、一人頭が広々としている。宿の回りもいい加減緑が多い。荷物を入れ、最後の長岡氏の到着を待つ。長岡氏は多少迷いはしたが、無事に到着する。これで全員が揃った。
 ちょっと間を置いて、昼前にいよいよ出発する。まずは八丈島ビジターセンターを目指す。ここで観光案内書の類を期待していたのだが、そういうまとまったものは無く、八丈島の風物を散文調に展示してあるだけだった。
 昼食場所に向かう前に、この近所でどうしても見ておきたいものがあった。看板を頼りに進むと、いた、きょんだ! い、いや、それだけなんだけど。最初は犬かと思うくらい、小さな鹿の仲間だ。別に波涛砕ける磯辺に居たりしませんよ?
 昼食は、相談の末、近所の銀八で。最初に飲み物を聞かれたので明日葉茶を頼んだ。びみょ~。すしは島寿司と鉄火巻、河童巻を適当に頼んだ。島寿司は漬けのネタをからしでいただく寿司なのだ。悪くないが、感動するほどでもない。
 昼食後は、いよいよ八丈島の探検だ。まずは厳しそうな登りの無い八丈富士側周回だ。八丈富士を左に見ながら、淡々と走ってゆく。こちらには基本的には何も無い。建物もほとんど無い。農家を数軒見ただけだ。
 途中で展望台に登ってみた。灯台が見えたりして絶景であった。瀬戸内の、どっちを見ても島ばかりという眺めとは逆の、さっぱりした眺めだった。
 ほぼ一周した辺りで、南原千畳敷という名所を目指す。ここは八丈富士から噴出した溶岩流が流れ落ちた場所。新しいので風化は進んでいない。そこかしこに荒々しい凝結溶岩が顔を出している。
 しかし、ここで感動したのは、海の青さだった。荒々しい波が岩場を乗り越えるときに沸き立ち、その気泡を背景に水の蒼さがくっきりと浮かび出る。海の青さを形容して、空の青さを溶かしたようなとは言うけれど、むしろ深海の闇を希釈したような、引き込まれそうな青さだった。
 波の荒さも印象的だった。東宝映画のオープニングを3本分は撮れそうだ。
 いったん宿に戻り、偵察もかねて、車で八丈富士に登ってみた。この傾斜がすげえ。場所によっては20%越えているのでは。坂を好まないメンバーもいるので*3、ここを自転車で制覇するのは後回しにしようと思った。
 7合目近辺に鉢巻道路という周回道路が走っている。多少のアップダウンはあるが、自転車で走ると気持ちよさそうだ。
 ふれあい牧場に閉鎖10分前に突入するも、自販機の牛乳類は売り切れ。なんてこった。が、ここからの眺望は絶好だった。展望台から眼下を見下ろすと、ちょうど空港からA320が飛び立つところだった。
 牧場だから牛も居る。面白がって呼んでみたら、こんなでかいのもやってきた。
 八丈島の衛星島というべき八丈小島も良く見える。
 宿に帰り、温泉に行く。この宿、風呂を沸かすのが面倒だからといって、温泉のただ券をくれるのだ。今日は安らぎの湯に入った。やけにしょっぱい湯だったが、八丈島はこういう湯質のところが多いのだそうで。
 宿に戻り、6:30からお食事タイム。食事はごく普通の、要するに家庭的なそれだったのだが、量が半端じゃない。これ、普通は一食分のメインディッシュだろといいたくなるような皿が、次々に出てくる。みんな3食分だろうといっていたが、僕にとっては4食分はあった。とても食べきれず、もったいなくも残してしまう。
 この宿の目玉の一つが、焼酎飲み放題だ。それも宿にいちいち申告する必要なんて無くて、氷と水を出してくれるので、適当に作って飲んでくださいというスタンスだった。ビール以外は無料なので、ウィスキーなども無料分に入る。氷が足りなかったら台所からもらっても良い。というか、途中で賄いのおばさんたちが帰ってしまうので、我々だけという状態なのだ。いいのか、こんな緩くて。でも快適だわ。
 焼酎は後を引かないので、酒に弱い我輩も結構なピッチで行ってしまう。同じ趣味の5人が陽気に酒を酌み交わすうちに、夜は更けていった。明日もあるからと、22:00過ぎには就眠となった。
 しかし、島の緩い時間の流れが心地よい。

Add Comments


____