Strange Days

九州北部山岳戦(3日目)

2007年04月30日(月曜日) 23時55分 天気:まあまあ

 3日目の今日は、西日本有数のカルスト台地、平尾台へ往復する。拠点を中津に置き、荷物を減らしてのアタックは楽勝と考えていたのだが、欲を掻いて平尾台まで完全自走をもくろんだのが裏目に出ようとは。


 ホテルで朝食を取り、出たのは9:00過ぎだった。本当は中津駅から平尾台近辺の行橋駅まで輪行する予定だったのだが、地図を見ると30km弱程度の距離と思えたので、自走でアプローチすることにしたのだ。
 行橋までは延々とR10を突っ走ってゆく。概ね平坦ではあったが、時折車と競合するのと、やや向かい風だったのとで、消耗してしまう。少し暑かったというのもあるか。
 行橋で進路を西に取り、少し幹線を走ってから、平尾台に向かう道に乗り換えた。ほどなく登りが始まるが、昨日の疲労の上に、アプローチ分の疲労までもが乗った足には、5%程度の登りでも十分つらい。じりじりと登っていった。最大傾斜は10%超、もしかしたら15%あったかもしれないが、ほとんどは10%以下だ。
 苦労の末、平尾台の天辺辺りまで登りつめた。秋吉台もそうだったが、カルスト台地の頂部は、なんとなく風景のスケールが大きく感じる。潅木程度で、樹相が単純だからだろうか。
 小公園でトイレ休憩を取り、多少逡巡したが、鍾乳洞を見ることにする。ここで最大の洞窟は、千仏鍾乳洞という。そこまでは、えらい下ってゆかねばならない。えーっ、これだけ登り返すのかよ。
 かなり下って駐車場に入ると、2台の自転車がくくりつけられているが目に入った。1台はMR-4Fだ。これ見よがしに、すぐ近くに止めておいた。
 さらに徒歩で坂道を下り、ようやく鍾乳洞の前に出た。腹が空いていたので、みやげ物屋の食堂で肉うどんを平らげた。これで腹ごしらえは良し。
 この鍾乳洞、途中から水の中を進むことになるのだそうで、みやげ物屋でサンダルを貸してくれる。それを借り、ロッカーに荷物を入れて、入場料を支払ってから洞窟に入った。
 前半は地味な鍾乳洞だった。照明が控えめで、なおかつ長い間水中にあったために地肌が茶けていたので、秋吉台の見事なそれに比べると、いささか見栄えに欠ける。湿っぽさに閉口しながら進んでゆくと、やがて床面が水中に没している。さあ、いよいよ水びたし体験だ。
 足を水に漬ける。これは冷たい。夏場なら気持ちよさそうだが、冬場には堪えそうだ。今の時期は、長い間漬けているとかじかんでくるので、適当に自ら上がって暖めてやらなくてはならない。幸い、水から上がれる岩場には事欠かない。
 水をジャブジャブやりながら歩いてゆくと、時折かなりの深みに出くわす。大人はともかく、子供にはこれは脅威のようで、前後でキャーキャー騒ぐ声が絶えない。僕も、子供の頃の川遊びを思い出してきて、折り返し地点に来た頃には、かなり愉快な気持ちになっていた。
 やがて照明のある地点は終わり、実はその先にも続いているのだが、装備が無いので折り返すことにした。いやはや、こんなものを一般公開して良いのかと思うくらい、愉快な洞窟だった。
 駐車場に戻ると、先ほどのMR-4Fのオーナーを含む二人連れがいて、声を掛けてくれた。大阪からきて、この近辺で遊んでいるそうだ。MR-4のタイヤの話などして、では気を付けてと分かれる。
 僕も出発し、このまま帰るつもりだったが、ちょっと気が変わってもう一つの洞窟に行くことにした。牡鹿洞という鍾乳洞が、もう少し東の方にある。この洞窟、日本では*12例しかない垂直型鍾乳洞だという。
 なにせ垂直型なので、鍾乳洞の入り口は鉄の階段を下りてゆくのだ。道内は、垂直型というだけに、アップダウンがとても多い。
 洞窟はT字型で、T字路の左右に見どころがある。その一方に神秘の泉というのがある。人一人が潜り込めるくらいの穴の横に、『穴奥を覗き込むと地下25mから湧き出すブルーグリーン色の湧水が見えます』なる表示がある。暗くてさっぱり分からなかったので、携帯電話のLEDライトを点灯して覗き込んだ。あった。確かになんだか深いところから湧いてるっぽい泉があった。苦労して写真を撮ってみた。見ているうちに、なんだか恐くなってきたので、その場を退散する。諸星大二郎っぽく、地底湖人魚でも住んでいそうな気がした。
 T字路に戻るところで、おやまあ、さっきの二人が。よく会うねえ。
 穴から出て、行橋まで下っていった。道にローリング族対策の路面加工が施してあるのだが、華奢なMR-4F改で走ると、振動で分解するんじゃないかと思った。
 行橋からは輪行で中津に戻った。さすがに、自走で戻る元気は無かった。ホテルに着いた頃から雨が降り始めた。明日の朝までには止むそうだ。それにしても、毎日70km弱の行程なのに、かなり消耗している。坂か、坂がいかんのか。

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