Strange Days

NHKスペシャル 日本人はるかな旅

2001年09月09日(日曜日) 23時39分 テレビ

 今夜のNHKスペシャルは「日本人はるかな旅」第2夜は"巨大噴火に消えた黒潮の民"。
 冒頭は見逃したが、トカラ列島辺りの海底火山が大噴火し、南九州にあった大集落を滅ぼしてしまったという話だと思われる。縄文時代、約6500年前のことだ。かつて、縄文文化は北方優勢で、東日本から北日本にかけて存在し、西日本ではそれほどの勢力でもなかったと思われてきた。ところが、近年になって大隈半島などから大規模な縄文集落が発見されている。実は、6500年前の大噴火により、その形跡が拭い去られていただけだったのだ。
 彼らはどこからきたのだろう。
 氷河期、地球の海面は大きく下がり、今では水没している広い陸地が現れていた。その一つに、インドネシアを中心とする亜大陸があった。この地は氷河期にも温暖で、簡単に食料を入手できたため、大人口を養うことができた。ジャワ島は原人の宝庫といわれる。
 やがて氷河期が終わった。すると水面が再び上昇し、亜大陸が水没し始めた。人類の生息地が減少し始めた。これに促されて、人類は初めて船による航海を試みるようになったと推測される。最初は河川を渡るための筏を竹で組むことから始まったと考えられる。それがやがて川下の大河に、そして遂に海へと至った。その過程で筏はより渡洋性の高い丸木舟へと発展したと思われる。この丸木舟の建造に必須なのが、木を加工するのに適した丸ノミ石斧だった。そしてこの丸ノミ石斧は、九州南部の遺跡からも出土している。つまり、亜大陸から逃れた一派は、九州南部にまで到達していたのだ。
 その航海は一度では済まなかったと推測されている。まず彼らはフィリピンに到達した。ここまではジャワ亜大陸からは目と鼻の先だ。だが日本まではさらに広い海が広がっている。この航海を可能にしたのが、赤道から北上し、日本近海を流れる黒潮だったと考えられている。沖縄には石器時代の港川人が住みついていた。ところが、沖縄から九州へは、今度は日本本土から離れて流れていた、当時の黒潮の流れが阻んでいたのである。
 しかし、氷河期の完全な終息とともに、黒潮は現在のように本土沿岸を流れるように向きを変えた。その時初めて、南方の人々は本土へと足を踏み入れることが出来たのだろう。彼らは照葉樹林が広がり始めていた九州南部で、丸ノミ石斧の技術を用いて作成した石斧を用いて森を切り開き、最初期の栽培農業すら始めていたようだ。彼らの痕跡は巨大火山の噴火により途絶えたが、彼らが死に絶えたわけではない。彼らが日本のより北へと逃れたことは、現代人にも彼らの特徴が受け継がれていることからも明らかだ。こうして南方から来た人々も、人種の坩堝と化した日本列島の一員となったのだ。


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