Strange Days

戦争に進む世界

2001年09月12日(水曜日) 23時44分 思考 天気:くもりか

 一夜明けて、アメリカでは急ピッチで救助作業が進んでいる。既に何十人かの被災者が救助されているようだ。しかし、なおも数千人の行方不明者が、瓦礫の下に埋もれている。彼らの大半が、再び日の光と目にすることがないのは明白だろう。一体、数千人もの行方不明者のどれほどが、この世界への生還を果たすことが出来るだろう。
 ブッシュ米大統領は、既に報復を繰り返し表明している。今の状況では、これに積極的に反対する勢力はほぼ皆無だろうと思われる。アメリカが戦争に向かうということは、日本を含む自由主義(資本主義)社会も、その動きに巻き込まれるということだ。憲法上、直接的な派兵はありえないが、後方支援の名目で自衛隊が派遣される可能性はある。するとまたしても国民の負担が増加するだろう。増税ということになるのか。それにしてもひどいタイミングでテロをやったもんだ。タリバーンはイスラム社会からすら否認寸前の状況に陥っているのだが、これではイスラムに無関心の国々からも非難を浴びることだろう。
 それにしても、政府はどれくらい"支援"するつもりなのだろう。タリバーンを初めとする過激派勢力は、アメリカの同盟国である日本も、当然のことながら敵視していると考えるべきだ。日本に対してもテロの可能性はある。治安当局の能力は高いものの、外国人による大規模テロに対してはどうだろう。危険性は高い。特に、近年はイスラム圏からの入国者が急増しているのだ。害意を持たないイスラム圏の入国者を守るためにも、早急なテロ対策が望まれる。って、俺はNHKのニュース解説委員か。
 支援が後方支援だけならいいが、直接戦闘員の投入となると、明らかに憲法違反だ。だいたい、日本国憲法は集団自衛権も放棄するという不思議な条文もあるので(WW2時、ファシズムを打倒した連合国の体制をどう考えているのか)、どのような関与も常に憲法違反の疑いを持たれる。
 いっそのこと、あらゆる戦力の投入拒否を宣言するのはどうだろう。その代わり、先進国唯一の非キリスト教圏という立場を生かし、イスラム諸国を説得し、ラディン一派、更にはタリバーンのイスラムからの破門を宣言させるのだ。それにより、ラディンが望んでいるだろうキリスト教圏 v.s. イスラム教圏の対立という危機を脱し、単なるテロ集団として処理することが可能になる。最終的に流される血も、アメリカや同盟国の負担も大きく低減できるだろう。またイスラムからの逸脱をタリバーンが認識すれば、軌道修正によりラディンを排除してしまう可能性も狙える。日本は、こういう芸当が可能な地位にあると思うのだが。国益に添わない戦争行為を回避し、更には諸外国の対立をも終息させるべく努めるのが、大国である日本の政府が担う義務ではないだろうか。もしもそうして戦争の痛みを和らげ、国民に一滴の血も流させないで済むのなら、僕だってこの国のことを心底誇りに思うことが出来るのだが。


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