Strange Days

二河峡

2002年12月30日(月曜日) 20時00分 自転車 天気:よく晴れてる

 ママチャリ号を二河峡へと走らせた。二河峡は呉の市街地を流れる二河川の上流、約3kmほどの所にある渓谷だ。こんなに市街地に、そして河口に近い渓谷は珍しい。子供の頃はよく遊びに行ったものだ。去年の夏にも訪問したのだが、大雨や地震で大岩が流されたり倒壊したりして、その景観は随分変わっていた。かつてはこんなに雑然としたものじゃなかったはずだが......。そんなことがあって、足は遠のいていた。
 今日、訪れたのは、ただの気まぐれだった。が、おかげでいろいろ面白いものを見つけることができた。
 ママチャリ号でえっちらおっちら遡上する。このママチャリ、背の低い母に合うサイズゆえ、僕には思い切り小さすぎる。特にペダルが近すぎるのがつらい。サーカスの熊のような塩梅で、ペダルを必死に回しながら走った。
 やがて二河峡公園に着いた。自転車をかつての茶屋跡に止め、すぐ近くの鉄橋で対岸に渡り、上の方に登る階段に進んだ。落ち葉が深く積もり、人通りは少なそうだ。登りきったところには鉄の門があり、この辺りに水道施設があることをうかがわせた。
 さらに進むと、展望台があり、テーブルと椅子がいくつか設けられていた。そこからは雄滝が見下ろせる。雄滝は大きな岩の一枚板を流れていて、その景観だけで公園を作るに値すると思った。惜しむらくは、場所が奥に入りすぎていて、ちょっと気軽には来れないという点だろう。
 展望台の脇に水が轟々と流れ出る水路の出口がある。近代水道の最初期の設備だとかいった銘板が貼ってある。その脇に岩をえぐった階段があったので、登ってみた。ちょうどトンカラリンみたいな感じで数メートル登ると、もう終点で、行き止まりだった。金網がめぐらされ、ここも水道設備の一環だということがうかがえた。というか、そう書いた表示がやはり掲げられていたのだが。
 展望台に戻り、来た方向を見ると、その脇に川の方に向かって階段が続いているのが見えた。この階段は、やはり落ち葉が積もり、また壊れかけてもいたので、やや危なっかしい。幸い、履いているのはライトトレッキングシューズだ。
 下って行くと、滝見橋という吊り橋に出た。その名の通り、雄滝を見上げるには絶好の場所だ。対岸に渡り、さらに道は上の方に続いている。そのつづら折りの道を歩いて行くと、岸壁に不動明王が彫られ、その回りにたくさんの像が並べられた地点に差しかかった。滝に不動明王はつきものだが、ここの像たちは人気もないため、かえって神秘的に写る。デジカメにその光景を納めていたら、上の方でなにかが動いた。よく見ると、不動明王像の上の方にも細い道が続いている。そこを歩いて降りてくる人がいたのだ。
 その細い道には立ち入らず、手すりで補強してある比較的立派な道(とはいえ苔むし、やや危なっかしい点に変わりない)を登っていった。途中、さっき上の方から降りて来ていた男性とすれ違い、挨拶を交わす。散歩中のおじいさんでした。
 道を50mほどの上り詰めると、なんと車道に出てしまった。この辺では旧道という細い道だ。ここから二河峡公園に戻るにはどうすればいいのだ? 簡単には戻れそうになかったので、苦笑いしながら来た道を戻る破目になった。
 滝見橋を渡ったところで、さっき降りてきた道と別に、下流に向けて道があることに気付いた。ここを降りて行くと、さっきの鉄橋まで戻れた。
 ママチャリまで戻り、近くの案内板でさっきの順路を確認した。さっきの不動明王ゾーンは観音堂というのだと思っていたのだが、それとは位置が違う。どうも別に観音堂という本格的なものがあるらしい。
 ママチャリにまた乗って、今度はいつもの河口の公園へと走った。いつも人気のないここに、珍しく先客が。公園の真ん中には、昔の庭園の名残で枯れ山水風になっている場所があるのだが、なんとその岩の上にトライアルバイクでよじ登っている連中がいたのだ。いやはや、こんな場所で見かけようとは。こんな小さな公園でさえ、公園トライアルは行われているのだった。しかし、この先復元するかもしれない庭園を使ってやるのはやりすぎだ。
 日も暮れてきたことだし、踵、いやホイールを返して、家路を急いだ。


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