Strange Days

日蝕

2009年07月22日(水曜日) 23時14分 星見 天気:雨時々くもり

 小学校の頃だったか、日食を見たことがある。それは部分日食だったはずだ。前日、ガラス片に煤を付着させた簡易サングラスを作り*1、それでもって太陽が欠ける様を観測したのだ。太陽が欠けることよりも、食最大の前後に周囲の雰囲気が一変し、まるで黄昏時のようにカラスたちが騒ぎ始めたことが、未だに印象深い。
 で、今回の日食だが、気がついたら終わっていた。勤務している建屋が大きく、座席から窓までは遠い上、省エネとやらでブラインドが常にかかっているので、外界の変化に気がつかなかった。また勤め人の性で、目の前に処理すべき案件があると、外のことなどにまるで気が回らなくなる。おかげで、ふと思い出したのは昼時という始末だった。意外に日像がよく見えたらしいので、惜しいことをしたもんだ。
 まあ、本土からは結局部分日食だし、部分日食ならまた拝めると思う。しかし、あの日が翳って一変した雰囲気というものは、この先もなかなか味わう機会が無いだろう。
 卑弥呼の死について、その直前に起こった皆既日食を恐れた豪族たちが、犠牲にしたとの説があったと思う。日食中のどこか浮つき、騒然とした雰囲気の中では、確かにあったかもしれないと思わせるものがある。日食のときに僕が体感したのは、そのような異常体験だった。できれば、もう一度くらい、あの雰囲気を味わいたいもんだ。


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