Strange Days

出雲の国ツーリング初日

2009年08月17日(月曜日) 23時52分 , 自転車 ( 自転車旅行記 ) , デジタルカメラ 天気:快晴

 半日ほどもサンライズ出雲に揺られた末に、ついに出雲市駅に到着した。
 宿で荷物を受け取り、難なくSatRDayを組み立てて出発、と思いきや……。


 サンライズ出雲はひた走る、夜の鉄路を。眠れないのではという懸念はあったが、意外に数時間の睡眠時間は確保できた。が、やはりガタピシ揺れる車内での眠りは浅かった。途中、深夜の名古屋、大阪と通過する。播州に入る頃には夜が明け始めていた。
 列車は岡山でサンライズ出雲とサンライズ瀬戸に分割される。そしてここで車内販売の要員が乗り込んできて、ラウンジで朝食の販売が始まるのだ。事前情報でそれを知っていたので、車内販売開始の放送があるやいなや、ラウンジに向かった。ちょうど女性販売員が弁当を積み上げて販売を始めたばかりだった。見たところ、そんなに数が無さそうだ。弁当3種、サンドイッチをそれぞれ10個足らず、コーヒーがポッド一つ分くらい。鯖寿司があったので買ってみた。結構な分量があり、まだ4時間ほども乗っていなければならないのだが、もはや空腹の心配をする必要はないだろう。
 なおも睡眠時間を稼ぎ、また車窓の風景を眺めているうちに、列車はついに出雲市駅に到着した。到着は9:58のことだった。ほぼ半日乗ってたんだな。しかし、意外に快適だった。次はノビノビシートでもいいかな。
 降りる前に、部屋の様子を再度撮ってみた。これで広さは大体伝わるだろうか。ラゲッジスペースは左手前のベッドサイド、上側のテーブルしかない。強いて拡大解釈すれば、左上の沓脱ぎと窓際の張り出しくらいか。いずれにせよ、ここに自転車を持ち込むには、かなりの覚悟が要りそうだ。今回は別送してよかったな。
 明るい日の下で、サンライズ出雲を撮っておいた。
 宿は、出雲市駅のすぐ近くにある、出雲ステーションホテルというところだった。
 フロントのフレンドリーなお姉さんから、別送してあったSatRDayのケースを引き取り、駐車場で組み立てた。難なく組み上がり、これで万全と思いきや。
 んっ、なんか、タイヤの圧が低くね? 収納する前に入れておけば良かった。では、一緒に送ってあったクランクブラザースのコンパクトポンプで、シュシュッと圧を……。
 上がらん。どうしたことか、40PSI辺りからちっとも上がらない。どうやらパッキンから漏れているっぽい。な、なんてことだ。
 代替のポンプを求めての放浪が始まった。Willcom03を取り出し、グーグル先生に近場の自転車屋をお聞きする。一番近そうな店に行ってみた。うむ、ここはバイク屋っぽいな。他にないかな。駅に戻る途中で、これは本格的なスポーツバイク店とお見受けする店発見。やった! しかしドアが開かない。もう開店時間は過ぎているようだが、盆休みなのか。くっ、ツいてない。
 ツいてないときにはとことんツいてないものである。それから大規模な小売店舗を回ってみたのだが、いずれにも自転車関係の売り物はない。
 もう昼が間近だ。暑気と空腹と精神的ダメージとで、足下がふらふらだ。急遽取り出したLOOX Uで見たプロアトラスW3ではジャスコとなっていた店が、なぜか別の店舗だった。そこにもない。さらにがっくり。
 ジャスコはもう一店舗あるようなので、そこに行こう。一縷の望みをかけて店を出た途端。発見、店の対面に、ちゃんと営業中の自転車屋を。店内をのぞくと、まるで僕のために用意されたかの如く、ブリヂストンのミニフロアポンプ*1がぶら下がっているではないか。店の人を呼び出して、早速買い付ける。これで空気を入れると、今までの苦労があっさりと解消され、瞬く間に適正圧まで入った、と思われた*2。が、さっきまでのゆるゆるでグリップも怪しい状況からすれば天国だ。
 こういう時には、なぜか別の自転車店も次々に見つかるのである。先の店主の勧めに従って出雲大社に向かう道すがら、何軒かの自転車屋を発見してしまう。
 さて、やっと出雲大社に向かう。途中で見かけたでっかいドーム。出雲ドームという複合スポーツ施設だそうな。さらに道すがら、島根ワイナリーも発見。ここは後で。
 出雲大社までは、それほど掛からなかった。門前にある観光案内所で駐輪所を尋ねたら、1台なら横に止めていいといわれた。その言葉に甘え、SatRDayをつないでおく。
 出雲大社は本宮の修繕中で、現在は仮宮での営業中だ。本宮には、東本願寺のように巨大な覆いが掛かっている
 境内には他にも見ものが多い。社務所に掲揚されている国旗は、日本最大のものなんだそうな。実際、最初はスケールを見誤ってしまい、『あれ、近くに掲揚されているはずだが』などと間違ってしまったくらいだ。
 この謎の像は、巨大な玉の接近に『参った、降参!』という場面、ではないと思う。
 門前町を徒歩でうろつく。昼食場所を求めてだが、多くの店は昼の部の終了で、一時店仕舞いした後だった。
 途中見かけた、一畑電鉄出雲大社駅の駅舎。大正モダニズムの香り漂う、古びた駅舎だ。ジモティからすれば単に古くさいだけの建物かもしれない。しかし、これ自身が観光資源だと思う。改札口からのぞき込むと、これも古びて丸い、愛嬌のある電車が待っていた。
 腹ごしらえのために、ここに来るまでに見かけた店をたどることにする。出雲大社横にある歴史博物館まで戻り、向かいのそば屋、やしろやで昼食にありついた。出雲そばを注文する。出雲そばは、そばが輪っぱに盛られ、上から薬味と汁をかけて頂く点が違う。感動するようなものではないが、そばの食べ方としてはこっちの方が好みだな。
 歴史博物館も襲う。\1300とちょっと高めだったが、中は想像以上に見応えあり、駆け足だったのに2時間も要してしまった。特に1/10古代出雲大社本殿は、いろいろ想像をかき立ててくれる。
 SatRDayをまた門前町に向け、大鳥居をくぐって少し走らせると、旧国鉄出雲大社駅が待っている。ここも戦間期の自由な空気が感じられる、これ自体を歴史遺産にしたいような建物だ。も大きなホール状になっており、盛時を忍ばせる。
 駅舎の向かいにはレールが残り、ホームの端にD51が止まっていた。動態に復する予定はないのだろうが、駅舎も含めて何らかの修繕が進んでいる形跡はあった。
 ちょうど、コンパクト三脚を持ってきていたので、駅舎を背景に記念撮影もしておく。照り返しがまぶしすぎて、笑顔がサイコホラー的に歪んでいるのはご愛敬。
 一度、大社の方に戻る時に、ついでに大鳥居の撮影もしておく。近代の建立だが、でかさは日本最大級だとか。最上稲荷とどっちが大きいのだろうか。
 帰路、島根ワイナリーに立ち寄る。時間が早ければボトリング工程の見学もできるようだ。試飲館で土産物を買っておく。試飲できないので切ない。
 ホテルに戻り、もの凄く疲れていたので、しばらく部屋で頓死していた。それから外に食事に出かけたら、店がことごとく閉まっている。飲み屋くらいしか開いてないよ。出雲の夜は早いのである。
 部屋に戻り、島根ワイナリーで買った甘いワインをやる。ぐぅ、確かに甘い。これはアルコール入りネクターだ。
 かくして、とりあえず出雲大社詣でという目的は果たせたものの、夏の暑さに打ちのめされた我が輩は、早速沈没してしまうのだった。

Add Comments


____