Strange Days

しまなみ縦走2010初日

2010年03月20日(土曜日) 22時10分 自転車 ( 自転車旅行記 ) , , レジャー , 天気:概ね良好その後強風豪雨落雷

 さて、ついに許されざるおっさんたちによる許されざるしまなみ縦走の日がやってきた。だいたい、いつものコースを通るのだが、今日は寄り道をたっぷりしてゆく腹積もりだった。それが、あんな恐ろしい事態を招こうとは……。


 朝は6:00過ぎに起床。自転車を呉駅に走らせ、広、三原で乗り継いで尾道に出た。尾道駅前では、既に他の自転車乗りたちが、三々五々集結し、あるいは旅立っている所だった。
 今日は僕とこば氏、つっしー、そしてしまなみマスター長岡氏で走る。Bromptonなこば氏を除くと皆バイクフライデーのアップライト車だ。ポケロケとポケラマとでは、構成は同じなのにパイプ系が大分違うのを発見した。
 皆揃ったところで、しまなみ交流館でスターティングキットをゲットする。といってもバッチとスタンプ用紙くらいだが。また、いつもなら通行チケットを買うところだが、半額で買えるサイクリングクーポンというものを今日から使用可能なので、駅の観光案内所で各々入手しておいた。これは各橋で50円相当の金券として使えるチケットを10枚、各種施設で割引を受けられるクーポン5枚綴りを合わせたものだ。
 さて、まずは駅前渡船で向島に渡る。そして最初に目指したのは、後藤鉱泉だった。おばちゃんに出てきてもらって、ミルクセーキを買い求める。懐かしい。店でおばちゃんと話していたため、写真を撮り忘れた。
 次に目指したのが、今回初見の岩屋山だった。上陸地点の東、旧日立造船の裏に立つ山だ。ここは観望を得るつもりで調べていたのだが、意外に面白そうな場所であると分かったものだ。
 尾道には山中に巨石が散見される。この岩屋山にも、それら尾道の巨石群と対応するように、巨石が姿を表している。そしてそれらの巨石群には、夏至、冬至観測のためのスリットなど、人工的に加工された跡が散見されるらしい。また尾道の山中に建つ千光寺などの大刹は、実はこの岩屋山に向けて立てられているという説もあるようだ。それら大刹の創建は古く、一説には白鳳時代にまで遡れるらしい。それらのことから、これらの寺社、巨石群は、白村江の役直後に、大和朝廷が瀬戸内に巡らした防衛線の一角であるという説を唱える人もいるらしい。
 実は、この岩屋山を中心とする古代ロマンを売り出そうという機運があり、後藤鉱泉でもそのパンフレットを入手できた。また岩屋山に近づくに連れて、赤い派手な幟が立て並べられているのが見えた。
 岩屋山の中腹、自転車で登れるところまで上り、そこからは徒歩で登ってみた。散策ルートは設定されているが、こば氏が道を開拓してしまい、何時の間にやら直登攀で巨石群に接近していた。
 山頂の神社まで行く時間はないので、やや南の巨石群を見てまわることにした。多くは自然石に見えるが、奇妙な形に侵食されていたり、明らかに人工的に加工されていたり、更にはレリーフが施されていたりで、いい雰囲気を醸し出している。ここが何らかの信仰の対象だったことは明らかだろう。
 登り切ると、対岸の尾道が一望できる。なるほど、千光寺が対面に見える。しかし、細い尾道水道を挟めば対面するのも当然であり、何を以て"向けられている"とするのかは微妙だ。もっとも、その尾道水道そのものが、実は人工的に開削されたものであるという説を目にしたことがあり、それを含めて考えると余計に興味深い点だが。
 この辺には赤い幟が煩いほど立てられている。尾道、やる気だな。古代ロマンで売り出すか。応援するぞ。グラハム・ハンコック辺りがやってきて、物凄く適当で思わせぶりな言葉を残して行く日は近い。
 さて、岩屋山で時間を費やしたので、先を急ぐ。とはいえ、この辺りでは危機感皆無で、いつもの様に南岸に抜けるやや遠回りルートを走った。そしていつもの橋見ポイントで撮影
 橋の根元で向島唯一のチェックポイントをゲットし、橋を渡る。因島大橋は、広い原付専用レーンと、狭い自転車歩行者用レーンに別れ、大不評だったのだが、何時の間にやら自転車は原付レーンを走ることに変更されていた。これで歩行者の安全性が高まり、自転車の安全で快適性が高まった。原付も交通量は多くないので、問題ないだろう。
 因島でのチェックポイントの一つは、フラワーパークだった。去年もそうだったが、やや高所にあり、また少し分かりにくい場所にある。ここではっさくをもらい、一つ貪り食った。うまい。
 はっさくついでに、生口橋近くのはっさく屋に入る。ケースにはっさく大福が一つしか無くてがっかりしたが、ちょうど出来上がるところで、少し待って出来立てを買えたので結果オーライだ。はっさくの上品な甘さとほろ苦さが良い。
 この辺まではのほほんと走っていたのだが、時間が気になり始めた。今日の宿は大久野島だ。そこへは大三島北岸の盛港からフェリーで渡るのだが、最終便が16:00なのだ。昼食をとっている暇はあるだろうか……。
 短い打ち合わせの結果、今後の行程を大幅に簡略化することにした。ドルチェも耕三寺も岡哲も無しだ。適当に飯を食って、ひたすらストイックに走る。
 食事は、幸いなことにしま一が空いていたので、穴子丼にありついた。この時点で、『今回は参加者がずいぶん少ないね』という話題が出ている。悪天の予報に皆控えたのではと推測された。
 ここから盛までは、まさに時間との競争となった。時計を睨みつつ、スタンプをゲットし、淡々と橋を渡る。そして盛港に到着したのは、フェリー到着の15分前のことだった。間に合ったか。その間、どこにも寄らなかったけどな。
 フェリーは、我々許されざるおっさんたちを、瀬戸内の孤島大久野島に連行していった。初上陸だった。上陸してすぐ、バス乗り場辺りで観光客に群がるうさぎの群れを発見。期待に胸が膨らむ。
 とにかく、自転車を走らせ、島唯一の宿に向かった。大きくて綺麗なホテルで、想像していたよりもずっと快適に過ごせそうだ。
 宿泊プランは、兎んちゅプランと言ううさぎグッズをもらえるプランだった。我々おっさんたちは、アメニティを辞退する代わりにうさぎグッズをさらにゲットした。ウサギ型の箸置きをもらった。後で売店を覗くと、一つ\300で売っているものだった。意外に良いものだ。
 さて、部屋に荷物を置いて、兎愛でツーリングの本番だ*1。フロントでプランに付属の引換券を差し出すと、兎用の餌をもらえる。ドライタイプのラビットフードを、園芸用の小型バケツ一杯もらえる。こんなに使い切れるのか……。
 ホテル前の広場に出て、ザーッと餌を撒くと、即座にこの有様だ。いかに愛らしい姿であれ、所詮は畜生。餌を貪食するは必定だ。せっせと餌を撒いて、兎を招き寄せた。
 一番面白かったのが、こうして餌を手食いさせる時だ。うさぎが精一杯背伸びするのが面白い。
 またやけに丸くて小さい子うさぎもいた。こば氏は、この子うさぎを構いすぎて、餌の消費が全然進まなかった。
 いい年したおっさんたちと、長閑なうさぎたちとの許されざる饗宴は、それこそ暗くなるまで続いた。楽しかったなあ。こんなに楽しい島だったなんて、想像もできなかった。あれ、そういえば遺構の類を全然見てないよ?
 夕食はバイキング形式だったが、作り置きだけでなくてその場での調理もあり、思ったよりも充実していた。
 その後、海ほたる観察会に参加し、ホールの一つで海ほたるの発光を観察する。これも面白かった。化学系の気持ち悪い、しかし綺麗な光り方だった。
 風呂に入り、部屋でうだうだしていたら、風が強まってきて、雨が降り始めた。明日はどうなるかなあ、と暗澹たる気分で眺めていたら、終いには雷まで光り始める始末。しかし、岩屋山といい大久野島といい、いつものしまなみ行とは違った、新しい見所を発見した気分だった。

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