さて、今日でツーリングも半ば。熊本をちょっと観光してから、阿蘇に向かうことにする。
それにしても、自転車旅行記というタグを付けている割に、あんまり自転車では移動してないな。今日も今日とて、自転車の旅ではなくて、ほとんど鉄道だ。
さて、旅立つ前に熊本を見てゆかねば。宿の人から今日は熊本で大規模な催しがあると聞いていたので、自転車と荷物を宿に預かっていただき、徒歩で熊本城方面に向かった。折よく、宿で行き会った方から、熊本城のタダ券をいただくことができた。
熊本城は加藤清正による築城で著名な城だが、その後を継いだ細川氏の手もずいぶん入っているらしい。まあ当然だろう。しかし、こうして
天守閣の面構えを見ると、やはり厳ついに違いなかった加藤清正のそれを思い浮かべてしまうのも事実だ。天守閣の中は博物館になっている。そもそも、天守閣を初めとする上構部は、西南の役で焼けてしまったので、その後に再建されたものだ。しかし、
天守閣からの眺めは素晴らしい。
先の画像に写っていた天守閣のようにも見える建築物は、実は
宇土櫓という城砦の上構部だ。櫓は城の防衛の要として火力サービスの拠点であるとともに、平素の兵力の配置場所でもあった。左側に伸びている構造物には、いくつもの小部屋があり、そこに兵力が蓄積されていたのだ。内部は3層5階に分けられ、これ自体が他の城なら天守となるほどの規模だ。実際、ここは小西行長の宇土城天守閣を移築したものだという俗説が、長い間信じられていた。
城を出て、
内堀越しに宇土櫓を見ると、本当に天守閣みたいな造りだ。熊本城には、こんな櫓がいくつもあったという。
さて、城から水前寺公園に向けて伸びる大通りでは、いくつものステージや出店がもうけられ、賑やかしい。
路面電車の旧型車両が公開されていた。この日は路面電車が無料で乗り放題の日だったので、水前寺公園まで足を伸ばしてみた。
水前寺公園は、名前の通り水の庭園だった。来てから思い出したのだが、確か高校の修学旅行で立ち寄った憶えがある。当時はつまらないものに映っただろう公園が、今はその
瑞々しい美しさを堪能できる。新緑の時期だったこともあり、萌葱色のはが水面によく映えた。
さて、
宿に荷物と自転車を取りに戻った。一人旅には良い宿だった。
熊本駅まで走り、ここから阿蘇まで乗り継ぎ一回で輪行した。途中でスイッチバックもある急傾斜が続き、自転車だとかなりきつそうだ。
宿は内牧駅の近くだった。しかし内牧温泉とは逆に、R57の近くにある。すぐ横にコンビニがある絶好のロケーションに、今日明日の宿、あそ兵衛があった。ここはどうやら焼き肉屋兼民宿らしい。意外に良い宿だが、一つ困ったのがランドリーの類がないことだ。後で気づいたのだが、内牧駅からR57に下る途中に、コインランドリーがあったのだ。が、それに気づかず、この日は洗面所で洗濯して、ストーブとこたつで乾かした。そう、ストーブとこたつが登場するくらい、この地は寒いのだ。
荷物を置いて、食事に出かけた。HT-03Aで検索してみると、近所に山賊旅路という飯屋があって、そこの高菜飯が好評だ。食べログの地図が大間違いで、見当違いの場所をしばらく探したが、結局はR57の南側にあった。高菜飯とだご汁のセットを頼む。だご汁というのは、うどん粉を開いたペンネというか、そういう形にしたものを中心とした汁物。高菜飯にせよ、いかにも山の食事という感じで、具だくさんで味が濃かった。
店を出ると、遅い
夕日が落ちてきていた。今日もあまり走らなかったな。でも旅はしている。