Strange Days

九州北部ツーリング4日目

2012年07月24日(火曜日) 23時09分 暮らし , 自転車 ( 自転車旅行記 ) , 美術館 天気:暗雲あり

 最終日は、むしろ実家への移動日。だが途中、寄りたい場所があった。


 今日は呉の実家まで帰る。しかし、その途中で寄っておきたい所がある。田川市の石炭歴史博物館だ。ここに、ユネスコ世界記憶遺産に指定されて話題になっている、故山本作兵衛翁の炭鉱記録画が展示されている。これは見ておきたい。確か、遺言で国立博物館以外への貸し出しは禁じたと聞いたので、見るためにはここに来るしかない。
 宿を引き払い、JRから平成筑豊鉄道田川線を乗り継いで、田川市にくる。この路線は交通系電子マネーを取り扱ってないので、うっかりSuicaの類で乗り込んだら、改札では現金で精算し、精算証明書をもらっておかねばならない。これで、Suica出場処理ができる場所で、出場処理をしてもらわなければならなくなる。ええ、やりましたとも。
 とりあえず、結構な時間を食ったので、ここで食事にしたい。駅近くのアーケード街で飯屋を見つけ、鯖味噌煮込み定食を。厨房に入っている男性が、なんでも最近関東からここに来たのだそうで。
 田川市は、今はこじんまりした地方都市だが、駅から方々に伸びる道に多い飲み屋に、かつての繁栄を透かして見ることができる。と、なにか紀行番組めいたことを書いてみるテスト。
 石炭歴史博物館は、別の大きな施設と同棲している、それほどには大きくない建屋だ。しかし、炭鉱に関する展示が並ぶ1Fを抜けて、裏手の野外展示に出ると、かつて使った大型掘削工具、機関車、果てはかつての炭鉱住宅を移築したジオラマまである。結構、見ごたえあり。
 さて、問題の山本作兵衛作品だが。これが2Fの展示スペースに、コレクションのごく一部が展示されている。こんな状況なのは、実は貸し出しがあまりされてない理由と重なっているようだ。作兵衛翁は絵画を子、孫に見せるつもりで書き始めたので、紙には普通の西洋画用紙を使用した。しかしこれが、長期保存に適する紙ではないため、劣化が刻一刻と進んでいるのだ。実際、展示してある絵の中にも、結構劣化が進んでいるものがあった。現在、劣化防止処置と修復を進めているらしいが、そのせいで多量の作品を一時には展示できないという事情があるようなのだ。
 展示のメインは絵画で、テレビで見覚えのあるもの、見たことがないものと半々くらいだったか。膨大な作品数を思えば、テレビで紹介されたものがごく一部なのは当然だろう。
 絵は、技巧を感じさせない直截的な表現で、要するにうまいとは言いがたいものの、迫力と臨場感に満ちた、味わいあるものだった。内容は炭鉱に関する生活史全てといっていい。鉱山内部のことはもとより、日常生活、祭り、事故、その他の後ろ暗い話題*1にまで及ぶ。余白に書かれた説明文がまた味があり、思わずじっくり読んでしまう。
 田川市を後にし、小倉で新幹線に乗り継いで、実家に帰った。1日置いて、今度はしまなみ海道を走るつもり。

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