Strange Days

緊急地震速報に振り回されて、"予防原則"なるものを考える

2013年08月08日(木曜日) 21時44分 暮らし , 思考 天気:くもり

 夕刻、自席でExcelを、眉根を寄せながら睨んでいた時だった。
 突然、聞き覚えのある、しかし咄嗟になんだったかを思い出せないアラームが、職場のあちこちから鳴り出したのだ。そもそも、我がauケータイ2台も、それぞれに鳴り出している。これは、あれか、緊急地震速報。
 G'zを取り出して、文面を眺めると、奈良で震度7の予報だ。ええっ、エライことだ。
 騒然とする職場。しかし、奈良と中途半端に遠い場所の警報なので、一様に戸惑いを隠せない。
 数秒が経った。地面はピクリとも揺れない。それでも、奈良は如何に。
 しかし、その後も全く揺れは来ない。その上、関西方面の情報がTwitter経由で確認でき、やはり揺れた気配はないと。誤発報だったようだ。
 その後、気象庁が正式に誤通知を認めた。どうも、微弱な揺れを関西地方で検知し、同時に離れた三重沖では、地震計が不調で、それが偶然に『同時に起きた揺れ』として誤検出されてしまい、離れた場所で同時に揺れを検知→大地震だ、という判定が下ってしまったそうな。
 地震計の不調、アルゴリズムの不備はあるのだろうが、速報の性格上、過剰な通知になってしまう場合がありうるのは仕方ない。一箇所の強力な震源地と、複数の弱い震源地とを持つ地震を、それぞれに区別するのは、多分簡単ではないはずだ。誤通知はすぐに判明するのだし、逆に大地震時に通知されない場合を考えるならば、多少は過剰になってもやむをえないように思う。
 予防原則なるものは、このように真偽の判定が難しく、甚大な被害の存在が明らかであり、かつ直後には成否が明確になるような事象にのみ適用出来るのだと思う。福島第1原発事故の場合だと、その影響を過剰に言い立てるのは、その影響があまりに長期に、かつ甚大になり、影響が無い(偽)となった場合の回復が不可能になる。まあ、言い立てている人々は、回復させる気なんて無いのだろうが。そして低レベルの放射性物質に依る影響が、例えばタバコやディーゼル排気の影響に比べても低いものでしか無いのは、既に明らかなのだから、福島第1原発事故の影響範囲なんて、その周辺の高レベル放射性物質汚染域に限られるのも明らかだろう。だから、この場合には予防原則を言い立てて、過剰な影響をまくし立てるのは、害悪にしかならないのではないだろうか。


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