Strange Days

ハイチの混迷

2004年03月01日(月曜日) 10時48分 思考

 まるで恒例行事のようなハイチの混迷を、かなり他人事のように眺めている。アリスティドは事実上退陣し、さりとてそれに代わる者は無さそうだ。もしかしたら、かつてアリスティドを追った軍事政権の誰かが、再び政権を掌握するかもしれない。今回、蜂起した"武装勢力"(マスコミもアリスティドを追った勢力の正体を掴みかねているようなラベリングだ)の支柱を、アリスティドが解体したハイチ国軍の元軍人たちが占めているらしいという情報を見るにつけ、さもありなんという気になる。識字率が極端なくらい低いハイチでは、軍人は社会的なエリートだ。アリスティドは、その母集団である軍を解体することで、民衆へのアピールと、アメリカによる介入(ハイチ国軍にアメリカの影響が強かったことは確かなようだ)の予防を図ったのだろうが、まるで狼を野に放つような形になったわけだ。
 アメリカは、遂に国際世論の声(にこたえる形)で軍事介入するようだ。アメリカからすればシナリオ通りということかもしれない。アメリカがハイチ国軍を復活させ、"民主的な選挙"により旧国軍関係者を政権に据えれば、デュバリエ政権に見切りをつけて以来、アメリカが抱き続けてきたシナリオが、遂に完結する。まあ、国際世論は水物なので、ハイチ民衆の向かう先ともども、どう転ぶか分からないけれど。と、この辺が他人事のようだが。
 陽光と青い海に恵まれたはずなのに、世界最初の近代的黒人独立国家のはずなのに、火達磨になってのた打ち回っているような国、ハイチ。識字率の低さ、人々の横のつながりの低さが癌だと言われているこの国を、いったいこの世の誰が立て直すことが出来るのだろう。ハイチの人々に、いや人間に対して投げかけられた、大きな難問のように感じているのは、果たして僕だけだろうか。


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