Strange Days

2002年10月26日(土曜日)

シングルトラック初体験

00時00分 自転車 天気:概ね雨

 朝4:30起床。身支度、食事をしてから、MTBの詰まった輪行袋を肩に、立場駅まで急いだ。今日はやまみちアドベンチャーのシングルトラックツアーに参加するのだ。初めてのシングルトラック、どうなることだろう。
 立場から戸塚、戸塚から東海道線、南武線、青梅線、五日市線と乗り継いで、武蔵五日市駅には8:45くらいに到着した。駅前に出ると、以前一度立ち寄ったことがあるやまねこ亭が見える。
 駅前でMTBを組み立て、やまねこ亭に近づくと、同じツアーに参加する人や、スタッフの姿が見えた。
 店内に入り、簡単なブリーフィングを受ける。今日は青梅、あきる野の境界線辺りの山道を走るのだという。生憎の雨模様だが、それほど強く降ってないのが救いだ。
 ツアーを引率するのは丹羽氏、御子柴氏、新美氏の三方。丹羽氏はMTBに関してはベテランのライターだし、後二人はSPECIALIZEDの契約ライダーだ。特に御子柴氏のベテラン然とした面構えは頼もしい。
 参加者は9名。うち夫婦での参加が3組6名だ。
 ブリーフィングの後はMTBを山道への入り口まで走らせる。結構な坂道をするすると登ってゆく一団。雨は強まったり弱まったりしている。
 雨で困ったことになっていた。今日はビンディングペダルではなくて、ロード用の細めのプラットホーム型ペダルを着けて来たのだが、これが安物の靴との相性が最悪で、濡れると即滑る。変速ショックだけでも足が外れてしまうくらいだ。これはかなり怖い。
 これで思い出したのが、BD-1を買って最初の頃、やはり雨中での走行でペダルから外れる恐怖を味わい、大型のプラットフォーム型に替えたことがあったのだ。あのでかペダルの方が良かったか。
 そんなことを悔やみながらも、一行はちょっとした空き地で小休止を取り、少しずつレクチャーを受けてゆく。まず乗り方、降り方、など。
 レクチャーが済むと、いよいよシングルトラックに突入だ。といっても、里に近い場所を走り抜けるだけだ。ここで段差、木の根に遭遇。これは強敵。雨でよく滑るので、なかなか乗り越えられないのだ。ましてや、ペダルのグリップに不安がある状況では。
 里に抜け、また少し山に向けて走ると、やがてえらく荒れた山道に到着した。この荒れ方だと、人間の足以外で踏破しようなどと思わないだろう。が、ここをMTBで登れるというのだ。
 ここからの2kmの上りはちょっと衝撃的。なにせ、道には木の根、石塊がゴロゴロしており、とてもじゃないが踏破出来そうに見えなかったからだ。しかし、先頭を行く御子柴氏は、身軽に駆け抜けてゆく。参加者の何人かも、結構走れたようだ。
 僕も突入する。木の根が滑り、石塊にぶち当たり、あえなく玉砕。だが、意外に乗り越えてゆけるものだ。とかいいながら、かなり押してしまったが。
 後で思ったのだが、果敢に挑んだ方が、恐々走るよりもいい結果が出せたようだ。
 2kmほどの激坂を登りきる。なんというか、20kmほど走ったような疲れ方だ。
 ここからはアップダウンを繰り返し、徐々に距離を伸ばしてゆく。相変わらず木の根と石塊に悩まされながら、半分以上は押して行く破目になる。上りはもとより、下りでも押す破目になるとは思わなかったが。なにせ、下りの途中で止まってしまうと、また乗ることが出来なくなってしまうのだ。
 激上りに泣き、激下りにドキドキしながら、やがて道がやや良くなってきた。「今日の参加者は声が出ないですね」とスタッフはいっていたが、雨のせいか少し難易度が高くなっていたように思う。
 やがて金網の側を延々と走るコースに乗った。自衛隊の施設なんだとか。金網に吸い込まれそうでかなり怖い。ここまでに何度も転倒していたが、このコース途中で大転倒をやった。後ろブレーキのケーブル固定が外れたほどだった。トーイン着け過ぎだったのを修正したら、今度はキーキー鳴くようになってしまったし。
 数度の転倒を乗り越え、しかし徐々に乗っていられる距離を伸ばしながら、やがてその金網と別れを告げた。
 次に待ち受けているのは、崖っぷちだ! 左手には2m以上の絶壁、道の真ん中には5cmほどの標識(行政区画の境界だかららしい)、そしておなじみの木の根と石塊も待ってる。ゲストで大穴も待っているよ! やけくそで駆け抜けて行く。今まではこけても大怪我は免れそうな雰囲気だったが、ここで左に落ちたら洒落にならない。ペダルから足が外れたらアウトだ! 俺様、危機一髪!
 恐怖の塊ではあるが、反面、非日常の爽快感もある道を1kmばかり走ったろうか。次第に乗って行ける距離が伸びて行く。そしてふと目の前に、舗装道との合流地点が見えてきた。スタッフが手を振って『行け』と合図している。舗装道路なら怖くないぞ(笑)。といいながら、雨に濡れた路面に気を遣いながら、しばらくダウンヒルを続けた。そしてようやく、街中に戻ってきたのだ。
 一般道を通り、またやまねこ亭へと戻る。車道の走行が、こんなに安心感一杯なものだったとは。
 やまねこ亭に戻り、ちょっと遅いランチを取りながら歓談する。僕はひよこ豆のカレーを注文。ここのカレーは、独特の風味があってうまい。
 丹羽氏に今日のコースの難易度を聞いてみたら、道そのものは上級と変わらないという。上級だと休憩が少なくなり、距離を稼ぐような行程を組むのだという。ロングライドで50km。ちょっと、身がもたないと思った。
 大島でもシングルトラックを走る。そこではクラス分けしてくれるので、走れない人もそれなりに楽しめるそうだ。
 御子柴氏が「いいよ」と勧めていたのが、スペシャのブレインショックと、ZAVASのグリコーゲンリキッド。前者はご一緒した参加者の方が「欲しいんです」といっていたもの。ペダリングのときには、本当にリジッドとして作動するという。ううむ、今日のようなコースだと、リアの衝撃吸収も助けになるかな。
 後者は神奈川支部の一部で流行っているもののことだ。運動中の栄養補給に最適だという。そんないいもんなら、試してみるか。
 ツアーは15:00に解散。僕は今朝来たコースを逆に輪行して、立場駅に18:00くらいに到着した。そして駅前で輪行解除していると、パラパラと大粒の雨が降り出した。この期に及んでか。大急ぎで帰宅し、なんとか濡れ鼠になるのは免れた。
 しかし、泥だらけになったMTBの清掃は大変だ。雨の助けを借りて、部屋の外で泥を落とす。フレームはピカピカになった。しかし、ディレイラーとかには、まだまだ泥がこびりついている。これはお日様の下できれいにしないと、いくらでも見落とししそうだ。
 今日は楽しかった。なんというか、非日常の楽しさというべきか。ツーリングがすっかり日常化すると、こういう激しいレクリエーションもいいものだと思う。でも、シーズンに何回か行けば、もうおなか一杯になりそう。