Strange Days

2003年01月11日(土曜日)

真鶴、そして奥湯河原へ

00時00分 自転車 天気:快晴

 朝7:00過ぎに起床。昨日、寝る前に作っておいた牛丼をかっ食らい、身支度をした。今日は、まき氏とともに湯河原を走る事にしている。
 荷物はだいたいまとめてあったので、余裕を持って出かけたつもりだった。ところが、JRの小田原までの便が意外に少なく(この時間帯はそうなのか)、小田原着は10:15くらいになってしまった。まき氏を待たせてしまう。すまんす。
 改札口の外にまき氏が待っていたので、MR-4F改を展開し、早速真鶴へと走り出した。行くのは真鶴道路の旧道だ。
 空は良く晴れ、日差しも暖かい。今日は長袖Tシャツの上にパールイズミの冬用長袖ジャージ、その上にモンベルショップで買った防風ジャケットを着ていたのだが、この防風ジャケットは脱いでしまっても問題なかった。これでも汗ばむくらいの快適な天気だ。
 まき氏のSatRDayを引いて真鶴道路へと入った。この入り口に自転車でどうアプローチするかが長年の課題なのだが、結局は今まで通りに早川のランプの直前で内陸側の歩道に上がるしか無いようだ。車を全て料金所に通す関係で、回避路がないのだ。しかしこの歩道、物凄く狭いので、自転車同士のすれ違いは絶対不可能だ。幸い、人通りはほとんど無いのだが。まき氏のSatRDayは下ハンドルでやや幅が広く、ヤバイのではと思っていた。が、なんとかなったようだ。
 真鶴道路を快調に走ってゆく。風は穏やかで、ややフォロー気味。日差しも暖かい。海の青さも爽やかだ。アップダウンをしながら、真鶴の料金所に差し掛かった。20円ずつ払い、トンネル(IME2000って"すいどう"って文字を出してくれないな)を超えると、眼下に岩漁港の全景が入る。このトンネルの前後が、真鶴道路で一番楽しい眺めだ。
 真鶴駅着は11:15くらいだった。45分くらいで走りきった計算になる。ここでちょっと迷う。昼食は真鶴漁協の市場で取り、その後は真鶴半島をぐるりと回り、それから湯河原を下から攻めてゆくつもりだった。だが、時間的には余裕がある。そこで、まず奥湯河原まで登り、夕食場所のつもりだった紅葉亭で昼食を取り、それから下りながら滝や公園を見て回ろうということになった。
 真鶴から湯河原までは下り基調で、気持ちよく下っていった。MR-4F改のブレーキは、どうしても今一つの効きが足りないものの、実用上は問題が無いくらいになっている。
 湯河原まで下りきり、真鶴道路の新道との合流点に差し掛かった。路肩近くを走っていた我々の前に、ガラス片らしきものが散乱するゾーンが急に現れた。ヤバイ! そう思う間もなく、我々はその地帯を通過してしまった。合流点を過ぎたところで、道路脇の駐車場に止め、タイヤチェックする。MR-4F改は大丈夫。一応、ガラス粉を払っておいた。まき氏の方はステープラの針など、多少の収穫があった模様。
 湯河原高校前の交差点から、いよいよ湯河原の登りにかかる。湯河原駅までは何度か登ったが、前に比べると楽勝ペースで上って行ける。しかし、この先は未知の世界だ。
 湯河原から奥湯河原へと登るには、従来からある温泉街を抜けて行く道か、比較的新しいオレンジロード(なぜオレンジなのだ)という道を行くか、二通りある。後者は新しい自動車道らしく、勾配が相当きついようだ。そこで前者を行くことにしていた。信号が多いのだが、自転車にはかえって助かるし(一休みできる)、温泉街を見ながら走る方が楽しいだろうと思えた。
 湯河原駅前から東には、駅前の商店街が続いている。なぜか下り坂だ。下りきると、また上りに転じる。地図上、すぐ近くに川が流れているようだが、商店街が立ちふさがっているので良く見えない。
 この辺では勾配が緩やかで、ペダルをくるくる回すだけで上って行ける。温泉街の鄙びた佇まいもそれなりに楽しめる。
 登りながら、万葉公園を探していたが、あいにく分からないまま通り過ぎてしまったようだ。やがて道は川沿いに進み始め、人家も次第にまばらになる。途中、不動の滝と書かれた幟を発見。これも目的地の一つだが、今は通り過ぎる。
 交通量は少ない。ペダルを回すのが楽しい道だった。が、不動の滝辺りから、これはキたねという感じの急傾斜が現れた。これは厳しい。ここまでフロント側ミドルで来たのだが、すかさずインナーに落とした。しかもあっという間にリアもローに落とした。これでようやくそこそこのケイデンスを維持できる。
 奥湯河原温泉まで、すぐ側を川が流れるいいロケーションを登って行く。気持ちのいい道だ、川に注意を向けられる余裕があれば(爆)。心拍計を着けてなかったので正確にはわからないが、だいたい170~180bpmになっていたようだ。
 奥湯河原のバス溜りで、さらに先の道行きをGPS携帯でもって検討した。要するに道なりに登りつづければいいようだ。こんなところでも使い物になるau携帯万歳!
 最後の登りは、ほとんど吐き気を催すような傾斜が延々と続く。一息つける平地は、道が川を渡る橋の上だけだ。汗が滝のように流れる。ぜえぜえやっていると、まき氏がゆっくり追いついてきて、先行していった。それを追い始めた途端、右側にようやく紅葉亭が見えた。
 紅葉亭の駐車場に自転車を停め、いやあ今のはきつかった、などと話す。しかし、これからはもう下るだけなので、気が楽だ(笑)。時刻は12:20くらい。真鶴から1時間程度で登ってきた計算になる。時間的には楽勝だったけど、この傾斜は自転車乗り始めの人には辛かろう。奥湯河原ツアーは、足に自信が無い人をどうするかを含めて練り直さなければ。
 店に入った。店は座敷席が50人分くらい、テーブル席が20弱くらいある。座敷席に座り、天ざる蕎麦と黄金色の発泡する液体(人体に注入すると目ざましい効果があると聞く)を注文した。比較的ゆっくりと寛げる店だが、広間に食卓が並んでいる造りなので、周囲の客の会話がやや耳障りだ。
 最初にやってきた謎めいた黄金色の発泡する液体をまき氏と酌み交わし、前菜をつまみながらまき氏と話をした。そういえば、まき氏とじっくり話すのは初めてだ。
 前菜を片付けた頃に、まず天ぷらがやってきた。続いて、ざる蕎麦が登場する。蕎麦はさっさと延びる、というまき氏の言葉に従い、最後に出てきたざる蕎麦を速攻で片付けた。歯ざわりが良く、更科らしくほのかに蕎麦の香る上品な味わいだ。って、通ぶっても、更科と藪は違う、くらいしか分からんが。
 やや関西文化圏的な広島育ちの俺様は、関東文化圏育ちのまき氏にいろいろ教わる。蕎麦湯は、やはり残った付け汁に入れて飲むのだと分かった。そんなことも知らないのかといわれても、広島では蕎麦湯なんてモノは庶民が接するものではなかったのだから。関東文化に被れた、一部の好き者だけの世界だったのだ。想像するに、蕎麦湯は甘い更科蕎麦より、醤油が強い藪蕎麦の方が向いていそうに思える。
 天ぷらもさくっとして美味だ。ここまでわざわざ登ってきただけに、その味わいは一際趣がある。
 食後、なんかデザート無いかなあなどと厨房の近くにかかっているお品書き(紙のメニューとは別に、その日の食材で作った一品料理などが白板に書き出されているのだ)を眺めながら寛いでいたら、給仕の女性が"蕎麦掻のぜんざい"などと書き加えた。リアルタイム更新されるとは。早速注文する。出てきた蕎麦掻はおわんに一杯になるくらいで、ほのかな蕎麦の香りも、食感も良く、甘い小豆ともども美味しくいただけた。これで打ち止め。ご馳走様。
 まき氏と料金を折半し(3150円)、会計すると、なにやら粗品をくれた。七味だった。まき氏の話だと、蕎麦屋では新春に七味を配る風習があるようだ。『この七味を使いに、また来店してね』ということか。
 店を出ると、14:00くらいだったか。この先は下って行くだけなので、気楽なものだ。しかしこの急坂、スピードの出しすぎが怖い。ブレーキを使いながら、不動滝まで下っていった。
 不動滝は、高さ5mくらいの清楚な滝で、周囲に不動明王だのなんだのが祀られている。写真を撮り、ふと滝の上を見ると、なんと車道らしき高架が走っているではないか。オレンジロードのようだ。なんだか萎えるなあ(笑)。
 ここには茶屋もあって、甘酒などもいただけるようだ。さっき満腹した我々には無用だが、神奈川支部を引き連れてきた場合は、きっとここで一服することになるだろう。
 不動滝から、さらに万葉公園を探しながら下って行く。最終的に、登りの時にも見かけた観光会館の付近から入れることが分かった。会館前の川を渡る橋の近くに自転車を貼り付けた。というのも、会館の駐車場は車有料で、自転車に関しては記載が無かったので、自転車は駐輪できないのだと解釈したのだ。ところが、管理しているらしい男性に尋ねると、自転車は空いたエリアに停めればよく、しかも無料だとか。これは優遇されているのだろうか。それとも、こんなところまで自転車で登ってくる物好きを想定してないのだろうか。
 万葉公園は、細い遊歩道が続いた、ずいぶん立体的な構造の公園だった。渓流もあり、水をうまく配した造りになっている。小さな町が作ったにしては、いろいろ金を掛けてあって感心する。やはり観光収入で潤っているのだろうか。
 公園内をぶらつき、やがてこの公園での目的である独歩の湯に至った。この温泉、足だけ入るという妙なものだ。服を脱ぐ必要が無いので、男女の別もない。ツーリングのとき、温泉で一区切りとなると、男女が別れてしまうので少し寂しい場合がある(特に女性)。ここならそんな心配は無用だ。
 管理棟で300円払い、ロッカーの鍵を受け取った。ロッカーに荷物や靴、靴下を入れ、替わりにサンダルを履いて温泉場まで戻ると、いよいよ温泉めぐりの開始だ。
 浴場(というのか)(1 2 3 4 5)は全部で九つあって、奇妙な穴ぼこや山も作られている。風水を応用したという能書きがあちこちに見られる。ふーんと思うだけにしよう。
 浴場は床面の加工がそれぞれ異なり、面的に土踏まずを刺激するようになっていたり、局所的に刺激したり、といった風になっている。それぞれに異なる効能書きの立て札を見ながら、薬事法違反にならないのかとか話した。
 しかし、ネタ的に面白い温泉だ。脱衣する必要が無いので、入るのも気軽だし、グループでわいわい楽しむにはうってつけだ。素足で、しかもスカートをたくし上げているお姉さんなんかもいて、結構ドキドキよ(爆)。
 1時間ほど楽しんで、独歩の湯を出た。なにか、たしかに体に影響を残している気がする。ツボを刺激したからか。
 独歩の湯から湯河原駅に降り、ここで自転車を畳んだ。東海道線で戸塚まで戻り、ここで湘南ライナーに乗り換えるまき氏と別れた。お疲れさま。
 僕はなんとなく激坂登りと、足湯の影響を感じながら、アパートに戻った。