Strange Days

2003年06月15日(日曜日)

NHKスペシャル 文明の道「ガンダーラ・仏教飛翔の地」

23時00分 テレビ 天気:くもり(やや雨っぽい)

 今夜のNHKスペシャルは文明の道第3集、「ガンダーラ・仏教飛翔の地」。
 仏教は今から約2500年前にインドに誕生した。当時のインドにはバラモン教以外にも多数の宗教や宗教が次々に生まれ、それらがしのぎを削っていた。新宗教が次々に興り、そして消えてゆく、宗教の坩堝だった。仏教はそのただ中に、ゴータマ・シッダールタ(これは後世に付け加えられた偽名かもしれない)によって作り出された、新宗教の一つだった。初期の仏教徒たちは、他宗教との、特にバラモン教との論争を通じて、ゴータマの唱えた教義を洗練させていった。古い仏教の説話(スッタニパータなんぞに書いてあるような)を読むと、ここから後世の諸宗派(日本に限っても天台、真言、曹洞、浄土真宗など)のバリエーションが生まれたとは、なかなか信じがたいくらいシンプルなものだ。
 この時代の仏教徒たちは、修行を通して個々人の解脱を目指すという僧侶、その僧侶たちに布施を施すことで現世の罪を祓う在家信者の2クラスに分かれていた。あくまでも自分個人の救済を目指す信者集団という位置付けだったわけだ。
 アレクサンドロスの大遠征は、インド北部にまで至る広大な領域に、いくつものギリシャ人勢力の飛び地を生み出すことになった。紀元前2世紀頃、インド西北部に勢力を張ったミリンダ王(ギリシャ風にはメナンドロス王)は、そうしたギリシャの知的遺産を背負った、賢人王の一人だった。彼は当時のインドに群立する宗教的/哲学的勢力と、活発な論議を繰り返したらしい。その中でも仏教勢力の長老だったナーガセーナとの問答集が残されている。なんだか禅問答というか、東西屁理屈合戦の観も無きにしも非ずだが、その中に既に大乗仏教的な思想を説いた問答も散見されるそうだ。とはいえ、衆生一切の救済を本意とする大乗仏教は形を成しておらず、あくまでも個々人の枠にとどまった原始仏教の形が保たれていた。
 仏教に変革が訪れたのが、紀元後のインド北部、ガンダーラでの事だった。仏教徒は偶像崇拝を禁じてきた。したがって、彼らは崇拝すべき仏像をまだ持たず、もっぱら仏の象徴である法輪を崇めていたようだ。こうした礼拝の形式は民衆に対する訴求力を欠いていたようだ。要するに、原始仏教は伸び悩んでいたのか? それを一気に解決したアイテムが仏像だった。コレを拝めば救われるというのだから、信者集めには便利なアイテムだ。
 初期の仏像にはヘレニズム文明の影響が指摘されてきた。ところが、最初期の仏教遺跡を調査したところ、仏像(それもギリシャ的な彫りの深い造形だ)がギリシャ神話の神々を従えたものが発見されたのだ。さらには、アレクサンドロス大王その人の像が、仏像に従っていると思われる例も発見されている。このことは、インド北西部に残留していたギリシャ人勢力が、初期の仏像の造形に関わってきたことを示唆するものだ。
 仏像を得た仏教は、その教義を次第に変質させて行く。最大の変化は例のガンダーラで起こった。巨大な仏塔が建立され、仏教文化の興隆期を迎えていたこの地で、最初期の大乗仏教思想が起こった形跡が発見されたのだ。極めて古い仏典(椰子の葉や木の皮に書かれたものだった)の中に、大乗仏教思想を語るものが散見されるのだ。
 原始仏教から大乗仏教への変化には、この地の支配者となったクシャン族の影が見え隠れする。中央アジアからこの地までまたがる大帝国を築いたクシャン人に、仏教勢力は取り入ろうとした。そのために、クシャン人を始めとする富裕層に、受け入れられやすい形にアレンジされたのが、大乗仏教の正体だったともいえる。そしてこの時期に、仏教はインドのローカル宗教から、あらゆる民族に浸透して行く世界宗教への脱皮を果たしたのだ。
 しかし、仏像をアレクサンドロスが崇めている構図はインパクトがあったが、考えてみるとほとんど同時代、同時期の出来事なんだな。

DSC-MZ3購入

00時00分 デジタルカメラ 天気:くもり(やや雨っぽい)

 昼前、目覚めると雨が降っていた。今日は覚悟していたが、自転車だと嬉しくない日が続きそうだ。とりあえず、休自転車日に決定。
 昼過ぎ、秋葉原に向けて出撃した。今日の目的は、懸案の新デジカメを購入すること。機種は既にDSC-MZ3に決めている。現用のMZ1がそれなりに便利だったのだが、動作速度をもっと早くして欲しかった。この点、MZ3では大幅に高速化されているようだ。またサイズも少しコンパクトになっている。保守的な選択ではあるが、必要十分だと判断した。
 秋葉(どうしても"あきは"と読んでしまう最近の俺様だ)に着き、主に裏通りの店をざっと回った。ZOA21で3万円を切る価格だった。ネット通販ではもっと安いところもあるが、まあこの価格ならいいかと考え、購入決定。店員の人がこの商品に詳しかったのも決め手になった。一緒に買うつもりだったCFメモリ(256MB)に関して、ハギワラシスコムの20倍速モデルが、実は他社の30倍速モデルより高速だと、数値を挙げて説明してくれたのだ。なにか思い入れがあるようで、『このカメラは分かってる人が買っていきますね』とか、『-J1はなにか方向性が違いますね』とかよく話す。-J1はもっと高速で動画にも強いモデルだが、確かに僕の好みとは方向性が違っていた。
 帰宅して、早速試し撮りしてみた。雨が止んでいたので、TCR-2にAllrounder Miniを着けて、ダイクマまで走った。その道中に少し試し撮り。モニタ撮りモードだと十分に明るいモニタのおかげで問題なく取れるが、光学ファインダはカバレージが80%くらいかと思えるほど小さく、狙った構図を撮るのに苦労する。E950の優秀な光学ファインダが懐かしい。