Strange Days

2014年08月04日(月曜日)

BD-1の楽しさ

22時43分 自転車 天気:快晴

 BD-1のクランクの回転は、手で回す限りでは相変わらず渋い。ところが、乗るとそこまででもない。この点、Bromptonも同じようなものだ。もっとも、Alfine11段の渋さは、スタメーアーチャー5段のそれよりひどいのだが。
 乗るとそうでもないというのは、手と足の繊細さの違いということだろうか。それとも、どのみち駆動抵抗という代物が大きいので、目につかなくなっているのか。
 ともあれ、内装11段は便利だ。もう全ての速度/強度域をカバーできているし、変速にほとんど気を使わない、シマノ式内装変速は本当に強力だ。
 駆動系を置いて、新旧のBD-1を比較すると、新BD-1の方がずっと安心感がある。安定性とか精細さとかいった違いが積み重なっているのだろう。でも、乗る楽しさには、同じような要素を感じる。
 BD-1に乗って思うのが、自転車本体*1が目に入りにくいことからか、人車一体感に乏しいこと。そして、前後のサスペンション/アブソーバーの効きに因って、フワフワとした走行感があること。その結果として、得体のしれない何かに乗っているという、謎の走行感を味わえて、そこが楽しいのではないかということだ。
 ロードバイクだと、体の下で、まさに自転車が仕事をしているという存在感を訴えてくる。しかしそれは、自転車が自分に近づいてくるんじゃなくて、むしろ自転車が自分に合わせてこいと、人間の肉体に働きかけてくるような方向だ。古典的なロードバイクである、コルナゴ MasterXLに強く感じる。その結果としての人車一体感であり、そこに本来の自分は薄い気がする。ロードバイクに”乗せられる”というイベントで生じた、別の自分であるような。その結果生まれた非日常感がロードバイクの楽しさなんだと思うのだ。
 逆にBD-1は、人車がいまいち一体化出来ないというか、まあそれぞれに存在すればいいじゃないかという有り様なので、あまり自分を侵されずに乗車体験を得られる。ソリッド感に乏しいにしても、ずばり日常の延長としての散歩体験を獲得するための装置としては上等、という辺りが僕の感じ方だ。足を止めれば、すぐにいつもの自分に帰れる。その没入感の無さが、BD-1の面白さなんじゃなかろうか、と。