Strange Days

2015年01月13日(火曜日)

しまなみ海道の弱点

22時04分 思考 天気:晴れだっけ

 何度もツアーを引率し、自前でも頻繁に訪れるしまなみ海道。自転車を甘やかせてくれる楽しい地なのだが、観光地として見るといささか使いにくい点がある。中間点での宿泊地に、あまり選択の余地がない点だ。
 しまなみ海道の中間点、という定義は難しいが、距離的に推奨コースを淡々と走るならば生口島~大三島辺り。大山祇神社まで足を伸ばすならば、その周辺という辺りだろう。しかし、ここには容量の大きな宿が無い。ユース、ペンション、旅館の類ばかりで、楽天トラベル辺りでちょいと予約というのが難しいし、多人数を収容するのも結構大変だ。引率時に気を使うのが、参加者同士の部屋割りだ。大部屋に何人も詰め込むとなると、男女の別はもとより、老若の別、気質の別など、気を遣わざるを得ない。まあ、見知った者同士ならエイやって感じで押しこむけれど。この点、容量の大きな、シングルルームベースのホテルだと、人数分借りてしまえばいいので、気楽なのだ。
 しかし、そもそも大容量の宿が建たないというのは、需要がないからだとも思える。しまなみ海道の尾道~今治(サンライズ糸山)をサクッと走ると70km程度、大山祇神社への往復と、今治駅までの距離を入れても、せいぜい90kmだ。この距離だと、今しまなみ海道で大きなボリュームを占めるロードバイクでの旅行者ならば、無理なく1日で走破できてしまえる。そういう気楽さがしまなみ海道のいいところだとは思うけれど、足を止めてお金を落とす機会が少ないし、そもそも宿を必要としなくなってしまう。こういう、『1日で無理なく走破できてしまう』点こそが、実はしまなみ海道の観光地としての弱点なんじゃあるまいかと、最近頓に思うのだ。
 これを解決するのは、一つには因果が逆転するようにも思えるが、宿を作ること。気楽に、そして安楽に泊まれる拠点を作ることで、しまなみをあえてゆっくり走る動機を作れないものか。もう一つは、しまなみ海道推奨コース外に足を伸ばせる見どころを作ること。この2点に関して、カギを握るのは大三島ということになる。しまなみ海道の推奨コースでは、大三島は東岸をサッと通過するだけ、せいぜい大山祇神社までの往復までを見込む程度だ。この大三島を周回するコースを組めば、しまなみ海道片道が100km超えとなるため、宿泊の動機が生まれるのではないか。
 実は、そうした目で大三島を見ると、南西の宗方周辺に、ところミュージアムを嚆矢とする美術館群が生まれつつある点を見逃せない。勝算無く博物館が生まれるとは思えないので、ふるさと憩の家と併せて、大三島周回コースへの目論見があるのではないかと思うのだ。だとすると、後は宿の方。自転車需要を考えるなら、この宗方から、大山祗神社に掛けての何処かに、尾道側に生まれたような自転車メンテナンスサイト一体型の宿があればと思う。気楽に泊まれる宿というのは、僕の実感ではむしろ大きな自己完結型の宿なので、飲食/買い物スペースを併設した、小部屋主体のメンテサイト込みの宿、ということはサンライズ糸山的な宿があって欲しいのだ。
 大山祇神社、そして宗方方面を含む大三島は、徐々に注目を集めつつあるように思えるので、そのうちに新しい動きがあるのではないかと期待している。