Strange Days

2015年11月23日(月曜日)

しまなみ海道もちょっと走る

22時20分 , 自転車 ( 自転車旅行記 ) 天気:晴れ

 さわきも、なかなか快適な宿だった。静かだ。
 朝食後、宿を後にする。まず向かうのは、伯方の塩で著名な、伯方塩業。見学コースが有る。見学申し込みすると、塩のサンプルをくれる。結構あるので、もしかしたら独り身ならば月一で見学に来れば、塩を買う必要が無いかもしれない。
 中では製塩ラインの見学と、それにまつわるパネル展示がある。パネル展示は、塩業近代化法に対する怨念のこもったもので、一度は命脈を絶たれた古来の製塩を、執念で蘇らせてきた歴史を知ることが出来る。
 なぜか喫茶コーナーがあって、ここで塩コーヒーを飲むことが出来る。何か味の傾向が変わった気はしたが、美味しいかと言われたら、うーん、だな。
 屋外では、復元された流下式枝条架併用塩田製塩が実演されている。これは塩水を枝条架、蒸発槽と循環させて濃縮してゆくもの。枝条架で風を、蒸発層で陽光を使って、効率的に自然蒸発させるもの。効率が良かったが、先の塩業近代化法は、国内での海水からの製塩を一切禁じる強力なものだったため、直ちに命脈を絶たれた。その後、輸入天日塩を再融解、再結晶させる方法で、国内天日塩の生産が再開されたのだった。ざっと調べても、国内製塩業の盛衰記には、国家の強引な統制と、それに反発する市民側のせめぎあいが各所に見られ、特に市民側の先頭にマクロビを初めとする健康カルトが絡んでいるなど、なかなか興味深いものだ。
 大山祇神社にも参詣する。まだ、朝早い境内は、掃き清められた箒の跡も鮮やかで、清々しいものだ。
 今日は、奥の院にも足を伸ばす。生樹の御門を潜る。樹齢の知れないほどの大木が衰えたものの、その上に子株が生え、葛類をまといつかせているため、大変迫力ある姿だ。一本立ちする森だ。この上にある阿弥陀堂が、かつての神宮寺の残存だ。
 山を越え、多々羅しまなみ公園に。ここに来る度に目にする、『サイクリストの聖地』の文字書きを馬鹿にしつつも、しっかり記念撮影をする、我々だった。ここで、ちょっとオム焼きそばを入れておく。
 多々羅しまなみ大橋を渡る。広島側へと渡ることは稀だ。
 しおまち通りを散策。岡哲のコロッケは外せない。当たり前の、肉屋のコロッケなのだが、この辺でこういうものがあって欲しいという欲望を見事に満たすという意味で、絶好のグルメだ。
 こば氏、長岡氏と別れ、なぎの女史とともに島の南に回る。今日は、輪空という自転車宿に泊まるのだ。名前は知っていたが、泊まるのは初めて。
 途中の道で、やたら野犬が多いのに気づく。後で聞くと、近所の店の人が餌をやるせいで、集まってしまうのだとか。猫と違い、こいつらは群れると、本気の凶悪動物になるからなあ。
 こういうお堂を見かけた。十一面観音堂だという。こういう場所にあって危険だからか、部外者立入禁止なだけなのか知らないが、チェーンでブロックされている。
 さて輪空、海辺の静かな場所にあった。中はこんなふうに、自転車を掛けるラックもあり、旅好きなご主人たちと会話が弾む宿だった。夕食は、地物主体。一部で有名ななぎの女史と会いたかったらしい、宿の女将さんと、旅の話が弾む。居心地の良い宿だった。