Strange Days

2015年09月20日(日曜日)

高野山へ登る 初日

23時32分 天気:晴れ

 さて、とりあえず宿だけは決めておいた高野山行。そこまでの経路は、泥縄式に調べ、新大阪まで新幹線、地下鉄で難波、南海で直行あるいは乗り継いで極楽橋、最後はケーブルカーで高野山駅まで、という乗り換えが不安なルートが導き出された。まあ、身軽なんでなんとかなるだろう。
 万が一に備えた防水バックパックに、着替え類と中華パッド、そしてカメラを詰めて、新幹線に乗った。さすがに、指定自由ともに空いてないので、デッキで外を眺めているしか無い。車中、沿線の水田に、しばしば赤い花を認める。彼岸花があちこちで咲いているようだ。帰ってきたら、どこかで彼岸花を探そう。
 新大阪で下車。ロビーの構成は、どの新幹線駅とて似たようなものだし、小洒落た店が多い。しかし、漂う香りには、粉モンに掛かったソースが焼けるそれが濃厚に含まれている。大阪だ、間違いない。
 難波まで出た。この先の高野山までの経路を念頭に、時刻を眺めるに、次に高野山まで出られる便までは、少し間がある。お腹が空いたな。周囲を眺め、サクッと入ってサクッと食べられる店が無さ気だったので、パン屋で惣菜パンを買って、ぱくついた。そして、頃合い良しと改札を潜った途端、すぐ裏手に麺屋があるのに気づいた。早く言えよ*1
 橋本で極楽橋行きに乗り換える。この先、ほとんどの駅で乗降は少なく、乗客の目当てはことごとく高野山だと知れる。およそ、通常編成の電車だとは信じられないような傾斜と蛇行を繰り返し、川沿いの鉄路は高度を高めてゆく。
 極楽橋の、ケーブルカーに乗り換える。鹿と猿くらいしか寄り付かな気な秘境の駅に、ケーブルカー待ちの客が溢れている。
 ケーブルカーは、物凄い傾斜をよじ登ってゆく。ケーブルがブッチンしたら、あっという間に全力後退で衝突死しそうだが、何重にも安全対策が取られているはずなので、おそらく大丈夫。
 終点、高野山駅。しかし、高野の寺域までは、なおも登らねばならぬ。そこまでは、徒歩でも行けるのだが、普通はバスを使うだろう。登山道とは別にバス道があり、キビキビと連行してくれる。
 バスは高野の深部まで向かうのだが、あえて手前の女人堂で降り、そこから歩くことにした。女人堂というのは、実は数多い高野への参道にそれぞれあるもので、明治期に入って女人禁制が解かれるまで、女性はここで参籠しながら、高野の聖域の周囲をぐるりと一周したという。
 峠に近い女人堂からすぐに、聖域を示す門があり*2、伽藍が立ち並ぶ中心地へと下って行ける。
 その途中、徳川家霊台の看板を見かけたので、立ち寄った。右が家康、左が秀忠と、徳川将軍家創成期の将軍が祀られている。
 てくてく歩き、一際賑やかな辺りに出る。この辺は、もう普通に街だ。どれくらい普通に街かというと、コンビニまである始末。なんでも、コンビニの受け入れには一悶着あったらしいが、受け入れ後は若い修行僧の夜食調達に、真に便利に使われているのだとか。
 金剛峯寺を拝観しよう。結構な人が居る。中は高野の歴史、特に権力者との濃密な関係が伺えるもので、興味深い。はきれいに整備された枯山水。日が当たってない時刻なのが残念。
 高野山の聖域の一つが、壇上伽藍。空海が最初の堂を築いた一角に、その後金堂、御影堂、仏塔が建て並べられたのだ。秋と言うには少し早いかなと思いつつ、参道を歩いていると、山深いこの地ではそうでもないことに気付かされる
 壇上伽藍の一帯には、古びた、しかし大振りな伽藍が立ち並ぶ。中でも目立つのが、この巨大な多宝塔、根本大塔。鉄筋コンクリート製で質感が違うし、白いので悪目立ちする。
 奥まった辺りには、いくつかの神社がある。今でも仏僧が仕えているとは思えないが、位置的には高野山に完全に組み込まれているので、高野山と関係の深い神職が居るのだろう。
 この壇上伽藍のすぐ近くに、コンビニがある。ここまで自転車で来る人は多いようで、なんとラックが常設されている。次は自転車で来たいものだ。
 今日の宿は、壇上伽藍を北に出たすぐにある宿坊、明王院だ。部屋は建て替えられて間もなくで、綺麗なものだ。ただし、テレビはない。見ないので不要だが。
 風呂を使い、少しくつろいだ後、広間で夕食。部屋ごとに衝立で仕切られ、静かに頂ける。宿坊なので、当然精進料理だ。ごま油をたっぷり使ったフックの強い内容ではなくて、優しいお出汁の癒し系だった。美味しいな。いくらでも入りそうだが、腹八分目にとどめておく。といいつつ、ご飯が美味しかったので、全部平らげたが*3
 夕食後、そういえば根本大塔にライトアップ用の設備があったなと思いだし、されてるんじゃなかろうかと出かけてみた。やはり、ライトアップされている
 コンビニで軽い夜食を買って、部屋で中華PADを広げて、夜更けまで過ごす。山奥なので、静かなものだ。