Strange Days

2007年08月07日(火曜日)

鉄のくじら館に行ってきた

20時46分 天気:快晴

 さて、もう1ついっておきたい場所が、地元呉に出来た鉄のくじら館だ。正式名称は海上自衛隊呉史料館だが、ドンと置かれた潜水艦のインパクトもあって、鉄のくじら館の愛称こそが相応しい。
 中通りのモリスで中華そばをいただいた。おやじは好調らしく、味は往時のそれに戻っている。
 宝町まで走り、YouMeの駐輪場にBromptonを止めておいた。そのYouMeから見える鉄のくじら。凄いインパクトだ。
 館内へは、この鉄のくじらの真下を通り、入ってゆく。1Fはイントロダクションで、2Fから掃海戦、潜水艦戦などを中心とした展示スペースになっている。花形の水上戦は横須賀に譲ったのだろう。展示スペースはかなり広く、海自が遂行する任務、装備の概要が分かりやすく展示されている。
 さて、最大の売りの潜水艦内部へと入ってみよう。鉄のくじらの旧名はあきしおといい、海自の涙滴型潜水艦最終世代に属する艦だった。館内に入る前に、ヘルメットを被るようにとの記述があるのだが、ヘルメットなんてどこにも見当たらない。実はずっと後方、本館の奥に並んでいたのだが、そんなの気づかないよ。
 ともあれ、ノーヘルで恐々と奥に入っていった。見学できるのは、概ね発令所から後ろ、数ブロック分だけだったが、潜水艦の内部に入れるというのは面白い。内部は想像以上に狭い。特に海自の旧世代潜水艦は、複殻式といって2重構造になっていたため、余計にスペースが狭かったようだ。そのせいか、最新世代ではほぼ単殻式、つまりほぼ外寸そのまま使用できる形式に改められている。
 これは厨房。一部ではなくて掛け値無しに全景だ。もっとも、在庫品は食堂の座席下などに収められていたようだが。
 ほぼ全館撮影可能であるのに対し、唯一制限されているのが発令所。狭いが機能的にまとまっている。座席がほとんど無く、操舵士2名分の席があるきりなのが興味深かった。基本的に、ほぼ全員が立って業務を遂行するようだ。中央には潜望鏡が2本。前方が夜戦用のナイトスコープ装備の太いもの、後方は昼戦専用のものだという。さらに後方への通路に沿って、通常は使用しないレーダースコープが設置されている。そして潜望鏡スペースの真後ろが航海士官用のスペースだ。海図室は別にあった。
 真下は水雷室だが、床の一部がガラスに差し替えられて見下ろすことも出来た。
 その後、大和ミュージアムも見て、呉ポートピアパークで和んでからから帰宅した。次はもっと時間を取って、見学したいものだ。

2007年08月06日(月曜日)

周防大島に行ってきた

22時26分 天気:晴れだが、意外に雲量大

 周防大島は岩国の南辺りに浮かぶ大きな島だ。江田島や小豆島に較べれば知名度は低いと思う。が、瀬戸内で3番目に大きな島でもある。1周するのにちょうど良さそうなサイズだったのと、郷里の呉からJR1本で行けることが分かったのとで、一度足を運んでみることにしたのだ。
 朝5:40くらいに呉を出る、新山口*1行きの電車に乗った。これで周防大島の玄関口、大畠まで直通する。便利なもんだ。
 大畠駅までは2時間の旅だった。駅でBromptonを組み立てると、駅近くのコンビニで補給食と水を仕入れておいた。今日も暑くなりそうだ。
 橋の袂までエイコラと登る。我がBromptonのローギアは十分軽くしたつもりだが、それでもきつい坂道は堪える。
 周防大島に掛かる大島大橋は、全長1km超の長大な橋だ。通行料は無料。自転車は歩道を走るのが無難そうだが*2、その歩道は自転車のすれ違いさえ難しい狭さだ。だが、わざわざ徒歩や自転車で渡る人は居ないのか、行きも帰りもすれ違いは無かった。
 この島、サイズは大きいのだが、とにかく平地が狭い。瀬戸内の島なんて、かつての山の頂部が突き出しているだけなのだから、必然ではあるけれど。そんなわけで、この島を一周する間、延々とアップダウンをこなさねばならない。
 島は反時計回りに走った。メインストリートは北岸に走っている。南岸は細めの車道が続いているだけだ。だが、いくつもの集落があり、それなりに栄えていた形跡もある。
 途中で見かけた小学校の校舎。現役らしい。色合いと風化具合が素晴らしい。
 南を周る場合、海に突き出した~崎を経由することが多い。そんな場所は山越えになることが多かったので、想像以上に消耗していった。それでも、出来るだけ海沿いに走り、ショートカットは避ける方針で臨んだ。
 途中、橘地区でへんてこな発射台風の場所を見かけたが、ここはウィンドパークなるハンググライダーの練習基地らしい。橘地区のメインストリートは1.5車線の細い道だが、左右に店が立ち並んでおり、島では珍しい光景だった。
 しばらく走った竜崎。ここには温泉施設があるのだが、なんと月曜定休。一休みできない。消耗し始めていたので、大休止を取りたかったのだが。結局、この竜崎は袋小路になっており、一度引き返さざるを得なかった。
 その東にある立岩という、いかにもな景勝地。足元にお堂があって、なにやら祈願するとご利益があるとか。
 周防大島の真南には、沖家室島*3という小島があり、ちゃんとが架けられている。下調べした時には、こんな島に橋を架けるなど、なんて無駄遣いだと密かに思っていた。しかし実際に足を運んでみると、想像以上に家屋が並んでおり、これは確かに橋を架けたくもなると思った。
 店の類はほとんど見当たらないが、東に走るとかつての中学校跡地があった。ここで小休止。暑さと意外なアップダウンが足に堪え始めている。もう60kmくらい走っていた。
 ちょっと戻った辺りに、江戸幕府の高札所跡があった。高札というと、なにやら家型の札がそろりと立っている様を連想するが、実際にはこんな大きなものだったらしい。考えてみれば、新たに公布された法令を周知させるためのものだったわけで、場合によっては長大な法令の全文を掲げなければならなかったろうから、このサイズになるのも当然のことだったろう。
 橋を戻り、さらに走ると、片添ガ浜という大きな海水浴場に出る。平日だが、かなり賑わっていた。しかし、この先は南岸を行く道が無いようだ。完全周回を諦めて、目的地の陸奥記念館まで北岸を行くことにした。ってか、それくらい事前に調べておけよ。
 北岸に出ると、メインストリートのR437を延々と走り続けた。道は良いので、それなりに捗る。しかし暑さと空腹で、だんだんとハンガーノックの心配も出てきた。どこかに適当な食事所は無いものか。なんてことを考えながら走っていったら、結局は陸奥記念館に着いてしまった。
 まずは併設のなぎさ水族館に足を運んだ。びっくりするほど小さな水族館で、展示室が1室、魚介類に直接触れることが出来るふれあいスペースが1室、これで全てだ。
 展示されているのは、その辺の漁協から仕入れたと思しき地物の魚ばかり。イソギンチャクだのヒトデだのを除くと、地元の民宿の食卓に登場するに違いない魚介類ばかりだ。唯一、クリオネが目玉として鎮座している。が、全長10mmくらいの、想像以上に地味な生物であった。
 ふれあいスペースでは、そうした地物の魚介類*4が、浅いプールに入れられて、子供たちの猛攻をやる気無さそうに耐え忍んでいた。
 なんというか、このほのぼの具合は癖になるかもしれない。僕のようなパンピーではなくて、水族館マニアこそがはまりそうな雰囲気が感じられた。いやでまかせだがな。
 陸奥記念館の方は、WW2戦後に引き上げられた陸奥の遺品を中心に、陸奥ゆかりの品を展示してあった。それなりに見応えはあった。
 しかし、事前情報で見かけた、陸奥遺品の備砲類はどこに? おなかが空いていたので、野菜ジュースを摂取した後、記念館を出発した途端、少し戻った駐車場から小公園を発見。そこに備砲が鎮座していた。
 陸奥両舷に並んでいた、14サンチ副砲。WW2の頃に、大時代なケースメート型砲塔に意味があったのだろうかと思っていたのだが、設置スペースが小さく、駆逐艦をアウトレンジするには十分な性能を持っていたという意見を目にした。
 この時点で13:00過ぎ。大畠17:10発の広行きに乗れば、一本で帰れる。それを目指すには、昼食時間込みで考えれば、もう戻らなければならない。ちょうど島の東端に来ていたので、ここから北岸を走って戻ることにした。
 そろそろハンガーノックの危険性を意識しつつ、なんぞ昼食場所は無いものかと探していると、道の駅を発見。食堂のメニューを見ると、さっき水族館で見かけたような地物の魚を使った定食がうまそうだ。
 食堂に入り、食券を買うように指示されたので、なんの気なしに食券を買い求めた。肉うどんの。ガーン! 肉うどん病が出ちまった。拙者、疲れていると、なぜか肉うどんを食いたくなるのである。なにかに操られるように、肉うどんに走ってしまった。まあいいか。
 肉うどんで少し回復した後、道の駅で買い求めたみかんの生ジュースを飲みつつ、しばし寛いだ。
 ここから大畠までの道行きは、行きの南岸に較べれば少しマシだ。南岸ルートが特に悪かったわけではないが、やはり突端部を周る度に登りがあるのはきつい。北岸も同様だが、突端部が少ない分、上り下りも少なくて済んだ。
 橋まで戻ってきた時点で、走行距離はとうに100kmを越えている。事前の見込みでは70km程度だったのだが。見積もりが甘すぎた。
 橋を戻り、大畠には16:15くらいに到着。近所のコンビニで、ビールとおにぎりを買い求めた。もう走らなくて済む。
 ビールをやりながらおにぎりを片付け、適当な時間にホームに入った。待ちながら、かなり強い眠気と戦う破目になった。うーん、もう少し頑張れば、車中で寝ていられる。そうして時計を見ながら、数分おきにウトウトしていた。あと5分後になったのを確認し、また目を閉じた。そしてふと時計を見ると、17:12。うん、17:12。列車到着時刻は17:10だよな。
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 ま、まあ、また次の広島行きを待てば良いさ。広島乗換えだが。ははははは、は………。
 アクシデントはあったが、この衝撃で眠気も揮発したおかげもあり、その後は難なく実家に帰りつけた。
 今回の周防大島行きは、時間が無さ過ぎたこともあり、観光してきたという気分ではない。やはり1泊で周らないとダメだな、ここは。