某茄子の日だったので、久しぶりに定時退勤。だがkonozamaな荷物が届く予定だったので、さっと帰宅。晩はすき焼きにしたところ、肉を入れすぎて野菜が少ない不健康な鍋になってしまった。
さて、amazonからの荷物は、20:00を過ぎた頃に受け取った。中身はairpen mini、その他はそろそろ買い換えたかったeneloopなどの小物だ。
airpen miniは箱の体裁といい、レシーバーといい、airpenよりも低価格なのが売りだった
MVPenとそっくりだ。ってか、そもそもがairpenそのものがMVPenのライセンスを受けたものらしい。しかし、肝心のペン本体が、従来のMVPenと違っている。MVPenの欠点をかなり潰したというのが売りだ。
早速、適当なチラシの裏に試し書きしてみよう。レシーバは書類用のクリップと一体化されている。大体20枚程度までなら挟めそうなサイズではある。しかしノート一冊挟んでとなると苦しそうだ。
ペンの書き味はボールペンそのもので、可も無く不可も無い。ふつうにメモ用に使えるというところだ。しかし高級ボールペンの書き味には劣るのが残念。適切なペン先に換えれば改善できるかもしれない。
さて、レシーバーにデータが溜まったようなので、おもむろにPC側をセットアップする。リモートデスクトップに使っているAthlon64 WindowsXP機にインストールする。レシーバからデータを受け取るもの、OS上で手書きパネルをエミュレートするもの、二つインストールする。そしてレシーバからデータを受け取るべく、起動するや……。アプリケーションエラーですか!
再起動しても、再インストールしても駄目。なんでやねん。ペンテルのサポートページを見ても、これに類する情報は無い。
仕方ない。WindowsXP64機に入れよう。しかし、やはりアプリケーションエラーだ。説明書を詳しく読んでみたが、これという注意事項は見当たらない。えーっ、という感じ。俺様、涙目。
苦し紛れに、リモートデスクトップの踏み台に使っているWindows2000なLibretto L3に入れたところ、これはようやくアプリを起動できた。レシーバをつないで、データ転送も問題なく出来た。
ダウンロードされたものは、筆跡のベクター情報で、これを画像として閲覧することも、他のフォーマットに変換することも可能だ。筆跡は驚くほど再現されており、メモとして一読するには十分だ。
さて、やりたいのはこれをテキスト化することなので、変換してみた。しかし、ここで大きな問題が発覚したのだ。
このアプリ、縦書きには対応してない(身も世も無く泣き崩れ中)。必ず横書きとして処理する。読み取り方向の変更は出来ないのだ。本当に横書き固定なのだ(激しく嗚咽を漏らしつつ号泣中)。
参ったな。個々の文字の認識は出来ているし、認識率も高そうなので、横書きで使うなら問題は無いだろう。むしろメモ書き用としては便利かもしれない。しかし、僕はこれを原稿用紙で使いたいのだ。我々の業界では、原稿用紙は縦書きと決まっているのだ。それがデファクトなのだ。そして最終的なアウトプットも、紙を指向するならば縦書きであるべきなのだ。
まあ、アウトプットの方はなんとでもなる。縦書き専用エディタだってあるのだし。しかし、肝心のインプットで、こんなことで躓くとは。
ちなみに、この『縦書き認識不可』という点は、外箱には全然記述されておらず、文字認識アプリのヘルプに、注意事項としてこっそり書かれているのが心憎い限りだ。ちょっぴり目立つようにアスタリスクを付けたりしてな。そんなもん、後で読まされても嬉しくねえ。製品概要で分かるようにしろ。ちなみにペンテルの製品紹介ページにも、表と表の間にこっそりとかわいらしく記述されておりました。ふつう気づきません。
ペンテルとしては、それはあくまでも文字認識アプリの問題であって、ペン本体には関わりが無いということなのだろう。然り。されど、一つのシステムとして、期待したことが出来なかったのは確かなのだよ。
アプリの不安定さといい、この1件といい、大いなる期待を裏切られた思いだ。机上に転がっているペンとレシーバがゴミに思えて、捨てたくなってしまった。
しかし\13000は惜しいな。ここで、発想の転換をしようではないか。横書き用の原稿用紙を使えばいいのだ。
考えてみれば、横書きにすると、英数字との親和性、ルビの振りやすさなど、有利な点も多々あるのだ。どうせアウトプットで縦書き指向に調整すればいいんだから、最初は横書きでも良いんじゃない? とはいえ、なんだか安易な妥協だなあ……。
もう一つ、縦書き認識できる文字認識ソフトに食わせるというのも手だ。が、この手のものは非常に高い。といって日本語対応の文字認識ソフトは、フリーのものが非常に少ないのだ。横書き原稿用紙で妥協するか、文字認識ソフトを別途入手するか。
いずれにせよ、このままではゴミに等しくなってしまうので、活用法を模索せねばだわ。
ちょっと前からそそられているのが
airpen。専用のペンとレシーバーを組み合わせると、筆跡をベクタ情報として保存しておいて、後で文字認識アプリで文書化できるという代物。激しく欲しかったのだが、レシーバのサイズがでかい上、値段もちょっと高いと思ったので、手を出せなかった。僕が使うなら、激しく用途が限られてしまうし。
ところが、最近出た
airpen miniはレシーバがかなり小型化された上、価格も\13000程度。思わずぽちってしまいました。届くのが楽しみ。
僕の場合、紙のメモなんて取らないで、ほとんどはWillcom03にテキストとして残すのだから、実は紙媒体が必要な局面はほとんど無い。しかし唯一使うのが、最高機密事項とされている趣味の創作小説でなのだ。かれこれ20年以上前から紙での執筆にこだわっていて、大体第1稿は原稿用紙に万年筆で書くのを常としてきた。それを電子化して、また推敲を重ねてゆくというものだ。なんでかというと、たぶん訂正の痕が丸分かりの紙媒体で創作してゆくという、緊張感が好ましいのであろう。
この電子化の時に、今まではわざわざ第1稿を横目に見ながら、概ね記憶を頼りにテキストを入力していたのだが、これをほぼリアルタイム化できたら面白いかもしれないと思うようになって来た。わざわざ第1稿を参考資料扱いして来たのは、紙で推敲を重ねた文章のリズムを調律する機会を与えるという意味を持たせていたからなのだが、振り返ってみるとあんまり効果が無いように思う。紙で読む場合、電子文書として読む場合それぞれ、結構リズムが違うように思う。紙でなら1面の情報量はデファクトとしてほぼ定まっているのだが、電子文書の場合はそうではない。なら、早い段階で電子化しておいて、電子文書として推敲と調律を進めるのが今風なんではないかい? ケータイ小説なんてものも登場している時代だ。紙じゃなくて電子文書の形で読むことが増えてゆくだろう昨今の情勢を鑑みるに、設計製造を一貫して電子世界で行うのが正しいのだろう。
でも、1度は紙に起こす機会は残したい。そんなわけで、airpen miniは適度な省力化も見込んで理想的なのではないか。
問題は識字率と書き味だな。万年筆並みとは言わないが、高級ボールペンに勝るものであって欲しいものだ。