Strange Days

2000年11月19日(日曜日)

昨日のことだが

20時22分 音楽 天気:くもり

 そうそう、昨日のハンズ初襲撃の帰路、戸塚駅でちょっとした催しと遭遇したのを思い出した。横浜市交通局の主催で、ほのぼの駅コンなる小コンサートが開催されていたのだ。あちこちの駅で催されているようだ。僕が行き会った頃は第1部が終わって駅長がなにやら挨拶していた。プログラムを見ると第2部はゴスペルのグループとなっていた。ちょっと楽しみにして待っていると、やがて若いもんが10人ばかり壇上に上がった。ノリのいい、というよりむりやりノッているような人々である。少しイタイなあと思っていたら、「ゴスペルとはGod Spellのこと」という前説の後で歌い始めた。しかしそれが色んな意味でイタイものだった。まず相当無理しているとわかるのである。テレビでよく見るゴスペル隊の連中は大体ガタイもでかい黒人のおばちゃんが混ざってて、とても人間とは思えない声量で朗々と歌ってくれるのに聞き惚れるほどだ。しかし平均的日本人に過ぎないこの人々は、やはり平均を少し上回る程度の声量しか出せない。それをがんばって無理やり大きな声を出しているものだから、余裕が無いのである。また駅の構内で堅い壁と大きな開口部に囲まれているという状況は、特にコーラスのような声楽には向いてないと思われる。固い壁からの反射はピーキーで耳障りな音を作り、開口部は音を吸い込んで余韻を作り出さない。実際、1曲は我慢して聞いたが、それ以上足を止めるに値しないと思ったので、本屋に向かってしまった。帰りにまだやっていたら見ようかと思ったが、30分ほどで終わってしまったようだ。
 しかしまあ、確かに不利な状況ではあるけれど、本場のゴスペルグループならどうするだろうと思った。こういう場所ではやらないというのも選択肢だが、一つにはむしろ声量を絞るというのがあるのではないかと思った。声を出せば出すだけピーキーで耳障りな反響も増えるわけだから、それは声量を絞って抑える。そして抑えた分だけ声を自由にコントロールする余裕が生まれるわけだから、それで微妙で豊かなハーモニーを作り出して行くのではないだろうか。イアン・ギランだって、そうやってパープルの色んな曲に合わせて声を作っていったわけだから。基本的に、昨日遭遇した集団は経験不足なのが一目瞭然だった。経験を積めば、ただ声を出すだけがゴスペルじゃないと分かったはずだろう。ってゴスペルの何たるかをしらない俺様が断言していいのか? とにかく、TPOに合わせた歌いを出来てなかったのは確かだと思う。経験を積んで欲しいものだ。やる気は満々だったわけで、その点はとても好印象だったから。