Strange Days

2000年12月10日(日曜日)

NHKスペシャル

23時02分 テレビ

 今夜のNHKスペシャルは「ハイテクが支える私の人生」。アメリカにおける障害者向け補助器具開発の現状をレポートする。
 アメリカでは'90年代初頭、ブッシュ政権時代に障害者の雇用と設備の整備を義務付ける画期的な法律が施行された。画期的なというのは、この法律が経費負担にしり込みする官庁、企業の認識を覆す狙いを持っていたからだ。つまり、障害者が社会に参加する結果生まれる富は、その参加に必要となる費用をやがて上回るだろうという主張が込められていたからだ。
 この法律が重く見られた背景には、アメリカ社会における障害者の多さがある。アメリカは世界の警察官として数多くの紛争に介入してきた歴史がある。その結果、WW2を始めとする多数の負傷兵が生じ、多くの障害者を抱えることになったわけだ。
 アメリカにおける障害者人口は4000万人にも達する。これが比率的に特異に多いのかどうかは分からないが、人口の1/6強という数は相当のものだ。この人たちに社会への参加機会を与えれば、それだけ社会の富が生み出され、やがてその負担に見合ったものになるというわけだ。さらにいえば、障害者向け機材は、高齢者のためにもそのまま流用できる。このまま行けば、日本など他の先進国向けの市場が望めるから、障害者市場への投資がアメリカの貿易を支える日が来るかも知れないと思った。日本人はASIMOの発達に賭けるしかないかなあ。

2000年12月02日(土曜日)

NHKスペシャル

23時55分 テレビ

 年末ゆえか、今週のNHKスペシャルは渋い。「天地の恵みを生きる。日本画家 小倉遊亀」。今年105歳で亡くなった日本画家の最晩年を追ったもの。
 この人は遅咲きの花と呼ばれ、50代になってその才能を飛躍的に開花させたのだという。保守的な日本画界に斬新なテーマを持ち込み、評価されてきたという。
 この人は、100歳のときに病を得、床に伏せることになった。しかしそれから2年程で再び絵筆を取れるようになり、100歳を越えてなお現役でありつづけた。この番組ではその病床からの復活と、老いをあるがままに迎え入れた一人の女性の等身大の姿を追ったものになっている。
 この人は、山岡鉄舟門下の禅客、小倉鉄樹と結婚し、その教えを受けている。そういう禅味ある余韻を感じさせる最晩年だったようだ。やあ、面白かった。