Strange Days

月食の一部始終

2000年07月16日(日曜日) 23時55分 星見 天気:快晴

 先週くらいの週間予報では「くもりか雨」とされていたのでヤキモキしてきたが、今日の昼になると空は晴れ渡っている。そしてそのまま日が暮れてくれた。
 今夜は久しぶりの皆既月食だ。それも千年に一度しかないような長時間にわたる月食だという。月食は地球の作る影に月が入ることによって起こる。太陽、地球、月の順番に一直線に並ぶ事によって起きる天体現象だ。そのため、満月のときにしか起きない、と思う。
 今回は、この並び方が本当に一直線で、月が地球の影の真中を通過するので、隠れている時間が長いというわけだ。今回を見逃したら、これより長時間なものは実に1800年後にしか起きないらしい。
 日が暮れると、いそいそと準備を始めた。メインはE950による撮影だ。E950にテレスコマイクロを取り付け、MIZAR20*80で使っていたカメラ三脚に固定し、空に向ける。たかがレンズ径20mmのテレスコマイクロとコンパクトカメラ並みのE950が一人前に空を睨んでいる様は笑える。
 テストで昇り始めた月を捉えてみたが、いまいちピンぼけになってしまう。これは測光モードを中央重点に切り替えると解消された。しかし8倍程度では画面中央にポツンと写るだけなので、トリミングして強拡大しなければいまいちぱっとしない。
 E950と100EDを並べて空に向け、月を待った。残念なことに月食開始の頃までは隣の中学校のネットにかかってしまった。
 20:56。月食が始まった。その直前あたりから月の右横、やや上付近が暗くなり始め、やがて影になった。影は見る見るうちに広がってゆく。それをE950で適当に撮る。
 欠けつつある月に望遠鏡を向けてみた。80倍弱で眺めると淡い色の月(ムーングラスを噛ませているので)が次第に欠けて行く様が手にとるように分かる。いやその程度のことなら10倍の双眼鏡でも分かるのだが。
 アイピースを替えて160倍で境界線付近を眺めた。何か劇的なものが見えるんじゃないかと期待していたのだが、実際にははっきりした昼夜境界線が分かるわけではなく、また月の満ち欠けのときのような月の陰影の妙を感じられるわけでもない。考えてみれば満月のまま欠けて行くわけだから、そういう面白いものが見えるわけではないのだ。
 完全に欠けたのが22:00過ぎくらいだったろうか。明るい部分が右横の方に吸い込まれるように消え、月全体が赤っぽく不気味な色合いで鈍く輝き始めたように感じた。以前月食を見たのは恐らく80年代、20年は前のことだろうか。その時の月はもう少し赤く、明るく光っていたように思えたのだが、今回はかなり暗くなったようだ。
 しばし室内と行き来しながら赤い月を眺め、再び輝き始める時を待った。
 皆既の終了は23:49だと書かれていたので、その前後からまた月を撮り始めた。シャッター速度を8秒にすると、夜空の星でも結構写ることを発見した。また皆既中の赤い月も良く写った。
 皆既終了直前から月の右横が明るくなり始め、やがて少しずつ白く輝き始めた。その輝きは徐々に月を回復し、翌0:47分位には完全に食が終わった。
 終わって撮れた画像を眺めてみたが、最初の頃のものはいまいちピントがあってなかった。しかし少しずつ調整していたためか、皆既食が終わる頃以降の画像は、それなりに見えるものが撮れたと思う。デジカメでこれくらい撮れるのなら、記録用には十分使えるのではないかと思った。
 100EDはあまりに邪魔なので途中で引っ込め、タカハシのフィールドスコープで月を眺めてみた。20*50mm程度なので、月が視界の真中にこじんまりと収まるのだが、地表の模様はかなりよく見えた。案外に見えるという印象をもった。
 疲れきって就眠。


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