Strange Days

世紀を越えて

2000年11月26日(日曜日) 22時44分 テレビ

 今夜のNHKスペシャルは世紀を越えて、シリーズ「未来世代」。あれ、(プログラムによれば)このシリーズは今回でお仕舞い。2回限りの小シリーズだったようだ。
 今回はベンチャー企業の聖地、シリコンバレーに集まる起業者たちの話題。
 1980年代、シリコンバレーは日本の安い半導体に押され、不況にあえいでいた。シリコンバレーが生み出した新技術、半導体は、しかし日本を始めとする後続グループが急速に製品化し、あっという間にシリコンバレーのお株を奪ってしまったのだ。
 しかし今はどうか。半導体産業のチャンピオンは相変わらずシリコンバレーであり、後続グループ、特に日本は大きく水をあけられてしまっている。この逆転劇の主役となったのが、シリコンバレーを舞台に熾烈な競争を繰り広げている、ベンチャー企業群だったのだ。
 シリコンバレーの歴史は、スタンフォード大学から始まった。'30年代、この大学の1教授が卒業生が近辺に定着できるように、大学周辺で起業するように卒業生に働きかけるようになった。それに促されて二人の卒業生が起業したのがHewlett-Packard社だった。そしてHP社を皮切りに、数多くのベンチャー企業が興っては消えていった。
 シリコンバレーの特徴は、そこに居を構える企業群の生存競争が激しく、その結果新陳代謝が激しいことだ。6000ある企業のうち1000ほども1年のうちに消えてゆくということだ。このような激しい入れ替わりの原因は、シリコンバレーにおいては起業が非常に簡単で、かつまた失敗しても起業者自身は失うものが少ないというシステムにある。
 シリコンバレーでは、起業者と資本家とが明確に分かれている。その結果、起業者は資本に関するリスクを背負うことなく高い目標に挑むことが出来る。一方、資本家はその失敗を全て背負うことになるので、資本提供を望む起業者を厳しく選別する目が必要になる。その結果、起業者は失敗しても挑戦を続けることが出来、また事業に見切りをつける判断も速く下せるようになるのだろう。
 こうしたシステムがシリコンバレーにおける激しい新陳代謝となって現れ、失われていた優位を'90年代に入って取り戻す原動力になったわけだ。
 こうしてみると、拙速は巧遅に勝るというのがビジネスの世界での黄金律のようだ。どこまでも走りつづけなければ生きていけないのだな。僕には起業なんて無理だということが良く分かった(笑)。


Add Comments


____