Strange Days

NHKスペシャル

2001年02月24日(土曜日) 23時08分 テレビ

 今夜のNHKスペシャルは、朝鮮半島の付け根にある白頭山の自然を追う番組だった。この白頭山、山頂までの高さは富士山より低い2700m程度なのだが、裾野が非常に大きく広がっている独特の形をしている。これは大きな山塊が大爆発を起こし、堆積物が一気に崩れたためといわれている。山頂には巨大なカルデラ湖が広がっている。これほどの高所に、これだけの大きさの湖があるというのは珍しい。こうした神秘的な佇まいゆえか、この山は朝鮮民族発祥の地と称されている。歴史的に、ここは朝鮮民族と他の民族との領域を分ける役割を果たしていたので、確かに発祥の地といえなくは無い。というのも、朝鮮民族のルーツは沿海州からシベリアにかけて住んでいたと考えられ、それが朝鮮半島に流入する経路にこの山があるからだ。
 しかし、番組で垣間見える北朝鮮の暮らしは、さほど深刻な食糧難に陥っているとは信じられない。見栄っ張りゆえに体裁を繕ったのか、それとも他の地方とでは格差があるのか分からないが、単純な食糧援助はほぼ無意味なことに思えた。
 白頭山を取り囲む針葉樹林は、実は1000年前の大噴火で壊滅した歴史がある。時に渤海国の滅亡という暗示的な出来事も起こっている。ところが、1000年を経た今、樹海は標高2000m地点まで蘇っている。この森を研究する科学者によれば、数百年後には完全に元通りになるという。2000年で復旧するわけだ。森が蘇るという事件は、一人の人間の認識を超えた迂遠なものに思えるが、自然に取っては2000年程度などなにほどのものでもないのだろう。


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