Strange Days

長州ツーリング(3日目)

2004年08月13日(金曜日) 23時57分 天気:まだ晴れ

 楽しかった長州ツーリングも最終日。今日は萩から自走で津和野に向かう。想像以上に苦難の待ち構えていた道行だったが、なんとか乗り切る。最後は初めて乗るSLで新山口まで戻り、楽しかった3日間を終えた。


 楽しかった長州ツーリングも最終日。今日は萩から津和野まで、自走で行こうという話になっていた。
 朝食を取り、なるべく早い時間に出るのが良いと思い、昨日より早い時間に宿を出た。萩の家は、俺的にはなかなか居心地のいい宿だった。
 あゆこ女史は、萩の家の主人に教えていただいたバス便で、津和野まで輪行することになった。適当な時間に出るあゆこ女史と宿の前で別れ、僕とこぐ氏は初日に通った阿武川沿いの道を目指した。
 萩駅へ向かう橋を渡り、進路を東に取ると、間も無く阿武川にぶつかった。ここからはさほどのアップは無いはずだが……。
 途中で休憩を取りつつ、阿武川を遡って行く。日差しは強いが、川沿いゆえか風は涼しく感じる。ずっとこの感じで行けたら良いのだが。しかしそんな僕のはかない願いを、坂の神様が聞き入れるはずも無かったのである。
 阿武川ダムまであと少しという辺りで、目の前にすげえ急傾斜が現れた。ダムの取付け道らしい。ほとんど非人道的とすらいえる急な登りだ。車にすればどうでもいいんだろうが。この人力での登坂など一慮すらしてないに違いない道を、ともかくも登りきり、ダムで一服する。ダムの上から見下ろすと、下流の水面が小さく見えた。あんなところから上らされたのかい。
 この後の道行きはやや複雑だが、最終的には長門峡*1方面に向かい、途中で一山越えればいいはずだ。
 いくつかの橋とトンネルを潜りつつ、長門峡方面へと走る。すぐ横には阿武川ダムが作り出した人造湖の水面が広がっており、周囲は緑が濃い。気持ちのいい道だった。
 やがて、長門峡への道に乗り、地図で道を探りながら、川筋から離れるべき場所に来た。ここから一山越えると、国道9号へと合流できる道に出る。でもここ、見る限り、凄い傾斜ですよ?
 嬉々として登って行くこぐ氏を見送り、僕は最大傾斜の箇所は押しながら、後はインナー・ローでゆっくり登っていった。昨日の左足攣りかけ事件があるので、あまり無理は出来ないと思ったのだ。というか、基本的に坂は嫌いだね、やはり。
 なんとか登りきると、さすがのこぐ氏も疲労したのか、あるいは後から登ってくる僕を慮ってくれたのか、寝転がってクールダウンしていた。ちょうど小さな谷間だったので、日を遮り、風が抜けてゆくのが涼しい。この道、車の通行が極端に少ないのが助かったな。
 再び走り始める。しばらく下ると、ようやく里に出る。自販機でもないかなと思いつつ走っていたら、自販機ばかりでなく、雑貨を置いているらしいを発見した。店で水を買い求め、出ようとしたら、アイスも売っているのを発見した。オレンジ味の氷菓を買い求め、日陰で貪るようにして平らげた。あー、おいしい。美味しすぎる。少しばて気味だったが、これでよみがえった。
 更に走り続け、わずかなアップダウンを越えると、鉄道にぶつかった。山口線だ。それを越えると、R9が見えた。後はほぼ一直線だ。ただし、R9はさすがに交通量が多く、しかも直線的な敷設ゆえかアップダウンが多く、順調に疲労して行った。途中、辛いアップを越えたところで、たまらず道沿いのリンゴ販売所に立ち寄った。この辺りはリンゴの産地らしく、リンゴの販売所がそこここにあった。生ジュースが美味しそうだったのでいただく(\100)。うまい。少し回復した。ドラクエで言えばホイミくらいか(爆)。店番の女性から、リンゴのパイを味見させていただいた。出来立てのものをいただいたのだが、リンゴのほっくりした甘みが良い。後の展開を振り返るに、あそこで一ついただいておけば良かったのだ。
 そんな風にしてリンゴ販売所を見つけては生ジュースを求めるということを繰り返した。どうやらかなり消耗し始めていたらしい。R9は退屈な道なのだが、消耗も激しかったようだ。
 途中、こぐ氏が、間も無くSLが通りそうだと教えてくれた。ならば、ということで、またしてもリンゴ販売店に自転車を停め、生ジュースを買い求めて少し時間をつぶし、道の反対側にある線路に近寄った。すると、まだ線路際に寄ってないのに、遠くから汽笛が聞こえるではないか。慌てて駆け寄り、カメラを構えると、南西からSLがゆっくりやってきて、ゆっくり過ぎていった。D70を唸らせ、何枚か撮っておく。残念なことに線路沿いの電柱が邪魔で、あまり綺麗には撮れなかった。
 先を急ぐ。R9を延々と走り続けた。だんだん嫌気が差して、それ以上に消耗してしまって、次第に足が回らなくなってきた。背後でこぐ氏が心配しているように思えたが、足が回らないのはどうしようもない。『次の坂の前に休憩しましょう』などといってくれたので、次の坂の前で休んだら、そこが津和野への最後の登りの前にある道の駅だった。自販機によって、水分を摂取すると、また少し回復した。やっぱりホイミくらいにな。
 ここでなにか腹に入れてもいいのだが、まあ後一山だからと先を急ぐ。しかしもう一山というほどでもなく、わずかな登りをこなし、トンネルをいくつか越えると、やがて眼下に津和野の市街地が見下ろせる場所に出た。時間的には全然余裕だ。
 下りでこけると痛い(しばしば死ぬ)ので、ゆっくり下りきり、少し走ると、ようやく津和野駅に到着した。萩からは、だいたい60Kmくらい走った感じだろうか。こんな距離だったら、舐めないでサプリメントをちゃんと取ればよかった。途中できつい登りはあるものの、なかなか楽しい道行だった。つらかったR9も、余裕があればそれなりに楽しめたはずだろう。
 あゆこ女史と合流し、昼食はうどん屋で取ることにした。疲労が募り、食欲が湧かないのだ。昼食の後はあゆこ女史の案内で、津和野の見所をざっと巡った。津和野くらいの町なら、自転車よりも徒歩の方が面白いかもしれない。
 乗車する便の時間が近づいたので、津和野駅で輪行準備をした。乗り込むのは津和野でリターンするSL急行便で、全車指定席だった。でも自転車を置く場所はあるかな。改札が始まり、いざ乗り込んでみると、やはり荷物のスペースは少ない。通路になんとか置いたが、少し邪魔になりそうだった。まあ、往来は無さそうだが。
 やがて発車時間となり、汽車*2は新山口へと出発した。乗ってみて思ったのだが、SLは乗るものではなくて、見るものだと思った。まあ風情は感じられたか。でも走っている姿は、当然のことながら乗っていれば見ることが出来ないのだ。
 車窓を流れる風景を見ながら、この3日間は楽しかったなと思い返した。観光地として魅力的だったこともあるが、信頼できる人たちと旅が出来たことも大きいと思った。特にこぐ夫妻は、旅でも消極的で易きに流れる僕と異なり、積極的に旅路を楽しもうという人たちだったから、それに乗せられた僕も結局は得をした形だった。
 SLの旅は新山口まで。ここからはみんな新幹線での旅だが、取った便まで間があるこぐ夫妻とホームで別れ、僕は広島止まりの便で戻った。あまりに疲れていたからだろう、いつの間にか寝入ってしまい、車掌に起こされる始末だった。充実した疲労を感じつつ、帰宅した。
 いやほんと、楽しかった。

Add Comments


____