今日はガッツリ走るぞ。最終目的地の室生寺まで、自走で向かう。途中にある奈良長谷寺共々、国宝で構成されたような大刹だった。
今日はガッツリ走るぞ。BD-1で楽に走れる範囲でならば!
ということで、今日の目的地は室生寺だ。橿原神宮辺りから見ると、真東に向かって、少し山を登った辺りにある。高低差は大したこと無いのだが、途中に走る車道の状況が問題だ。あまり交通量がなければいいのだが。
宿を出て、まず南下した辺りにあるR165に乗る。後は、ここをひたすら東行するだけだ。その宿の間近に、
こんなモノがある。古い宿場町だったのだな。
R165に出て、東に向かって走る。我がBD-1は、フリクションの大きい内装ギアもさることながら、トップスピードを捨てて軽いギアを稼ぐ設定にもしてあるので、平地の車道といえどもそうは道行が捗らない。のんびり走る。
平地の市街地はごみごみしていたが、東の鈴鹿山脈に向けて登り始めると、意外に良好な道幅で、むしろ快適になってくる。
長谷寺までの道は、あまり傾斜もなくて楽だった。やがて、
長谷寺に抜ける門前町への分岐が現れた。ここからも意外に走り、やがて山が近づいた頃になって、長谷寺の山門が現れた。
長谷寺全体は、初瀬山の斜面に広がっているので、寺領の中は
長い石段で繋がれている。本堂直下のそれは、徳川家光の寄進で改修されたとかで、恐らく最も古い石段で、それ自身が重要文化財に指定されている。
石段の途中、案内板が見えたので、その通りに辿ると、源氏物語の玉鬘の巻に登場する
二本の杉が、そのまま現存している、という。本当だとすれば、齢千年を遥かに超えているはずだが、そこまでの老樹には見えない。
とにかく
石段が多い。全体的にも石垣でがっちり固められ、ちょっとした城塞だ。なんでも、秀吉に根来寺を追われた根来の真言宗徒が中興したとかで、あるいは戦国の遺風が薫っているのではなかろうか。
ふと石垣に目をやると、鳩より小型の
野鳥が、石垣を飛び歩いている。これは、ツグミの地味な系統?
先の、
家光縁の石段を登りつめると、
本堂。これ自体が国宝で、また国宝指定の品が数点、収められている。複雑な構成で、向かって右、山際に本尊を置いた内陣があり、通路兼拝礼口を挟んで、恐らくは拝殿兼舞殿、もっとも谷寄りは
懸造の大きく張り出した、恐らく正規の礼堂と、随分ややこしい構成になっている。
本堂の西側、高所にも言われ有りげな
小堂と、
五重塔がある。この小堂、元々この長谷寺が開かれた場所だったという伝承から、本長谷寺と呼ばれているとか。五重塔は、近世の建造だ。
長谷寺だけでもお腹いっぱいだが、今日の目的地は室生寺の方だ。
R165を先に進む。ここから、室生との中間辺りの榛原までの間が、勾配があってプチ峠が連続する、ちょっとした難所だった。榛原を抜けた辺りで空腹を感じたので、目に入ったファミレス系中華店に入る。
チャーシュー麺と、ちょっと物足りなかったので、酢豚。
一旦、室生口方面に下った後、また室生寺へと登り返す。しかし、思ったより緩い坂だった。登り始めた辺りにある、
その錆びっぷりに不安を掻き立てられる橋。
R165に比べれば、閑静な道を登り続けると、やがて室生寺の門前町が見えてくる。ここは、室生寺とは、
川を隔てて相対している。
川を渡った、
本坊前に立つ『女人高野』の石碑が、格調高く、そのくせ妙に俗っぽく、素敵だ。
山門をくぐり、石段を登ると、
国宝の金堂が現れる。さらに上に、やはり国宝の灌頂堂、そして更に上に、ここに来たかった理由の
室生寺五重塔が見える。昔、テレビの国宝番組で目にして依頼、ぜひ訪れたかった。
屋外にある五重塔としては、日本最古の法隆寺のそれに次ぐ古さだ。そして、数ある国宝級五重塔として、屋外にあるものとしては最小だという。実際、興福寺や法隆寺など、奈良の大刹のそれを見慣れためには、随分こじんまりとして見える。だが、美しい。斜面にあり、また小型なため、常に見上げる位置から撮らざるをえない他の五重塔と違い、ほぼ真横から撮れるのも楽しい。真にフォトジェニックな古塔だ。もちろん、これを建てた奈良末期の人々は、写真写りなど考えたわけじゃなかろうが。
奥の院は、さらに
石段を延々と登った先にある。正直、お腹いっぱいだが、時間はあるので登ってみた。見るだけで気力をドレインされるような段数だが、程よく滑る石段がクリート殺しなのも見逃せない。次は、ちゃんとした靴を持ってこよう。
登り切ると、まず護摩堂(?)がある。ここは
堂々たる懸造。そして一番奥に、奥の院の意味である、御影堂がある。これらも室町時代の造営だという。
いい時間なので、そろそろ帰る。帰路は、自走ではなく、近鉄室生口駅から輪行することにした。交通量の多いR165を、凍えた手で下りたくはない。
駅に向かう途中、大野寺という寺が目に入ったので、立ち寄る。ここは、
寺の対岸に掘られた巨大石仏で有名、らしいぞ。
近鉄室生口駅で、急行で大和八木駅に戻った。たった20分あまりの乗車時間だ。楽々。
明日は、いよいよ吉野に向かう。