Strange Days

冬の平戸方面遠征3日目

2015年01月19日(月曜日) 22時37分 , デジタルカメラ , , 自転車 ( 自転車旅行記 ) 天気:晴れ

 今日は平戸の北方、玄界灘に浮かぶ的山(あずち)大島に向かう。名前からして難読なこの島、結構難儀だった。


 今日は的山大島に渡る。実は、平戸に来るまで、まるで意識していなかった島だ。しかし、捕鯨がらみで、なかなかおもしろい島だったようだ。
 朝、宿からの眺めは宜しい。天気も良さそうだ。
 島へはフェリーでしか渡れないため、平戸港発のフェリーで渡った。月曜の朝という時間もあってか、思いのほか多くの車両が乗っていた。
 フェリーは的山港に入る。まずは港周辺の観光物件を回ろう。港の西に向かうと、海際に朝鮮井戸がある。海のすぐ傍にある井戸だが、地下の地層の妙で、海水との混合もない清水が湧いているのだそうな。この名は、秀吉の朝鮮出兵に際し、松浦党の船団が真水を汲んだ場所だからだとか。
 坂を登ると、本山神社。風のせいか、本殿の守りが堅い神社だ。
 北側の海岸に向けて登ってゆく。この尾根の両斜面に沿って、深く棚田が発達している。この島、どこもかしこも棚田だらけと言っていいくらいだ。北斜面に出ても、この有り様なのだ。
 打出の岩という看板に誘われて、海岸への道を下ってゆくと、大岩が荒波に対峙して屹然と聳え立っている。これが打出の岩。根本の赤い溶岩層がアクセントになっている。足元を白浪に洗われ、孤然とした佇まいが素晴らしい。そして振り返ると、この浜のすぐ際までが棚田になっている。春以降、秋までに来るべき場所だ。
 このすぐ東に、長崎鼻があり、突端に灯台があるという。しばしうろついて、灯台への道を発見し、下っていった。確かに、灯台あり。生月島の灯台のようには全く観光化されておらず、ただただ実用に供されるもののみが持つストイックな佇まいが良い。こんな場所に誰が来るのかよと思いきや、なぜか我々のすぐ後ろに車が続き、やはりおっさん二人組がしばし同じようにうろつきまわっていた。来るのか、観光客が。
 ちょっと雲の多い空から光が降り注ぎ、生月島から見えていた風車群が霞んで見える。長崎鼻から大根坂湾にかけても、これまた随分深い棚田だ。
 さて、的山大島に渡って、最大の難問が、昼食場所だった。観光パンフレットに書かれた昼食可能場所は、ほとんどが宿のもので、要予約の場所ばかりだったのだ。だが一か所、高台にある漁火館という宿では、昼食を取れそうだった。そこで、えっちら登っていった。
 ようやく漁火館に着き、宿のおっさんに聞いてみると、ここも要予約とのこと。これは、見事にあぶれたな。だがおっさんの話では、このまま神浦湾に下ってフェリーターミナルの近くに出ると、海の駅っぽい店があって食事できるのでは、とのこと。一縷の望みをかけ、神浦湾に下ることに決する。しかし、せっかく登ったんだから、まずは高所からの眺めを楽しもうではないか。
 神浦湾に下り、湾口に向けて走ると、フェリーターミナル近くにプレジャーボート用のポンツーンがあり、その傍に確かに海の駅的な小さな店があった。上がり込んで、案内に書いてあったように店の人を電話で呼びだそうか迷っていたら、店の人が出てきてくれた。そしてカツ丼をゲット。美味しゅうございました。
 湾口には事代神社があり、ここはそれなりに大事にされている様子がある。だが、その上に向かうと鎮座している和多津美神社の方は、上がる参道からして既に崩壊しつつあった。本殿も、これまた何年も手入れされてない様子が伺える。なにがあったのか。維持できなくなって、ご祭神を遷したのだろうか。
 この港は奥へと細長く、大型船は寄れない。しかし、湾口に近いフェリーターミナルには、朝乗ったフェリーが、朝夕1便ずつ程度の頻度で寄っているようだ。フェリーの待合室は、神浦の町並みを意識した外観。中に入って驚いたのが、綺麗に整備されていることもだが、トイレがシャワータイプだったことだ。助かる。
 この湾は細長く、概要に向いてないので、水面は鏡のように穏やかだ
 神浦の家並みを歩く。わざわざ古い工法を守っているらしい。家の並び方は、典型的な漁師町だな。
 この神浦の鎮守が天降神社で、その有名な石段のそばにある井戸は勘定場の井戸という。なんの勘定場かというと、かつてこの辺でブイブイいわせていた鯨組の物を指すようだ。
 さて、印象的なのが天降神社の石段。本殿はこの上を登って、左に折れた先にある。狭い場所で大ぶりな建物を作るための工夫が、この急勾配へとしわ寄せされたのか。
 天降神社の近くに、これまた六角井戸という井戸が残っている。これは現用されている様子がある。ここもまた、鯨組が作った井戸だとか。
 この近くにある真教寺には、珍しい墓が2つある。いずれも人間のための墓ではない。一つは魚墓。これは通常は海で穫れる魚っぽいものを供養するための墓で、要するに鯨も含んでいるはずだ。しかし、神浦の人々は、それでは足りないと考えたのか、鯨墓も別に作ったのだ。鯨に対しては、別格の思い入れがあったのか。
 もう少し時間を潰そうと、更に登った場所にあるふるさと資料館に向かったのだが、あいにくの月曜日定休。
 的山港に戻り、フェリーで平戸に帰った。この前は暗くてよく見えなかった腕湯
夕食は、揚げ物系の店で。ビールが旨いぞ、今日も。
 ところで、宿で出されるお菓子に、平戸銘菓との売りのカスドースなる菓子がある。これはカステラの切片を卵黄に付け、砂糖をまぶして焼いたもの。製法からして胸焼けしそうだ。食べると、激しく苦いコーヒーを飲みたくなるが、そんなにまでは甘くなかった。十分甘いけど、まあ2つまでなら入りそうだ。
 これで平戸の日程は終了。明日は最後に近所をちょろりと回り、帰ることになる。

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