Strange Days

そうだ、久しぶりに遠野に行こう~3日目

2016年11月05日(土曜日) 23時04分 , 自転車 ( 自転車旅行記 ) 天気:晴れ続く

 今日は、そうだな、割と低い辺りをぶらぶらしよう。


 昨日は早池峰神社の辺りまで行ったので、今日はおなじみの場所を回ろうか。
 宿で朝食をガッツリ食べて、あまり深く考えず、カッパ淵方面に向かう。宿のご近所の宇迦神社。小社だが趣があるなと思って撮ったのだが、よく見ると鳥居の両脇に篝火の用意がある。祭りの準備なのかな。
 跨線橋から、釜石線を見下ろす。単線なのと、掘割を通しているのとで、何か慎ましい眺めだ。
 伝承園方面に向かうと、頭上に賑やかな道路案内板が出ている。この半分は回る予定だ。
 道沿いに、石碑の数多いのが、遠野の特徴だ。この追分の碑は、これは江戸中期の建立という。また近所には狐が街道をゆく旅人、商人を化かしたという狐の関所という場所がある。寂しい町外れに、こうした場所がいくつかあったという。
 最初、このまま奥地のコンセイサマを直撃しようかと思っていたのだが、早い時間だし人も少なかろうと、カッパ淵を先に回る気になった。定堅寺に入った。ここの狛犬は河童だ。ちゃんと頭の皿もある。カッパ淵はというと、この有様。夏の台風にやられ、多量の土砂が堆積したようだ。この状況では、如何な水妖とてとても棲息できまい。浚渫する予定があるようだ。
 里は秋の盛り。方々に柿の実がたわわだ。
 気を取り直して、山崎のコンセイサマに向かう。こちらの道も台風が爪痕を残している。怖々通過してゆく。
 山崎のコンセイサマの麓に着き、自転車を置いて歩いていった。朝早くに雨があったようだが、かえって埃が払われ、草木が生き生きとして見える。
 コンセイサマのお堂。台風にも飛ばされずに済んだようだ。ちゃんと、男として親しみと畏怖を感じる御神体にも対面してきたとも。遠野一のご立派様らしい。
 この浅い山にも、秋はちゃんと降りてきている
 さて、ここで奇妙な体験をした。堂に近づいてゆくと、複数の人物が会話しているような声が聞こえていたのだ。観光客が居たか*1、直ぐ側にある東北大学の地震観測所に人が居るのかと思ったのだ。ところが、堂と対面するも誰もいない。声も聞こえてこない。ところが、戻り始めてやや離れた辺りから、また声がするのだ。
 常識的に考えれば、人声に聞こえる鳴き声の動物が居たのだろう。実際、山からは引っ切り無しに様々な鳴き声や木々のざわめきが聞こえていた。こういう、人でないのに人声を発するものを、妖怪と呼んだのだろう。
 次は、ここも名所の、デンデラ野に向かう。途中に佐々木善喜の生家がある。この集落を挟み、東にダンノハナと、西にデンデラ野という高地がある。ダンノハナは墓地だが、かつては刑場だったという。
 集落の奥、やや登った辺りに山口の水車小屋がある。以前来た時は、もっと年季の入った、自由に出入りできる小屋だったが、綺麗に修繕された上、立ち入りできなくなっていた。里らしい眺めだ。
 東に向かうと、デンデラ野がある。ここも草生い茂る、荒涼たる場所だったが、案内板が整備され、草もきれいに刈り取られている。休憩所なのか何なのかわからん小屋は、相変わらずだ。は、野宿できそうじゃね? と言う感じ。デンデラ野の全景。ここはかつて姥捨て山で、ここに遣られた老人たちは、里に降りては細々とした手伝いをし、自然に命が尽きるのを待ったという。しかし、いざ飢饉となれば、間違いなく真っ先に死んでいったことだろう。
 デンデラ野から水光園方面に抜ける道で、カーブミラーに写る異様なおっさんを撮る。他はともかく、異様な形の折りたたみヘルメットがやばい。そここで、紅葉を撮りながら走った。
 お腹空いたなと思ったので、伝承園の食堂で、遠野三穀定食を注文。ひっつみと蕎麦に、けいらんがつく。満足だ。
 伝承園の中も歩き回る。陽光が明るく、気持ちいい。こういう場所に付きものの、どこぞから移築していた古民家にも立ち入る。この奥にオシラサマを集めた部屋があるのだが、なかなか狂気を感じる。
 福泉寺を後に回し、ふるさと村に向かう。ここは伝承園よりも敷地が広く、古民家同士が離れているせいで、木立もスッキリしている。紅葉が映える。山なので、立派な林がある。そこここに見とれてしまいそうな、見事な紅葉があった
 馬小屋から出されたのか、お馬さんがのんびりと草を食んでいる。曲がり屋の馬小屋にも、今日は1頭繋がれていた。曲がり屋は、馬部屋重視の設計なので、ここが一番日当たりのいい、南側だ。
 大きな室内は薄暗い。この家は、確かこびるの家という名前で、軽食を出していたはずだが、止めたようだ。こびるとは、小昼と書いておやつのこと。かつては1日2食だったので、おやつの重要性が高かったそうだ。
 水車小屋の方にあった、今回最高の紅葉。見事なグラデーションで、ただ見とれる。山里に朱を差して化粧する時期だ。林に歩みいれば、これまた見事な樹に行き当たり、まるで飽きない。事に、日当たりの良い西南の斜面は、一斉に紅葉していた。
 少し戻って、福泉寺に。ここも紅葉が美しい。寒い東北では、もう時期を逸したかと思ったのだが、ちょうど見頃だったようだ。日当たりのいい、開けた南斜面は、流石に進みすぎた木が多かったが、枝を選べばいい塩梅だ。ちょっと日当たりの悪い東西の斜面が、見頃だった
 秋の紅葉をバックにした、宝塔。壁が漆喰の白なので、映える。五重塔の近くにも、ちょうど紅葉した木があったので、入れて撮った。今日、最高の写真になった。
 街に戻る。伝承園の近くから走りサイクリングロードを辿った。川に出る辺りで、日は山の端に消えた。東国、しかも山中なので、落ちるのが早い。
 サイクリングロードは、別に台風に壊されることもなく、のほほんと続いている。ずっと先、ダム湖まで続いているのだが、そこまで走ったことはないな。
 宿に戻り、夕食の海鮮鍋に舌鼓をうつ。あれ、よく考えると、山里の遠野で海鮮か。ちょっとミスマッチだな。まあ、毎日肉肉しいと飽きるので、ちょうどいい。ちなみに、熱燗にしてもらったら、えらいアチチにされて、ちょっとがっかりだった。

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