Strange Days

街道をゆく

2000年03月11日(土曜日) 23時33分 テレビ

 今週は肥前の道行き。肥前は古く遣隋、遣唐使船の寄港地として、またその後もモンゴル帝国の来寇やキリスト教伝来など、歴史の波にさらされてきた土地だ。
 1274年、1281年の2度に渡った元寇は、遣唐使の停止以来海外とのかかわりが薄かった日本に、大きな衝撃を与えた。元という世界帝国の持つ論理に対し、日本という狭い島国の論理が衝突し、様々な意味で試された事件だったといえる。幸いにして(なのか不幸にしてなのかはわからないが)元の来寇はいずれも失敗、日本が外国に侵略されるという最初の危機は免れた。元寇が挫折した原因は来寇側が日本近海の暴風を甘く見て、いずれの場合も大風により船団が壊滅するという少し情けない理由だった。しかし元軍が陸に拠点を移さず、船上にこだわったのは、鎌倉武士団の予想を超える勇猛果敢さにあったといわれている。しかしこの時、日本が一時期でも世界帝国の版図に組み込まれる結果になっていたら、どういう事態が起こっていたのだろう。その後の歴史の流れもよほど変わったかと思うのだが。
 肥前長崎といえば南蛮舶来、基督教伝来の故事が憶えられている。最初期のポルトガル人はキリスト教の布教と対で貿易も行っていた。そのために日本で最初にポルトガル船を受け入れた大村氏は、キリスト教の洗礼を拒んだために巨利を得る機械を逃してしまったという。その後、キリスト教の布教が禁止され、日本に帰港できるのが布教にこだわらなかった新教徒のオランダ人に限られてしまったことを思い起こせば、歴史というものの皮肉さにあきれざるをえない。


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