Strange Days

2004年しまなみ海道ツーリング3日目

2004年05月01日(土曜日) 22時12分 自転車 天気:イイヨ

今日は大半のメンバーが尾道へと逆走する中、単独で松山までの山道を走った。400mくらいの峠を越え、長大(2.8km)な水ヶ峠トンネルを通過したところで、昼食に「松山峠うどん」をいただく。なんと猪うどんがあった。そのまま松山に下り、道後温泉で汗を流し、フェリーで帰宅。楽しい三日間の終わりだった。


 目を覚まして、すぐ横にかかっているカーテンを持ち上げると、来島海峡大橋の雄大な眺めが、ドンと広がっている。絶好のロケーションだ。目覚めも良い。
 食堂に行くと、既にえらい人出だった。なんとか席を確保し、朝食にありつく。やっぱ、うどんのレベルは高いように思う。揚げ物は脂っこくて、朝一には入りにくいものだ。食欲旺盛な他のメンバーをよそに、ぼそぼそと腹に収めておいた。
 身支度をして、ロビーに出て来たら、おの氏は一足先に出立するという。既にSatRDayのシート破損は致命的なので、ここから最寄のJR駅に向かい、そこから輪行で松江に出るという。自転車抱えてゆくだけになるなと思ったら、後で宿泊先にIKDからシートを送ってもらったと聞いた。アクロバットだな。
 全員の清算&準備が終わったところで、まずは糸山の展望台に向かった。展望台は、トンネルを抜けた道路を挟んで、左右に2か所ある。今までは低い方にしか足を運んでなかったのだが、今日は小高い山の上にある展望台へと登った。見晴らしはすばらしい。絶景
 展望台を降り、再び来島海峡大島へと登るアプローチへの分岐まで来て、ここで僕はお別れということになる。みんなを見送ろうと雑談していたところに、電話。忘れ物があるという、サンライズ糸山からの電話だった。凄いタイミングだ。忘れ物した当人とサンライズ糸山まで走り、ここで本当にお別れとなった。
 さて、ここからはどう走ろう。疲労の程度で海岸沿いを安楽に走るか、道の山越えルートを走るか決めるつもりだった。今のところ、深刻な疲労は感じられない。では、山越えか。
 今治市街へと走る。海沿いの道を走り、やがて繁華街に出た。何度も走った道だし、迷うことは無い。この先、大丸デパートの辺りから山に向かって走りつづければ、ほぼ一本道で松山に出られるはずだった。
 道を走りつづけてゆくと、次第に建築物がまばらになり、郊外の光景が広がってきた。道は舗装も良く、走りやすい。しかし交通量はやや多いようだ。
 やがて、道が山裾に達した。おそらく長谷付近。目の前にはすげえ傾斜の道だ。でもまあ、15%までは無いか。しかしこの陽気に汗を多量にかくと思われたので、バンダナを頭に巻いておいた。
 この傾斜は意外に早く終わり、また緩い傾斜の道が続く。とはいえ、今の激坂前よりは傾斜がきつい。この辺りまでくると、さすがに周囲に緑が濃く、いい気分になれる。しかし、坂の連続で、そろそろ膝に疲労がたまり始めていた。まだまだ先は長いのだが……。
 やがて、左手に湖がちらりと見え隠れするようになってきた。玉川湖だった。ということは、玉川ダムは過ぎてしまったということか。
 しばし走り、湖畔の公園で小休止を取った。ボート競技の練習なのだろう、一人、あるいは複数で、手漕ぎボートを走らせる人たちの姿が目に付いた。波が無いし、練習にはいいんだろう。
 さらに上流に走りつづける。蒼社川に沿って走ってゆく形になる。ダムの下流域は、まだまだ川幅を感じさせる中流域の眺めだったが、ここまでくると渓流というにふさわしい、岩肌の間をつづれ折りながらの流れとなる。気持ちのいい風景だ。
 さっきのダム直前で峠を越えた気分になっていたが、次のヤマ、水ヶ峠トンネルまでにも、それなりの登りをこなさねばならないようだ。いい加減、疲労が蓄積された足には苦痛で、傾斜が今までの倍にも感じられるようになった。しかし、足が止まるというわけではない。どんな傾斜でも、どんなに疲れていても、それでも足を前に出せる力は残っている。俺は成長した、そうちょっぴり思ったのさ(へへん)。いや、僕は広島もんなので、わしも大きゅうなったもんよのお、と書くべきか(余計分からなくなるよ)。
 やがて、そこそこの斜度の坂を登りきると、目の前に水ヶ峠トンネルが現れた(それなりの斜度に過ぎなかったので、忽然とというわけにはゆかない)。
 その手前の待避線(?)に自転車を止め、さてどうするかと考えた。2.8kmもあるトンネルを自転車で通過するのは、かなり厳しい。特に登り傾向では、危険率が余計に高くなるだろう。このトンネルから分岐する形で、旧道が走ってはいるのだが、こちらも結構なアップダウンを強いられそうだ。どうするか。このトンネルのことは事前に調べたのだが、自転車で通過している(トレーニングコースにしている)という記事は見たのだが、内部が具体的にどうなっているかというのは分からなかった。今の体力だと、歩道がある方がうれしい。というか、無いと死ぬ。まあ、実地に調べてみよう。近寄ってみると、なんだ、それなりの歩道が、上下線共に付いているじゃないか。これで一安心。
 その歩道をゆっくり走ってゆく。トレーニングに使っているような人たちは、30km/h超で車道を一気に通過するのだろうが、歩道もそれなりに快適に走れる。強力に換気されているようで、煙たさは微塵も無かった。ただ、通過する自動車の音が凄い。途中、同方向に進む歩行者をパスする。ここを歩いて通過する人もいるんだな。
 15分弱かけて通過すると、再び接する外気は心地良かった。ここからは下り一方だろうと思った。
 しばらく下ってゆく。この辺りには建物なんてほとんど無い。飯は松山の市街地に入ってからだなと考えていた。と、道の対面に建つ小奇麗な木造建築の窓に、『松山峠うどん』なる張り紙が。Uターンして、その建物の建つ施設に入った。その施設は動物愛護センターなる場所で、確かに遠方から、わんわんきゃんきゃんが聞こえてくる。まあ、飯を食えればいいのだ。
 先の建物に入ると、木造のきれいな建物に、食堂コーナーがあった。入ると、この施設の職員らしき人々が、談笑しながら食事を取っていた。カウンターに向かい、中にいるおばさんと話しながら、『猪うどんとおにぎりのセット』を頼んだ。猪ですよ、こぐ氏。しばらく待って、出てきたのは、猪うどんとおにぎりのセットだった。って当たり前だYO!
 この猪うどん、土鍋に入った煮込みうどんスタイルを取っている。何度も書いてきたことだが、讃岐が近いせいか、四国のこの辺りでもうどんのレベルは高いように思う。このうどんも、煮込みにしっかりと耐える腰を持っていた。汁は甘めで、それに乗った猪肉と牛蒡、ニンジンなどを炊き込んだものも甘めなので、甘味が嫌いな人には向いてないかもしれないと思った。僕は大丈夫だし、山仕事で疲労する人々には、こういう甘味の強い食事でなければならないのかもしれないとも思った。
 食事を終え、さらに先に進む。と、再び登り基調になった。また峠を越すのか。しかし、先ほどのトンネルが分水嶺だったようで、すぐ脇を流れる川は、東へと向かっている。ヘアピンカーブが連続するからだろう、ローリングを楽しむモーターサイクリストが多数いた。中にはただの珍走団もいたが。この辺りで最後の峠を越えたようで、道は再び下り基調になった。後で調べると、湯山峠という峠を越えたようだ。
 石手川ダムが作った人造湖、白鷺湖で一休み。いい天気で、GW初日ということもあり、たくさんの人出があった。
 さらに下ってゆくと、奥道後温泉に出る。凄くにぎやかな温泉街を想像していたのだが、実際にはホテルがぽつぽつと立ち並んでいるような場所だった。かえって好感度高し。
 やがて、松山の市街に入った。道後温泉へは、いつもなら海側から入るのだが、今日は逆方向からだ。自転車は本館の駐輪場に止め、神の湯2階席に上がりこんだ。ほとんど満員じゃないかというくらいの入りだった。温泉に入り、汗を流す。ふう。もう大した距離は無い。
 温泉を出て、しばらく商店街を歩く。果物屋の前に行列ができ、伊予柑ソフトを買い求めていた。この先にも売ってる場所はあるのでそちらに行くと、こっちは空いていた。行列効果か。
 観光案内所の横でからくり時計を眺めた後、そろそろフェリーに乗らなくちゃと思った。
 自転車を海に向かって走らせ、伊予鉄沿いに松山観光港へと向かった。いつもなら2輪は僕くらいなのだが、今日はツーリング中らしい2輪車(エンジン付きも無しも)が6台くらい待っていた。
 フェリーの船上では、あまりに薄着しすぎて、船室内と出たり入ったりを繰り返しながら、だんだん暮れてゆく瀬戸内の海を眺めていた。3日間、なんだか気苦労が多かったように思うが、終わってみるとやはり楽しい時間だったと思う。でも、3日目、一人で走る時間が待っていたから、1、2日目もこなせたんだと思う。
 また来年、今度は離島に泊まりながら走ろうか、などと考えているうちに、フェリーは呉に入った。

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