明け方、結構な雨とともに、サイレンの音が鳴り響くのに気づいた。騒然たる状況だったが、昨日の心地よい疲労のおかげで、また寝入ることは出来た。しかし、この明け方の騒ぎが、我々の行動に影響をあたえることになろうとは。
朝食時に、本日予定通りに行動する旨、告げられた。まあ、そこまでひどい降りではなさそうだし、個人的には雨の南会津も歓迎だ。自転車のことを考えなければだが。しかし、泥除けを付けたポケロケならば、問題はないだろう。ただし、サポートカーが遅れるそうだ。というのも、サポートの人は地元消防団だったので、明け方の火事に駆りだされたのだそうだ。まあ、ほぼ平地を走るだけだし、大丈夫でしょう。
ガレージに駐輪してあるポケロケを見ると、チェーンに錆が浮いている。とりあえず、ペーパータオルでゴシゴシ吹いてから、フッ素オイル105を吹いておいた。105は、こういう極悪な環境には無力だ。が、潤滑能力が衰えるわけではない。
雨は降り続いていたが、出発する。
いきなり小さな峠を越える。雨の中なので緊張はしたが、ブレーキは大丈夫だった。
最初に訪れたのは、昨日のものとは別の、
河原の温泉。昨日の温泉もだが、この位置だと、大増水時には流されるんじゃなかろうか。
雨の中だったが、あまり強くならなかったので、不便を感じることは多くない。
途中でトイレ休憩がてら立ち寄った、
農産物物販所の一つ。
とある橋に差し掛かった時、
なぜかホースを下げてある。これ、今朝の火事で使われたもの。めったに見れない光景だな。
途中のきのこ屋で、温かいきのこ汁をいただく。手ぬぐい買おうと思ったら、思い切り萌えキャラな絵柄だったので、Tシャツに日和った。のだが、実はTシャツも、背面は思い切り萌えキャラだった。ええい、ネタ用に着てやるよ!
宿に戻り、いよいよ今日の、というかこのコースのメインイベント。そば打ちの始まりだ。
まず
加水と練り。水加減は難しそうだが、分量を簡単に説明されてサクッと流された。たぶん、ここが肝すぎて、素人に任せると収拾つかなくなるのではないか。だいたい、足りないんじゃないかというくらいの分量で、ボソボソとまとまらない部分を巻き込んでゆくようにしてゆくと、良い塩梅になるらしい。この練りからは参加者が体験させてもらえた。僕も練ってみたが、想像したよりは手応えのある硬さだ。
練り終わったら、適当なサイズに分けて、
小さな玉にする。それをラップに包んで置かないと、すぐに乾くのだそうな。
その一つを取り出し、
伸ばす。延し棒でギュッとばかりに延してゆくのだが、力加減で円形のまま伸ばすのは、慣れが要りそうだ。僕のは、なぜか方形に広がってしまった。
ともかく、適正な厚みまで伸ばしたものを、幾つかに小さく切りそろえ、重ねて、
麺の太さに切ってゆく。会津の蕎麦は、ガイドを使わない切り蕎麦なので、気を抜くと曲がるわ太くなるわで、なかなか高度のテクが必要そうだった。自分の割り当て分は、四苦八苦しながらもきしめん的なものやそーめん的なものが混在してしまった。
麺打ちの後は、お楽しみの試食会。ってか、昼飯。まずは
参加者が打った麺が供せられる。素人の手になる麺だが、それでも美味い! 適度な運動の後なので、腹が減っているというのもあるが。しかし、打ちたての蕎麦の旨さには、ただ感動するばかりだ。
あまりにも食欲旺盛な面々、自分たちで打ったのもは足りなくなり、
店で打ったものが供され始める。これがまた、喉越しといい歯ごたえといい、我々の打ったものよりもずっと快感だ。昨日出された時には、そこまで気づかなかった。比較対照は大事なのだ。
帰路、宿からはバスで移動し、自転車は別送する。DEコースの連中が、駅舎の食堂でクダを巻いていた。半分くらいしか走れなかったそうな。
ここから乗車し、浅草に戻った。
今回、トップスリーに入るくらい楽しかった。そば打ちをやりたくなってしまったよ。