Strange Days

皇太后逝く

2000年06月16日(金曜日) 20時27分 思考

 皇太后、つまり昭和天皇の奥さんが亡くなった。この場合は明らかに神式なので、きっと冥福は祈っても差し支えないだろう。仏教的には冥福など無意味だろうから。
 激動、というにもあまりにも凄まじい疾風怒濤の時代となった昭和を生き通した彼女の生涯は、春風駘蕩とした平安時代の皇后たちとは質的に異なっていただろうと思う。昭和天皇が戦争を始めたとも終わらせたとも思わないが(とはいえ無関係ともいえない)、彼女の内助の功が昭和天皇を支え、戦争終結に多少なりとも好影響を与えただろうと評価したい。敗戦という局面で、夫が、そして自分が戦犯に問われないか不安の日々を過ごしただろう。もちろん、天皇制を支えたという意味で、WW2時のおびただしい死者に責任を負わねばならない立場だったともいえる。しかしそれは、おおよそ個人が負いうる責任の範疇を逸脱しているのではないか。むしろ天皇という神格的個人に国家の存在理由の根拠を置いた戦前の日本が間違っていたのだというべきだろう。
 彼女には冥福よりも必要なものがあるはずだ。お疲れ様、そしておやすみなさい。


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