Strange Days

NHKスペシャル

2000年07月23日(日曜日) 22時57分 テレビ

 今夜のNHKスペシャルは4大文明その3、インダス文明の巻だ。
 インダス文明の遺跡として有名なのはモヘンジョダーロ、ハラッパーなどの教科書もの遺跡だろう。これらの遺跡の特徴を挙げれば、まず計画都市であること、そして非常に水にこだわった都市設計であることがある。計画都市ということは、ここにそれなりに強力な権力の裏づけを持った政治機構が存在したことを示唆する。水にこだわった都市設計は、その権力が水資源の配分に強く関与していたことを示唆するのではないかと思う。
 インド亜大陸のパキスタン近辺にあった上記の遺跡に対し、海に近い辺りにある新しい遺跡が注目を集めている。この遺跡はさらに水にこだわった設計をされている。都市全体を整然としたプールで取り囲み、わずかな雨季に氾濫する川の水を引き込み、1年中農業を営めるように工夫していたのだ。これが都市の住民に富をもたらしていたと思われる。
 都市の住民たちはどんな人々だったのだろう。考古学者によれば、インダス文明の遺跡からは戦争の痕跡がうかがえず、また王権のような強大な権力の存在も見出せない。権力の中枢にいた人々は、街の有力者といった役どころだったようだ。彼らが権力の背景としていたのは、富や神聖といったものだったらしい。その代わりに子供の遊び道具は豊富で、平和な文明だったことが分かる。
 モヘンジョダーロというと山田正紀の「神々の埋葬」が頭に浮かんで戦争で滅んだというイメージがあったのだが、実際にはインダス川の遷移によって放棄されたというのが実情らしい。甚だしいのはインダス、ガンジスに並ぶ第3の川で、紀元前1600年ごろ、なにがあったかは知らないが消滅して潜行するようになってしまったらしい。その結果、それぞれ数万の人々を養っていた都市国家が放棄されるようになったのだ。消滅にはインド亜大陸の地形が影響しているのかもしれない。文明を育てるのも、滅ぼすのも、地球の大いなる力だったのだ。


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