Strange Days

湘南の海まで突っ走れ

2001年07月15日(日曜日) 20時03分 自転車 天気:快晴中の快晴

 起床時間は真っ昼間12:00。目覚めは悪くない。カーテンを開けると、外は雲一つない青空。暑そう。でも気持ちよさそう。今日は境川沿いに海まで行ってみようと思う。
 初のロングツーリングなので、それなりの準備はする。いつもと違ってバックパックを背負い、そこに地図帳だのGPSだのをほうり込む。背中が暑そうだけど、まあ耐えられないことはあるまい。食事して、装備を固めて、さて出発。
 まずは境川まで立場湘南台線を走る。正直に言って、ここが最大の難関だった(笑)。なにせかなりのアップダウンが連続する。とうとう、境川寸前のアップでは、BD-1を押して歩くていたらく。いや、これでいいのだ。体を壊すほど漕いじゃいかん(なぜ説得力が感じられないのだろう)。ともかく、ひぃひぃいいながら境川まで走った。

・境川サイクリングロード~引地川
 そこからは藤沢まで境川サイクリングロードが続く。平らで走りやすいはずなのだが、今日は違う。強烈なアゲンストが襲いかかってきたのだ。海風という奴だな。それがまっ平らな川沿いを走る間、延々と吹き続けたのだ。漕いでも漕いでも前に進まないでやんの。こういうときは姿勢を低くするのだ、と鋭いクラウチングスタイルでこぎ続けたが、なんだか焼け石に水みたい。
 そんなこんなで、それなりに気持ちよくはあったが、同時に死ぬ思いをしながら藤沢市民病院まで走った。境川サイクリングロードはここでおしまい。
 さて、ここで案内板を見ると、一つ西の引地川まで行くと、今度は湘南海の近道というサイクリングロードが通っているという。そこまで行かねば。まあ西に走りゃいいんだろうと、ごく気楽に走り出した。
 途中の、まるっきり住宅地の真ん中で一休み。ハンドルバー前のポカリの他に、自販機の謎フルーツ紅茶を飲み干した。今日は、汗が滝のように吹き出る。糖分もとらねば。そう思って、途中のコンビニでコーヒー牛乳(ああ、こういう名称は消えるんだな)と菓子パンを買った。
 さて、西に向かっているつもりだったのだが、道はまっすぐ東西南北に走っているわけではない。だんだん西に向かってない気がしてきたので、途中の別のコンビニ前でロカティオを出した。位置的には悪くはない。しかし、一緒に出したオイル封入型コンパスによれば、僕が走っていたのは北向きだと判明。いったん、市街地まで戻り、そこから西向きに走った。
 途中、"白旗祭り"なる張り紙をあちこちで見かけて、はて共産党に対抗するどこかの右翼が宣伝でもしているのかと思ったのだが、実は大きな神社の祭りだったことが分かった。時間があれば寄りたかった。

・海の近道
 さて、市街地の狭い歩道を走るうちに、とある橋に到達した。名前は引地橋。ドンピシャ、到達できたぜ。その西岸には、確かに小公園のような造りの遊歩道が走っている。そこに乗り入れた。
 この道は、左右にちょっとした公園のようなスペースがあって、境川のそれよりずっと走っていて楽しい。境川の道は、本当に道が走っているだけだからだ。木々が風を遮るので、海風もそれほど厳しくはない。走っていて楽しいのだ。空は青空、風は優しく、日ざしも木々が遮ってくれる。その風を切って走る。ワクワクしてくるような楽しさだ。これだ、こういう感じが欲しかったんだ。これはライダーズ・ハイという奴か。疲労もほとんど感じられず、いつまでも走っていられそうだ。
 が、道はやがて突然『工事中』の札に遮られた。困惑していたが、やがて東岸を向いて『迂回路』とある看板を見つけ、今度は東岸を走った。
 ここで潮の香りを感じた。まあサーフボードを提げて自転車を飛ばしてる奴もいたことだから、方向に間違いはないと思ってはいたが。川の下流に、潮の砕けているのが見えた。海だ。

・湘南サイクリングロード~平塚
 頬に当たる風は優しいはずなのに、なぜか突き刺さるように、突き刺さるように......痛い! マジになんか突き刺さっとるやんか! そう、強烈な海風+砂浜=砂あらし、なのである。湘南サイクリングロードは、すさまじい横風にさらされる、砂あらしの世界だったのだ。汗で濡れた肌に、砂がびっしりと張りつく。顔をこすると、じゃりじゃり嫌な音がする。うう、なんて道なんだ。しかしここまで来た以上、走らずにはおれまい。
 この季節、海はどこに向かっても混雑している。特にこの自転車道は、途中でいくつもの海水浴設備と交差するので、その度に人込みに行き当たり、ろくに進めなくなる。
 もっと困ったのは、砂だ。いや、飛んでる方じゃなくて、足元を埋めている方。道の途中、あちこちに砂の吹きだまりがある。そこに突っ込むと、足を取られて転倒に危険がある。特にミニベロでは辛い。
 そんなこんなで、風と砂と人込みと戦いながら、茅ヶ崎まで走った。この辺で道が途切れたので、内陸へと入った。
 少し走ると、東海道線と行き会った。東海道線沿いに走れば、どっちにせよ駅に出るはずだ。このまま走って戻る気が萎えた僕は、輪行して帰ってしまおうと考えた。駅はそう遠くないはずだ。が、道は必ずしも線路と同行していない。あちこちで住宅地に迷い込んでいるうちに現在位置を見失った。どうも、茅ヶ崎から離れてしまったようだ。
 ここでロカティオ再出動。それによれば、なんだか茅ヶ崎と平塚の間に出たようだ。なんだ、さっき線路に行き会ったとき、少し東に走れば駅だったのだ。が、嘆いても仕方ない。ここは幹線道路まで出よう。この辺で幹線道路まで行けば、平塚と茅ヶ崎を結ぶバス路線があるはずだ。そのバス停を目印に走ろう。バス路線があることは疑わなかった。なにせ実質1車線の道にもバスを走らせるカミカゼ神奈中だ、絶対にあるに違いない(なんちゅうことを)。実際、最初に出会った幹線に、バスが走っていた。
 幹線は交通量が多く、狭い歩道を走らざるを得なかったが、人通りが皆無なので助かった。こんな暑い日に出歩くバカはそういないのだろう。やがて徐々に太い道に出会い始める。ここでロカティオで最終アプローチを確認し、最後のポカリを飲み干し、ラスト1kmを走った。やがて見慣れた平塚駅が見えてきた。ゴールだ。
 自転車を止め、自販機で500ml麦茶缶を買った。甘露、甘露、生涯味わった中で最上の麦茶だった。「イージー・ライダー」の悪徳弁護士よろしく、鶏の真似をしたくなる。

・初輪行
 自転車を駅ビル前まで押し、そこで初めての野外フォールディングを実施。こういうことを半ば予期して、イージーカバーを持ってきていたのだ。15秒、とは行かず、フロントバッグの取り外しなど込で3分弱で折り畳んだ。そしてカバーをかけ、改札まで登る。実際に折り畳んだBD-1を持って思ったのは、これを長距離は続けられないなあという事だった。すぐに手が疲労してしまう。50mが限界では。それでも、改札を問題なく抜け、ちょうど来た列車に乗り込んだ。乗客が少なくて助かった。
 やがて戸塚に到着。また苦労しながら、横浜市営地下鉄の改札口まで降りた。気になったので、駅員に「自転車を持ち込んでよいか?」と尋ねると、「折り畳み式で、折り畳んであればOK」という答えだった。BD-1は問題ない。しかしふつうのフルサイズバイクを輪行している場合はどうなんだろう。まあ区別なんかつくわけないから、問題はあるまいが。
 立場駅で降り、駅前でBD-1を復元し、それで帰宅した。帰宅したのは18:00。だいたい、4時間程度の行程だった。案外に速かったな。


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