Strange Days

イリア・カバコフ『世界図鑑』絵本と原画

2007年11月11日(日曜日) 20時51分 レジャー 天気:くもりのち晴れ

 雨は午前中にもぱらついていた。が、これなら出掛けられなくはないという程度だ。どうするかな。
 ふと、神奈川県近代美術館のウェブサイトを見ると、葉山館の企画が今日までになっている。しかし葉山か。まだ雨が降るかもしれないのに、ちょっと遠いな。昼の予報でも、午後の降水確率が60%だったので、なおさらだ。まだ鎌倉館の方が良い。
 しかし、この葉山館の企画は、来年に世田谷美術館でも全く同じものをやるらしい。同じ企画を別の美術館で比較するのも面白そうだ。迷ったが、葉山館に行くことにした。ただし、雨を懸念して、輪行込みで出掛けることにした。自転車はBromptonだ。
 戸塚から逗子まで電車で出てから、葉山館まで走った。逗子で降りた時には、既に日差しさえあったくらいだった。雨は大丈夫だろう。
 Bromptonを駐輪場に停め、葉山館に入場した。企画展は「イリア・カバコフ『世界図鑑』絵本と原画」。カバコフはインスタレーションで高名な芸術家らしい。知らんかったけどな。
 大体において大掛かりになるインスタレーションを製作する一方で、絵本製作とはいかに。それは、いわば芸術家の手遊びで、共産主義体制のロシアにおいては、国家が認めないような表現手段を取る芸術家*1の多くが、児童文学など別の方面で生活費を稼いだ。カバコフもそうだった。
 ソ連邦では、国民を国家が望ましい方向に育てるという意味から、児童向けの絵本製作が大きな市場になっていた。絵本製作は分業制で、プロデューサーの下、テキストを書くものと絵を描くもの、装てんする者が分担する形になっていた。カバコフは絵と装てんを担当してきたという。時代によって、またプロデューサーの要請によって、様々な絵柄が試されている。科学方面の題材を扱ったものに較べ、昔話などの場合には伝統的な絵柄にこだわることが多かった。ある作家は『魔法物語的』と評した。なんとなく、いやかなりあからさまに、日本のファンタジー系作家の絵柄を連想させる。源流の1つが実はカバコフだったのか、単に源流を共有しているのか。
 まだ明るいうちに美術館を出て、もう雨の心配が無さそうだったので、自走で帰る事にした。逗子、鎌倉と抜け、境川に入ってから一息。暗くなり始めた中、Bromptonを撮ってから、帰宅した。


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