Strange Days

アルコールバーナーで禅の心を味わう

2003年11月30日(日曜日) 23時00分 モノ 天気:雨(午後一時曇り)

 などと書いてみるとやたらいかがわしいな。良く、SPAMで飛んでくる"Perfect Free Pics!"に匹敵するみたいな。なにがどうパーフェクトなのだ。禅の心ってなんよ。
 ともあれ、夕方、暇だったので、前からやってみたかったことに挑戦した。手元には固形燃料のエスビット、アルコールバーナーのトランギア、そしてガスストーブのプリモスと、3種の熱源がある。エスビット、プリモスは良く使っているのだが、トランギアは一度も持ち出してない。試しに使ったところ、炎が風に弱く(エスビット並)、取り扱いに不安があったので、気軽に持ち出すには骨が折れると見ての事だった。今日は、あえてこのトランギアを使い、夕飯を作ってしまおうと考えた。
 トランギアのアルコールバーナーは、1500円と安く、燃料も手に入れやすく(なにせ、薬局で売ってる消毒用アルコールで十分)、非常に小さくなる上、火力調整も出来る。シンプルで、どこも壊れようが無い形状だ(パッキンは痛むかもしれない)。しかし、どうしても熱量は限られるし、アルコールの炎は目視しにくいので、うっかりすると火傷してしまう。本質的に風に弱い。一長一短がある。しかし、エスビットを上回る火力を、それを下回る容積で実現しているので、冬に向けての携行熱源としては有望だ。
 調理に使う器具も、これまた携行向きのものをそろえた。同じトランギアのメスティンという小型(たぶん、世界最小)の飯盒、並びに調理ポット。メスティンは2合までが精一杯という感じの、長方形型の飯盒だ。もちろん、お湯を沸かしたり、物を収容したりという用途にも使える。ポットの方は、600CCほどのお湯を沸かすことを主眼に置いてはいるが、蓋が簡易フライパンになる。目玉焼き一個焼けるかどうかという、ささやかなサイズではあるが。
 まず、米を1合、メスティンに入れ、研ぐ。水の量は迷ったが、ちょっと古米気味であることを考慮し、米の120%程度にした。とはいえ目分量だが。
 しばらく寝かせ、ふと思い出したとき、いよいよ調理に取り掛かった。
 トランギア(のアルコールバーナーだが、面倒なので以降トランギア=アルコールバーナー)にアルコールを入れる。まあ10CCくらい。それから火をつけた。ポッ、という感じで、見ている方が不安になるくらい、かわいらしい火が点った。が、少し経つと、次第に炎は発達してゆき、やがて10cmほどもある立派なそれに育った。これならご飯も炊けそうだ。トランギアはポットに付属していた五徳(鋳鉄製でずっしり重くて安定している)に嵌まっているので、メスティンをそのまま載せた。炎はメスティンの側面を舐めるほどだ。
 しばらくすると、メスティンの中身が沸騰し始め、湯気が噴出し始めた。吹きこぼれるほどではない。少し様子を見て、おもむろにトランギアに火力調整蓋を被せ、弱火にする。この状態で、湯気の噴出が弱まるのを待った。湯気が勢いを無くし、中から"チリチリ"という音がし始めたところで、メスティンを取り上げ、揺すってみた。中身が動く気配は無く、どういう状況であれ、水気がなくなったことは確かだ。確認のために蓋を取ると、少しのおこげはあるが、見た目は立派に炊けているようだ。新聞紙に包み、横に転がしておいた。十分蒸らすためだ。前に、『十分蒸らせば、芯があるにせよ、逆におかゆ気味になったにせよ、余熱と吸水性の高さが解決してくれる』という記事を読んで、なるほどと思っていたのだ。
 さて、おかずの方。作る前は麻婆豆腐などの壮大な調理を思い描いてはいたのだが、腹の空き具合が待ったなしだったので、なんとなく買っておいた特売のシャウエッセンで済ませることにした。
 最初は全部炒める気でいたが、前ににち氏がシャウエッセンを一袋丸ごとボイルして食ったら、気分が悪くなったと言っていたのを思い出した。油炒めだと更に悲惨だろう。そこで半分を油で、残りをボイルで処理することにした。
 と、火を消し止めていたトランギアに目をやると、もうアルコールが飛んでしまっている。余熱で残らず揮発したのね。また10ccほど継ぎ足し、再び着火。今度は炒め物だから、最初から最大火力で挑む。が、これが強すぎ。あっという間にウィンナーの表面が焦げ付き、しかし中身まで火が通っているとは思えない状況になった。慌てて調整蓋で弱火にし、中にじっくり火を通す。ポットの蓋に付属のミニハンドルを着けただけでも、これくらいの焼き物なら十分間に合うようだ。
 次に、ポット本体に水を入れ、火を掛ける。沸騰に意外に時間が掛かったが、これは蓋が無かったせいだろう。シエラカップでも被せればよかった。沸騰し始めたところで、残りのシャウエッセン様を投入。3分間ほど釜茹でにさせていただく。これもフライパンに上げておく。
 最後にまたポットに水を入れ、湯を沸かして、シエラカップに味噌汁を作った。出来上がり。
 あまりにシンプルな夕食に苦笑しつつ、まずはこわごわとメスティンを開け、ご飯を口に運んでみた。うん、ちゃんと炊けている。これでも水気が足りず、強飯になってしまったが、十分食べられる。おこげもこびりつくほどではなく、おいしくほぐれてくれる。ウィンナー隊にもちゃん火が通っていた。ビールを開け、台所で自転車を眺めながらの夕食となった。それにしても、今夜は涙が出るほど安上がりだったな。
 明日も暇があったらやってみて、もう少しノウハウを貯めよう。今度はちゃんとした柔らかいご飯を。


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