Strange Days

遠野周遊2日目

2008年07月22日(火曜日) 23時38分 , 自転車 ( 自転車旅行記 ) , デジタルカメラ 天気:概ね雨

 昨日は養生に努めたおかげで、体調の方はかなり戻ってきた。多少、無茶をしてもいいだろう。空がもつならばだが。そう、天気予報では、この地に雨が降る可能性は低く無いそうなのだ。いやあ、リカンベントは雨の日には切ない乗り物になるからなあ。まあ、それは考えないで置こう。
 早めに出発すれば雨の前に人界に戻ってこれるかもしれない。午前中の登坂を決意し、8:00にはユースを後にした。
 今日のコースは、漠然とした考えでは、山岳ステージのつもりだった。ふるさと村方面に走ってゆくと、石上山の手前だか向こうだかを回り込む形で南下してゆくと、なんとなく遠野の西方に出られそうだった。確かそういう道があったはず。そういうあやふやな記憶を頼りに、山岳ステージに挑んでみた。
 今までの限界点だったふるさと村をいつの間にか越えて、さらに走ってゆく。GPSだけが頼りだ。数多い碑の類を背景に記念撮影。しかし、この頃には山の上の方は雲に隠れ始めていた。禍々しい雲が流れてゆく。あれより早く登りきれるだろうか。
 GPSと睨めっこしながら、幹線道路を外れて林道を登り始めた。かつて南禅寺という大刹があったという看板を眺め、山道に入ってゆく。多少はスキルを獲得できたのか、SatRDayでの登坂もさほどつらくは無い。ギアは十分に足りているので、問題は緊急時の姿勢制御くらいだ。体重移動が難しいリカンベントでは、実にとっさの軌道修正と、トルクアップが難しいのだ。
 なんてことを考えながら登り続けていると、ポツリと顔にあたるものがあった。来た来た、来たよ。樹下にSatRDayを停め、雨具を着込んで、リュックにカバーを掛けた。しかし手袋は防水のものが無いし、靴はシースルーの奴だ。まあ、体が濡れないだけましということで。
 雨はかなり激しい。あっという間に山道は川になり、雨が激しく流れ落ちてゆく。それだけならまだしも、雷鳴が近づいている。頭上に来る度に、『生きて帰れますように』と神様だか聖霊だかに祈った。とりあえず電線の真下に移動して、雷の直撃からは安全になったと思われたが、電柱に直撃した日には、側撃で即死かも、とか怯えて過ごした。なにせ、周囲は樹が密生しているので、安全距離というものを取れないのだ。
 しばらく見ていると、雨がやや弱まったように思えた。雷鳴も弱まっている。この隙に越えてしまおうと走り出した。幸い、道に沿って電線が走っており、その近くを走れば、恐らくは落雷に直撃されることはあるまい。とはいえ、時折雷鳴が響き渡り、肝を冷やしたりした。
 走り出してしばらく、雨はむしろ強まってきた。でも、もう止まるにも止まれない。この危険地帯を出来るだけ早く通過するだけだ。高度500m超が峠で、そこからは下りにかかる。下りに強いリカンベントとはいえ、この雨の中だ、慎重にならざるを得ない。大体、顔に雨粒が直撃しまくるので、前が良く見えない。片手で雨を防ぎつつ、下っていった。
 下るうちに、次第に雷鳴は遠ざかり、雨も弱まっていった。やがて出たのは綾織の郵便局。遠野駅の西隣だ。とりあえず、山の方を通ってくるという目的は果たせた、のかな。
 近くにうどん屋があったので、冷やしぶっかけとちくわ天を食しながら、ささやかな作戦会議を開催した。雨はまだ降るかもしれない。なら、また山岳戦というのは考えものだ。この辺の観光物件を荒らしつつ、遠野市街に戻ることにしよう。ここからだと、千葉家の曲り家、続石が近い。二つとも未訪なのでちょうどいい。
 店を出て、千葉家の曲り家に向かった。ちょっとした峠道を登る途中に見える。びっくりするくらい立派な駐車場が備えられている。
 千葉家の曲り家は、この辺りの大地主だった千葉家の持ち家だったという。曲り家は南向きの厩、東向きの母屋を繋いだもので、どの曲り家も同じ様式で建てられている。千葉家のものもサイズは大きいのだが、部屋の作りが大きいだけで構造は踏襲しているという。
 厩舎だった部屋は展示室になっており、そこに若き日のヒロノミー訪問時の写真などがあった。
 曲り家を後にし、続石まで走る。こっちの駐車場は未舗装の、簡素なものだった。それでも必ず手洗い完備なのは、なにかのポリシーがあるのだろうか。
 湿っぽい山道をしばし歩くと、弁慶が昼寝したとか言う広場が現れた。続石はその少し先、祠の近くにあった。なんとも絶妙なバランスで載っているもんだ。最近多発している地震で落ちないか心配だ。
 この先はどうしようか、と思いつつ、駐車場に戻ると、空が暗くなってきた。コレは来るな、と思いつつ待っていたら、やはり雨が降り始めた。また雨具を着るのも面倒なので、これはやり過ごそう。幸い、東屋があって、そこで雨を凌げそうだ。小1時間ほど待っていると、雨は去っていった。ちょっと昼寝も出来て、快適だったな。
 時間的に午後も遅くなっていたので、ユースに戻ることにしよう。南西方向からユースにアプローチするコースに沿って、いくつかの観光物件があるようだ。その前に、道の駅に立ち寄ってなにか口に入れようと思った。しかし、今日が平日ゆえか、結構店が少ない。まあ、距離的にはさほど残ってないから、ユースに向かおう。
 幹線を逸れて最初の物件が太郎淵。むかし河童が住んでいて、それに懸想している雌河童もいて、などと書かれているのだが、見ての通り水が張られてない。手抜きだよ太郎淵、太郎淵手抜きだよ。紫陽花は青かったけどな。
 この先、南部藩主としてこの地を治めた女藩主の墓やら、飢饉時の石碑やらがあったが、地味すぎて萌えない。
 ユースに一番近かったのが、松崎の観音堂だった。周囲を大樹に囲まれ、なかなか楽しい場所だ。
 そこから道なりに走ってゆくと、やがてユースに戻った。こっちのコースの方が、車が居なくて気楽でいい感じだ。
 夕食は今日も美味い。今日はイングランド産の旅人も居て、ちょっと違った雰囲気だった。ちょっと湿っぽい天気を心配しながら就眠。


Add Comments


____