Strange Days

人造人間(アンドロイド)の居る社会

2014年08月05日(火曜日) 22時45分 思考 天気:ジテツー日和(暑い)

 いやはや、’アンドロイド’というと、グーグル人民帝国の尖兵であるアレを指す世の中であることよ。しかし、今日は人造人間という意味でのアンドロイドの話題を見た。
 この阪大の石黒教授は、いわゆる”不気味の谷”絡みでよく目にする研究者だ。人間そっくりなロボット*1を作ることで、人間という存在を研究するという意図の下、見た目だけでなく仕草や会話の内容に工夫を凝らしたアンドロイドを、今までいくつも製作してきている。おもろいおっさんだよね。
 石黒教授の興味は、人間そのものを再現することにあるので、ディープブルーのようなある面で人間を超える存在を作る点には無いようだ。しかし、人間を再現できるということは、それを自由に改良できるということで、結局は人間を超える存在を作る一里塚という点では同じはずだ。自由に改良できる人間のようなものが再現されたとなれば、特別ではない普通の人間*2は、能力的には必ず負けるはずだ。そのことを、研究者たちはどう考えているのだろうか、という点に興味を持っていたので、この記事は面白かった。
 石黒教授は、目の前に居る人間のようなものが、本当に人間かはわからないのだから、そこにアンドロイドが加わっても同じことじゃん、という態度らしい。石黒教授は、自分の創造物を人間を超えるものにしようとはさらさら思って無さそうなので、ここだけ取ると無害な社会実験の類と同列に見える。しかし、人間*3を超えるものを作ろうという動きは数多いのだから、これらが加わると、確実に『人間みたいな、でも人間を超えた存在』が生まれるだろう。そこをどう考えているのか。
 どうやら考えてないらしいというのが、僕の印象。そもそも、職能としても、研究の目的としても、人間を超えたものまで想定していないのだろうから、そりゃそうだろうな。
 しかし、『人間のようなものが混在しても良い社会』というものは、その構成員が能力的に『人間程度のもの』であることを必然的に想定しているわけで、そこを壊されると破綻するんじゃあるまいか。例えば、人間同士の会話では必然的に生じる虚偽を、全て的確に見破る存在が紛れ込んできたら、嘘に守られている面もあるこの社会が破綻するだろう。
 結局、『人間みたいな、でも人間を超えた存在』が社会に同居する状況は、必ずやってくるだろう。その時に人類の利益を守るためにどう振る舞えばいいのか、どんな仕組みで”それら”を迎え入れたらいいのか、誰が考えるべきなのか。社会を構成する人間一人一人が考えなければならないのは当然だろうが、”それら”を生み出して社会に引き入れてくる人々に、そのような考察が見られないのは、非常に奇異なことではなかろうか。


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