今日は平戸のすぐ北西にある、生月島を回る。例によって、路線バスを利用した、お手軽周回だ。
朝、まだ暗い時間に起床。やがて窓から見えた、
平戸の夜明け。いい天気だ。
さて、今日は生月島を回る。現地までは路線バスで向かうことにしていた。が、僕が時間を勘違いしていて、朝妙にゆっくりしてしまった。結果、宿からバス停まで、全力で向かう羽目に。しかし、BromptonとBD-1という輪行専用といえる自転車組だったのが幸いし、瞬く間に輪行準備の上、ちゃんと出発前に乗り込めた。ほっ。
バスは、平戸島の尾根道を越えてゆく。最初は自走案もあったのだが、その険しさを見るに消えたな。
尾根を越え、
生月島が見えてくる。結構住宅街は広いが、我々が向かう灯台近辺は無人地帯のはずだ。どのみち、道は厳しそうだ。
バスの終着点で降り、自転車を大バエ灯台へと走らせる。住宅地を抜けると、道はいいが荒涼とした風景になる。途中見かけた、
なんとなく佇まいに心惹かれる神社。だが海岸に下るのが嫌だったので、パス。
目指す灯台の手前に、塩俵の断崖なる観光地がある。
そこまでの道のり。この断崖への一直線感が宜しい。行ってみると、そこまで断崖ではなかったが。
塩俵の断崖は、見ての通り柱状節理の露頭で、屈曲により横倒しになった手前の方の摂理断面が、あたかも塩俵を重ねたかのように見えるので、この名がついたらしい。こば氏は海岸まで降りて接近していったが、吾輩は下りの階段がクリート殺しの石積みだったので、敬遠。
更に先に進むと、食事できそうな最後の店、元ドライブインっぽい場所を過ぎ、一旦下ると、
鯨納屋の跡がある。実は、この平戸から生月島、そして的山大島にかけては、江戸時代には日本最大の捕鯨拠点があり、文字通り七浦賑わっていたという。その拠点の一つがここ。
最後の坂をヘコヘコ登ってゆくと、大バエ灯台に到着する。少し坂下に駐車場があるが、自転車なら登って行けるので、灯台まで登り切った。
岬なので、
眺めはいい。遠くに見える、風車の群れる島は、明日渡る予定の的山大島だ。
灯台の案内板。色々赤いBD-1と、いろいろ黄色いBromptonの対比。
大バエ灯台は、大婆鼻という突端に立っているから、この名称。この灯台、
見ての通りに展望台を兼ねており、我々の他にも観光客が訪ねてきていた。
見晴らしはいい。ちなみにこの灯台は、戦中築かれた砲台の上に建てられてもの。
実は、この灯台周辺で、奇妙な事に気づいた。灯台直下のものとは別に、かなり下った場所にも駐車場があるのだが、結構な台数が駐車されている。ところが、肝心の灯台まで上ってきている人が、明らかに少ないのだ。どこに消えた?
灯台から見下ろせる磯を覗いてみて驚いたのが、結構な人数が磯まで降りていることだ。中には、断崖にロープで降りてゆくような場所もある。ここに居たのか。それにしても、釣り人根性はたくましい。
我々も、
磯の一つに降りた。この磯の突端、満潮時には明らかに水没する溶岩地形の先端に、
気になるものがあったのだ。潮が満ちてくると、
こんな風に水没してしまう。なにこれ。
後で調べると、気象庁の波浪計と思えたのだが、よくよく調べると機器の外観も設置場所も違う。こんな磯には建てない機器だ。じゃあ、これはなんだろう、
謎の機器を後にし、取り敢えず昼飯。塩俵の断崖にほど近い、
ドライブインっぽい店に入った。軽食、
ミートスパゲティを注文。客は、昼時にもかかわらず、我々しか居なかったが、店を出る前くらいにモーターサイクルの客がどやどやと現れた。この店自身は、むしろ夜頑張る店のようで、ジャズ系のレコードジャケットがあちこちに飾られ、ライブもやっているようだ。こんなところで、という店だった。
この後、生月島の港町方面に向かう。途中、
こんな海岸線を走ったりした。
この地殻に、ガスパル様という謎めいた観光物件があることを知り、それを探す。山上にあるはずだが、近づくルートがわからない。迷走の末、海岸にせり出した丘に背後から近づくルートを発見し、遂に
ガスパル様と邂逅する。江戸時代の初め、キリシタンへの弾圧が強まった時期に、信仰を捨てることを拒んで処刑の道を選んだ地元名士の記念碑、らしい。それにしても、この時代のキリシタンは、ほんとうに簡単に命を捨ててしまう。
ガスパル様から、尾根道を進んでゆくと、
カトリック山田教会に着く。大宗教というものの特徴の一つは、こういった神聖な空間の演出が際立っている点に違いない。少なくとも、幸福の科学や創価学会があちこちに建てている安そうな宗教拠点には、この風格は微塵も感じられない。
尾根道からは、
遠くに生月大橋が望める。実は、トラス橋としては、世界最大なんだそうな。へえ。そしてよく見ると、左下になにやら人間の後頭部のようなものが見える。そこまで走ると、
生月魚籃観音と対面。
橋の袂に、いくつかの観光物件があるので、そこに向かう。橋の真下にある公園に、畏れ多くも畏くも今上天皇の御製を献じた碑の横で、
許されざるおっさんが記念撮影。べ、別に不敬じゃないんだからっ!
島の館という博物館に入ってみる。ここのうりは、おっきいお魚さん獲りを状況を再現した
おっきいジオラマ。江戸期の捕鯨が、機動要員だけで数十名、基地側の支援要員まで入れると数百人を動員する、一大産業であったことが分かる。
鯨の骨格が宙に釣られており、また定番の鯨のチンチンだの胎児だの内臓だのといった、エグ系の展示物も充実している。
別室は、これは
水無き水族館の趣。
生月島を堪能し、平戸に戻った。今日は
肉々しい夕餉となった。高級な平戸和牛をたらふく腹に収め、当面肉はごめんという気分になった。一瞬の雨をやり過ごし、帰宅。明日は遠出する。